ThinkPad X200sを購入して見えてきたモノ元麻布春男のWatchTower(1/2 ページ)

» 2009年03月17日 16時40分 公開
[元麻布春男,ITmedia]

重量の違いに驚いたThinkPad X200s

 前回まで3回にわたってThinkPad X200シリーズについて取り上げてきた。最後に取り上げたX200sだけは、筆者が自費で購入したモデルだったこともあり、以前と若干異なる取り上げ方になってしまったことをおわびしたいと思う。

 実際に筆者がX200sをオーダーしたのは1月上旬のことだ。それが届く前に評価機が届き、原稿を書き始めたところに、購入した製品も届いた、というのが正確な経緯となる。X200sの評価機が届いた時点で、その重量(約1.33キロ)に驚き、購入品が届いて重量(1.198キロ)に安心した、というのが正直なところであった。1月上旬にオーダーした時点において、筆者は1.33キロのノートPCを買ったつもりはなかったからだ。


ちょっと気になる米国での調査結果

購入したコンシューマー向けPCの満足度調査(ChangeWave Research調べ)

 2月18日に、米国の市場調査会社であるChangeWave Researchが、コンシューマーのPC購入動向に関するリポートを出している(Consumer PC Purchasing: 90 Day Outlook:PDFファイル)。そこには経済のリセッションもあり、あまり明るくない市場見通しが書かれているのだが、気になったのは取り上げられた8社(Apple、ASUS、Acer、Dell、HP、Lenovo、Sony、Toshiba)のうち、購入した製品にとても満足した人の割合で、Lenovoが最下位になっていることだ(1位はApple)。最下位といっても、すぐ上のHPや東芝との差はごくわずか(2%)で、大きなものではない。しかし、何にせよ最下位になるのは、決して名誉なことではない。

 残念ながらこのリポートは、コンシューマーの購入動向にフォーカスしたもので、なぜLenovoの購入者満足度が低いのかについての分析はなされていないが、筆者はWebページなどにおける情報開示のあり方にもその一因があるのではないかという気がしている。まず消費者が、自分が欲しいと思う製品を選ぶことができなければ、製品に満足することもないと考えるからだ。

 2008年秋、レノボ・ジャパンのWebサイトは、それまでの融通の利かないショッピングページを大幅リニューアルした。一見、カスタマイズできるように見えて、実際にはいくつかの構成済みモデルの中からどれかを選択する、“なんちゃってBTO”だった旧ページが、本当のBTOが可能なサイトに生まれ変わったのだ。各種のキャンペーンやクーポンへの対応も柔軟になり、このリニューアル自体は素晴らしいのだが、まだ情報提供という部分には課題があるように思う。

ThinkPad X200sと比較したモバイルPC

 さて、このThinkPad X200sを購入するに際して、当然他社の製品とも比較を行った。候補に挙がったのは、日本ヒューレット・パッカードの「EliteBook 2530p」と、デルの「Latitude E4200」の2機種だ。HPのビジネスノートPCについては、旧コンパックコンピュータ時代も含め、個人的に使った経験が多くなじみ深い。EliteBook 2530pは、その最新かつ最軽量モデルで、やや重い(カタログ値で約1.49キロ〜1.6キロ)ものの、極めて堅牢で、2スピンドル構成も選択できるという柔軟性を備える。大量導入する法人なら、いろいろと融通も利くのだろうが、個人でとなると価格(おおよそ20万円前後)がネックとなり購入に踏み切れなかった。米国のサイトでは、それなりに価格の調整も行われているのだが、日本のサイトでは価格調整が行われることが少ない(特にビジネスノートPC)のが残念だ。

 一方のLatitude E4200は、SSD専用のモバイルノートPCで、SSDを搭載した最軽量構成のX200sよりなお100グラム以上軽い(カタログ値で約997グラム)。その大きな要因はCPUが超低電圧版専用になっていることで、処理性能とのトレードオフの関係にある(ただしCore 2 Duoなので、Atomに比べればはるかに高性能ではある)。おもしろいのは、メインCPUとは別の補助CPU(ARMベース)を備え、補助CPUと組み込み用Linuxを用いて、Exchangeサーバと接続することが可能な「Latitude ON」と呼ばれる機能を備えることだが、筆者が検討した1月上旬においては、まだ実装されていなかった(Exchangeユーザーでない筆者には、あまり関係ない話だが、機能的にはおもしろいのではないかと思う)。

