続いてパフォーマンステストを行う。
今回の評価機はクアッドコア/8スレッド処理に対応するCore i7-720QM(定格クロック1.6GHz/3次キャッシュ6Mバイト)、GeForce GT 330(グラフィックスメモリ1Gバイト)、8Gバイトのメインメモリ(PC3-10600対応DDR3 SDRAM 4Gバイト×2/注:国内仕様は最大6Gバイトまで)、250GバイトのHDD(Serial ATA/7200rpm/PCに落下センサーによるヘッド移動機能搭載)を搭載し、OSは64ビット版のWindows 7 Ultimate(英語版)をプリインストールしたものだ。国内向けの仕様と異なる部分があるので、値は参考値として見てほしい。
ベンチマークテスト | Vostro 3700 (Core i7-570QM+GeForce GT 330) |
参考:IVostro 3300 (Core i3-330M+CPU内蔵グラフィックス) |
参考:Inspiron 13z (Core 2 Duo SU9400+GeForce G105M) |
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PCMark05 | CPU | 7190 | 5638 | 3686 |
Memory | 8337 | 4966 | 3675 | |
Graphics | 6305 | 3134 | 2986 | |
HDD | 5289 | 3800 | 5307 | |
3DMark06 1024×768ドット |
3DMarks | 7972 | 1626 | 2754 |
SM2.0 | 3169 | 479 | 1085 | |
HDR/SM3.0 | 3258 | 676 | 1064 | |
CPU Score | 3055 | 2274 | 1284 | |
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3 |
Low | 9917 | 3223 | 6336 |
High | 8194 | 2124 | 4110 | |
PCMark Vantage 1024×768ドット |
PCMarks | 5260 | 3492 | 3345 |
Memories Suite | 3412 | 2292 | 2242 | |
TV and Movies Suites | 3843 | 1055 | 2283 | |
Gaming Suites | 5304 | 2635 | 2580 | |
Music Suites | 4992 | 3505 | 3735 | |
Communication Suites | 4023 | 3301 | 3133 | |
Productivity Suites | 4653 | 2771 | 2960 | |
HDD Test Suites | 3279 | 2567 | 3633 | |
3DMark Vantage Entry |
3DMARK Score | E11989 | E3127 | E3475 |
GPU Score | 12423 | 2689 | 4179 | |
CPU Score | 10851 | 6105 | 2855 | |
CrystalDiskMark 2.2 (5/100MB/C: Mバイト/秒) |
連続リード | 75.65 | 35.07 | ─ |
連続ライト | 75.76 | 44.66 | ─ | |
512Kリード | 30.28 | 19.79 | ─ | |
512Kライト | 35.88 | 24.95 | ─ | |
4Kリード | 0.369 | 0.39 | ─ | |
4Kライト | 1.095 | 0.353 | ─ | |
CPUやメモリ、グラフィックス系のスコアは、Core i7-720QMと外部GPUのGeForce GT 330の効果でノートPCとしては非常に高い。ストレージは7200rpmタイプながら2.5インチHDDであるために値は標準的だが、それでも総合的には昨今のコンシューマー向けハイエンドノートPCに劣らない優れたスコアをたたき出す性能を持っていることが分かる。
ちなみに、標準構成ではGeForce GT 330ではなくCPU統合グラフィックス(Intel HD Graphics)仕様となる。より高性能な構成を望むなら、評価機と同様のCore i7と外部GPUのオプション追加済みモデル「フルスペックビジネスパッケージ」などを選ぶとよいだろう。
Vostro 3700は、カタログ公称値で最大4時間30分動作する6セルバッテリー(11.1ボルト/56Wh/4.84Ah)が付属する。評価機に実装していた11.1ボルト/90Wh/7.86Ah仕様の大容量(8セル)バッテリー(単体重量505グラム)において、電源プランを「Power Saver(省電力/ディスプレイの輝度はバッテリー動作時の標準設定)」に設定し、「BBench 1.01」(海人氏作)を用いて、10秒ごとにキー入力、60秒ごとに無線LAN(IEEE802.11g)によるWebサイトを巡回する条件で計測したところ、約267分(約4時間27分)動作した。容量比で算出すると、6セル標準バッテリーの動作時間は約160分(約2時間40分)ほどというところだろうか。
これだけ大型のノートPCということで、コンシューマー用途ではバッテリー動作するシーンは少ないと思われる。ただ、オフィスで使用するビジネス用途では状況が少し異なるだろう。プロジェクター出力なども行う会議で煮詰まって長引き、連続で次の会議にも出席することなども想定すると、会議を数回分こなせるほどバッテリーで動作すると安心できる。
Vosto 3700は、大画面と最新の高速CPU+外部GPUの構成も選べる「法人向けで、最速クラスに仕上げられるノートPC」だ。そのコストパフォーマンスは大変高く、数年前のデスクトップPC程度なら軽く越える実力がある。
ただ、それだけにフルHD(1920×1080ドット)表示に対応するBTOオプションも用意してほしかった。確かにVostroシリーズはSMB市場向けで、コストを重視するPCであるため、フルHDパネルとなると本体価格が跳ね上がることは予想できる。とはいえ、17.3型ワイドと大きいサイズのディスプレイを採用すること、そして今回の評価機であるCore i7-720QM+GeForce GT 330+64ビット版Windows 7+大容量メモリの構成を選ぶほどのユーザーとなると、やはりそれなりの高度な専門業務を担うユーザー層と思われるためだ。
一方、Vostro 3700の17.3型ワイドというディスプレイサイズは、国内の法人ユーザーにおいては一見オーバースペックと感じるかもしれない。ただ、Core i3-330M(これでも、よくあるオフィスの利用においては不満なく、快適だと思われる)を搭載する最小構成例で7万7980円から(2010年4月12日現在)。実は、Vostro 3000シリーズの4モデル(13.3型ワイド/14型ワイド/15.6型ワイド/17.3型ワイド)でも売れ筋と思われる13.3型ワイドモデルと価格はほとんど変わらない。オフィスのデスクに据え置いて使うなら、十分な性能/大きく見やすい画面/時に持ち出せること/省スペース・省電力性/光学ドライブなどもしっかり搭載──などの項目で、デスクトップPCに劣らないメリットを見いだせる。
また「余計なプリインストールソフトなど不要」「ハイスペックPCを、できるだけ安価に導入したい」と思う個人ユーザーにも勧められる。何せ、今回の評価機構成に近い「Vostro 3700 クアッドコアCPU+6GBメモリ搭載フルスペックビジネスパッケージ」(64ビット版Windows 7 Business/Core i7-720QM/GeForce GT 330/6Gバイトメモリ/500GバイトHDD/IEEE802.11a/b/g/n対応無線LAN/DVDスーパーマルチ/3年間 翌営業日対応オンサイト保守サービス)で13万9980円だ。余った予算で高速なSSDに換装すれば、平均的だったストレージのパフォーマンスも大いに高められそうだ。
SOHOや中小企業といえども、業務内容や業務スタイルは人それぞれ。企業内の一括導入においては、さすがに社員個別の希望通りの構成にするわけにはいかない事情もあるが、せめて画面サイズくらいは……どうだろう。同一プラットフォームで価格帯もほぼ同じ、カスタマイズメニューもほぼ同様のVostro 3000シリーズは、こんな社員ニーズと、少しでも導入コストを抑えたい導入決定担当者の思惑をうまくバランスさせたラインアップになっている。
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