タッチパネル付き液晶ディスプレイは、画面サイズが5.6型ワイドと小型ながら、解像度が1280×800ドットと高精細なため、一長一短といったところだ。Netbook標準の1024×600ドットを大きく上回る高解像度は一覧性が確かに高いが、5.6型ワイドと小さな画面に1280×800ドットを表示すると、細かな文字が読みにくいことに加えて、ボタンやスクロールバーなどが小さすぎてしまい、ペンでうまく押せないこともしばしばある。そこで、標準の1280×800ドットから1024×600ドットへ、さらに800×480ドットへと3段階の解像度切り替えが行えるボタンは便利だ。
そもそも、プリインストールOSがVistaからXPに変更されたことで標準のアイコンサイズは非常に小さくなっており、マイコンピュータの横サイズはデフォルトで約3ミリしかない(800×480ドット時で約5ミリ)。ワンタッチで解像度が変更できるといっても切り替えのタイムラグはあるので、個人的にはデフォルトの画面解像度がもうワンランク低いほうが使いやすいようにも思う。
液晶ディスプレイはLEDバックライトを採用しているほか、表面に光沢処理が施されている。屋内ではクリアで鮮やかな表示だ。ただし、入力環境が快適なだけに屋外でも気軽に取り出して使いたくなるのだが、日差しが強いと光沢液晶の反射が激しく、うっすらとしか見えないため、高解像度で表示が細かいとほとんど操作不能に陥ってしまう。光を遮る屋根などがない晴天下では、画面解像度を下げても使用は困難だ。
Netbookでも光沢液晶を採用している製品が多く、なぜモバイルを想定したマシンに光沢液晶を搭載するのか常々疑問に思っているのだが、これだけ画面が小さくて表示が高精細だとデメリットが顕著に出てしまう。光沢液晶のクリアで鮮やかな表示も魅力ではあるのだが、できることなら非光沢の液晶も選択肢として用意してほしいところだ(タッチパネル搭載の都合もあるのだろうが)。
OS変更の影響でもう1つ浮上してくるのが、タブレット関連機能の問題だ。U/C30にプリインストールされているWindows XP Home Edition(SP3)は、先代機のWindows Vista Home Premium(SP1)に比べて全体的な動作が軽快に行えるのだが、Vista Home Premium以上が標準装備するタブレットPC向けの便利な機能やソフトウェアは備えていない。この点には注意が必要だろう。
例を挙げると、Webブラウズ中に検索ワードの入力など、ちょっとした日本語入力が必要になったとする。そういう場合にVistaでは、必要なところにすかさず「Tablet PC入力パネル」が現れてくれるが、U/C30では対応していない。また、Vistaではペンでも複数のファイルやフォルダなどの選択にチェックボックスを利用することができるほか、画面をはじくことでブラウザの戻る/進むなどの動作が行える「フリック」機能などを備えているが、XPではこうした操作ができない。
入力パネルに関しては、「らくらく手書き入力」というペン入力用ソフトがインストールされているのだが、Vista標準の入力パネルに比べるとインテリジェントさに欠ける。毎回タスクバーから呼び出す必要があるうえ、そのタスクバーのアイコンが非常に小さく、ペンでとらえるどころか視認するのさえ難しいときており、Vistaに慣れている身にはかなりのストレスを感じた。
一部の機能はワンタッチボタンに割り当てるなどのカスタマイズや、外部ソフトなどの利用でなんとかなるレベルかもしれないが、動作は軽くなっても機能面から見るとVistaからXPへの変更は退化にほかならない。こういったタブレットスタイルでのペンを使った操作性、使い勝手の面ではVistaに分がある。
なお、プリインストールOSのWindows XP Home Edition(SP3)は、マイクロソフトがULCPC向けに特別に安価に提供しているエディションだ。Windows XPにもTablet PC Edition 2005というVistaに近いタブレット関連機能を備えたエディションがあるが、それを採用すると販売価格がかなり上昇してしまうことは容易に想像できる。できればオリジナルのソフトで似たような操作感を実現してくれるとありがたいのだが、Windows 7の登場が近くに控えているこの時期にそれを望むのは酷かもしれない。
レビューの後編では、ハードウェアのスペックと実際のパフォーマンス、バッテリー駆動時間、ボディの発熱、騒音など、さまざまな角度からLOOX UのXP搭載モデルを検証していく予定だ。
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