基本スペックについては、S101やS101Hより大画面・高解像度の液晶ディスプレイに、小型化と省電力を追求した開発コード名SilverthorneことAtom Z系のCPU、そして1チップ構成のIntel System Controller Hub(SCH)チップセットがポイントだ。Atom Z系のCPUと12型クラスのワイド液晶ディスプレイを搭載したスリムノートPCは、デルの「Inspiron Mini 12」が販売中で、S121の基本スペックはこれに近い。
液晶ディスプレイは1280×800ドット表示の12.1型ワイド、CPUはAtom Z520(1.33GHz)、チップセットはIntel System Controller Hub(SCH) US15W、メインメモリは1Gバイト、データストレージは160Gバイトの1.8インチ/8ミリ厚HDDとなっている。チップセットに統合されるグラフィックス機能は、かなり世代が古いPowerVRをベースとしたIntel GMA 500だ。OSはWindows XP Home Edition(SP3)をプリインストールしている。
S121は、Netbookで一般的なAtom N270(1.6GHz)とIntel 945GSE Expressチップセットを組み合わせた製品に比べてパフォーマンス面では不利になるが、動作が軽いWindows XP Home Edition(SP3)を採用したこともあって、OSの基本操作はストレスなく行える(パフォーマンスの検証結果は後編で掲載)。Atom N270(1.6GHz)搭載のNetbookでは画面解像度が1024×600ドット(もしくは576ドット)に制限される製品が大多数だが、通常のノートPCと同じ1280×800ドットの画面解像度を利用できる点は、Webブラウズをはじめ、あらゆる用途で有利に働くだろう。
S121でユニークなのは、CPUの自動オーバークロック機能を標準装備していることだ。Windows XPを起動すると、標準搭載のユーティリティ「ASUS Power4 GearTurbo」がタスクトレイに常駐し、このアイコンを右クリックして動作モードを切り替えるだけで、CPUの動作クロックが1.46GHzくらいまでアップする。OSのシャットダウンや再起動を行うと、オーバークロックはオフになる仕組みだ。オーバークロックの設定はユーザーがカスタマイズすることができず、すべて自動で行われる。今回の試用では、オーバークロック設定時に体感できるほどの差は生じなかったが、Atom Z520の基本性能は控えめなので、こうした機能の搭載はなかなか興味深い。
インタフェースの種類と配置は、S101やS101Hとほとんど同じだ。合計3基のUSB 2.0ポートを筆頭に、アナログRGB出力、ヘッドフォン、マイク、SDメモリーカード(SDHC対応)/メモリースティックPRO/xDピクチャーカード用スロット、130万画素のWebカメラを搭載し、ネットワーク機能はIEEE802.11b/g/n(11nはドラフト2.0)の無線LAN、1000BASE-Tの有線LAN、Bluetooth 2.0+EDRを備える。有線LANのギガビット対応がS101やS101Hに対する優位点だ。
インタフェースの種類と数はAtom搭載ノートとして必要十分なものだが、S101やS101Hと同様に端子やカードスロットのレイアウトには難がある。3基のUSB 2.0ポートを左右に分けて搭載しているのはいいが、カードスロットが背面にあるのは少し扱いにくい。こうした特殊なレイアウトは本体の軽量化を重視したS101から始まったものだが、S121はボディサイズにゆとりがあり、内部の設計も異なるため、もっと使いやすい配置にしてほしかったところだ。
S121の最大の特徴ともいえる1280×800ドット表示の12.1型ワイド液晶ディスプレイは、LEDバックライトの採用により薄く仕上がっている。標準的なNetbookよりも高解像度を実現しているため、情報の一覧性は高い。上下の視野角は若干狭いが、輝度は十分に確保されており、視認性に大きな不満は出ないだろう。独自の高画質化技術「Splendid」もサポートしており、VividやTheaterといった異なる画調の表示モードを手軽に使い分けることも可能だ。
一方、画面の表面処理が光沢タイプで、周囲の風景やユーザーの顔が画面に映り込みやすい点は覚えておきたい。液晶ディスプレイ周囲の黒い額縁部分も光沢塗装なので、これが気になることもありそうだ。
品質面では、液晶ディスプレイにドット抜けの輝点(常時点灯ドット)が存在した場合、購入後30日以内であれば無償で液晶パネルを交換してもらえる「ZBD(Zero Bright Dot)」サービスが付いているのはありがたい。
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