Internet Explorer 9はGPUで武装するMIX10(2/2 ページ)

» 2010年03月18日 17時00分 公開
[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]
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スパスパッと動くIE9を体感しようぜ

 ここでは、MIXのキーノートで紹介されたパフォーマンスデモの動画で、IE9の(開発途上ではあるが)性能を確認していこう。

「Rotating Logos」と呼ばれるデモ。各製品のWebブラウザアイコンが画面中を拡大/縮小/回転しながら飛び回る。比較画像で登場しているのはGoogle Chromeだ。IE9ではスムーズにロゴが動いている
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SVG1.1で描かれた小さいパーツ群から構成されるIEのロゴが崩壊するデモ。Google Chromeでは小片の数が多いほど動作が緩慢となるが、IE9はスムーズに動作している
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ベクトル画像が扱えるSVGでは、図面を拡大するほど文字が見やすくなり、線や曲線などの要素でもスムーズな描画を維持している。だが、文字に関しては拡大しすぎると文字の曲線でジャギーが目立つようになる。だがIE9ではGPUによるハードウェアアクセラレーションによりアンチエイリアスがかかるため、文字を拡大しても“あら”がそれほど目立たない。これもハードウェア・アクセラレーションの効果といえるだろう
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古参ゲーマーには懐かしいゲーム「アステロイド」(Asteroids)。登場当時はベクトル画像で描かれた精細なモノクロ画面が話題だった。現代のアステロイドはSVGでベクトル画像が表現されており、その名も「SVG-oids」となっている。IE9ではオブジェクトが増えてもパフォーマンスがそれほど落ちず、さらに背景を加えて拡大と縮小を行っても全体の実行速度に大きな影響を及ぼさない
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YouTubeもテストページを開設したことで最近話題となったHTML5による“Flashを使わない”動画再生だが、HTML5への対応をうたうIE9でも当然サポートする。逐次画面を止めているのは、HTML5ロゴを表示してFlash未使用であることをアピールするためだ
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ハードウェア・アクセラレーションが動画再生にどの程度影響しているのかを実証するデモ。Netbook上でGoogle Chromeを動かし、HTML5でHD動画(720p)を再生するとコマ落ちが目立つが、IE9では同じNetbookでも問題なく再生できる。右上にある緑色のパフォーマンスバーの長さを比べてみると分かりやすい。IE9ではデュアルコアをうまく活用していることが分かる。しかも、そのページでは2つのHD動画を同時再生していたというオマケまでついていた
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動画が張り付けられた複数のオブジェクトを、動画再生しつつ回転アニメーションさせるデモ。Google Chromeでも動作しているが、IE9では動画再生やアニメーションがよりスムーズだ。しかも、透過処理を施していて、オブジェクトの向こう側にある画像が透けて見える
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Microsoft Officeに登場するアシスタントとして欧米ではメジャーな「クリップ君」(筆者仮称)をSVGで描画した。その場でHTMLソースを書き換えることで、クリップ君の目の色が瞬時に変わる
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Windows XPでIE9は使えない

 Operaは別格として、Google ChromeやMozilla Firefoxに移っていたユーザーも、このデモを見るとIE9に興味を持ったのではないだろうか。IE9を試してみたいユーザーは、こちらのWebページで行われるβテストに参加できる。

 とはいえ、現状のIE9はパフォーマンスも互換性もすべてが開発途上にある。βテストで得られるユーザーや開発者からのフィードバックを反映しながら改良が加えられ、製品版ではさらにパワーアップするはずだ。

 このIE9β版だが、Test DriveのWebページにあるリリースノートによると、いくつかの注意点がある。まず対応するプラットフォームがWindows Vista Service Pack 2以降、またはWindows 7となっており、それ以前のWindows XPやWindows Vista Service Pack1などでは動作しない。またIE9導入前にInternet Explorer 8とDirectX 2D(D2D)がインストールされている必要がある。これを満たしていないとインストーラが正常に動作しない。

 IE9がWindows XPやWindows Vista Service Pack1以前をサポートしない理由について、ハチャモビッチ氏は「セキュリティとグラフィックスのサポートに起因する。そして、ユーザーの体験維持のため」と説明しているが、DirectXなどコンポーネント依存の話を差し引けば、Windows XPとWindows Vista旧バージョンからのアップグレードを加速させるのも狙いの1つと考えられる。

 もう1つの注意点は、HTML5の<VIDEO>タグサポートだ。IE9ではコーデックとしてMPEG-4/H.264のサポートを表明しているが、その一方でOgg Theoraのサポートは表明していない。現在のところ、<VIDEO>タグにおける標準コーデック採用について標準化団体の中で意見が分かれており、Webブラウザによって対応コーデックが異なっている。例えば、Google Chromeは標準で両コーデックをサポートするが、SafariではAppleが推進するMPEG-4/H.264を、Mozilla FirefoxはH.264で特許料が発生することを警戒するMozillaの意向によってオープンソースのTheoraのみを採用といった具合だ。いまのところ、YouTubeなどの再生で支障はないが、今後、動画配信サービスの利用で何かしらの問題が出てくる可能性があるだろう。

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