筆者が購入した「ThinkPad X200s」
購入時に比較した日本HPの」EliteBook 2530p」
同じくデルの「Latitude E4200」

情報開示が不足気味のSSD

急速に低価格・大容量化が進むSSD

 最終的にLatitude E4200を購入しなかった最大の理由は、EliteBookと同じく価格で、1月上旬の時点では20万円近かった(本稿執筆時点では決算セールで12万9980円からとなっておりチャンスだ)。もう1つ気になっていたのは、ストレージがSSDに限定されることだ。ただし、SSDがダメだと言っているわけではない。SSD自体はよいのだが、ノートPCの内蔵ストレージとして購入する場合、どんなSSDなのかサッパリ分からないのが困るのである。

 Latitude E4200の場合SSDとして、最大64Gバイトの「ウルトラパフォーマンスソリッドステートドライブ」か、最大128Gバイトの「モビリティソリッドステートドライブ」が選択可能になっている。米国サイトで前者はライフサイクルが長いとされていることからも、SLC NANDフラッシュメモリを採用したものと推測され、後者はMLC NANDフラッシュメモリを採用したものと推定されるが、どこにも明示的にそうであるとは書かれていない。

 デルの場合、SSDに2グレードあることから、両者の違いに言及せざるを得ず、そこからこのような推定も可能になった。しかし、多くのベンダーの場合、ノートPCの内蔵SSDについて、カタログなどでは64GバイトSSDとしか書かれていないことが多い。せめてSLCかMLCか、コントローラの型番、外付けDRAMキャッシュの有無やその容量くらいは分からないと、購入しようとしているノートPCが内蔵するSSDに期待できる性能や、その価値が分からない。価値が分からないものにお金は払いたくない。

 HDDの場合、ストレージデバイスとして使われてきた歴史が長く、期待できる性能がある程度推定できる。容量とスピンドルモーターの回転数(5400rpmか7200rpmか)くらいの情報があれば、おおむね用は足りる。しかしSSDの場合、現在最も急激に性能とバイト単価が向上しているデバイスであり、NANDフラッシュメモリやコントローラの世代により大きく性能が変わってしまう。SLCとMLCでは書き換え可能回数が一ケタ違う、という相違もある。同じ64GバイトのSSDでも、SLCとMLCではその値段は倍以上違うし、MLCのSSDでも世代が違えば性能には大きな差が生じる。

 もちろん大手PCベンダーが採用する場合、部品調達の都合などで、必ず同じSSDを採用すると保証できない事情があることは分かっている。今回試用したX200シリーズの場合も、評価機に使われていたメモリモジュールとHDDの製造元はバラバラだった。

 ベンダーの好き嫌いはともかく、DIMMとHDDの製造元が変わっても、性能や耐久性などに大きな差は生じない(個体としての当たり外れは除く)が、SSDの場合そうとは言い切れない。現状では、フォームファクタやインタフェースからどこのどのSSDを採用しているか特定できる場合(初代MacBook AirやHP mini 1000のSSDモデルがこれに該当する)を除き、SSD内蔵ノートPCにはあまり手を出したくない。SSDを買うなら、秋葉原でベンダーと型番を確認したうえで単品のドライブを購入したいと考えてしまうのである。今回、筆者はX200sを250GバイトのHDDで購入したが、SSDにするならもう少し安価になったところを見計らって、インテルの160GバイトMLC SSDを店頭で購入して換装したいと思っている。80Gバイト版は使ったことがあるが、極めて高速(特にOSやアプリケーションの起動)なデバイスだ。

ノートPCに採用されるHDDやメモリのベンダーはロットによって異なる場合がほとんどだ

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