こうした、“3D専用アクセラレータ”的な発想は、Optimus Technologyが初めてではない。DirectXが登場した初期にあった「PowerVR」ベースの3Dアクセラレータ(NECのPC 3DEngineなど)においても、同じようなことがPCIバスベースで実現されていた(デスクトップPC向けだが)。Optimus Technologyでは、アクセラレータにディスプレイコントローラを内蔵したGPUを採用していることで、もう“ひとひねり”ができる。それは、外付けGPUのディスプレイコントローラを利用することで、内蔵液晶ディスプレイを含め、最大4台のディスプレイ出力を実現していることだ。
とはいっても、普通のノートPCに外部ディスプレイコネクタは3基も用意されていない。ThinkPad Tシリーズの場合、本体が備える外部ディスプレイコネクタはDisplayPortの1基のみだ。つまり、4画面(搭載する液晶ディスプレイ+外部ディスプレイ3台)構成を利用するには、最低2ポートの外部ディスプレイコネクタを備えたドッキングステーションが必須になる。
Optimus Technologyそのものは、NVIDIAが開発したものであり、この技術を採用したノートPCは、ThinkPadが初めてではない。すでにコンシューマー向けのノートPCでOptimus搭載製品がいくつか発表されているが、ドッキングステーションなどのアクセサリを標準サポートしたビジネス向けノートPCとしては、今回発表されたThinkPadシリーズが初めてとなる(採用する外付けGPUもビジネス向けのNVS3100Mだ)。
現在、ThinkPad Tシリーズで4画面構成に利用可能なドッキングステーションとして、ThinkPadミニ・ドック3(433710J)と、ThinkPadミニ・ドック・プラス3(433810J)の2つを用意している。前者では、DVIとDisplayPortの2基、後者ではアナログVGA出力、DVI×2基、DisplayPort×2基の中から、2つを選んで接続する。なお、4台構成で利用した場合も、外付けGPUと統合型グラフィックスコア間のリンクは生きており、どの画面上で3Dアプリケーションを起動しても、Optimus Technologyによるアクセラレーションを利用できる。
Optimus Technologyの採用により、ThinkPadのバッテリー駆動時間は、外部GPU専用モデルやスイッチャブルグラフィックスモデルと比べ33%向上したという。また、統合型グラフィックスコアのみを採用するモデルに対して、3D性能は70%向上したとレノボは述べている。統合型グラフィックスコアでは性能が足りないが、バッテリー駆動時間も重要だというユーザー、そして、(こちらも意外と多いと思われる)4画面をThinkPadで運用したいというユーザーにとって、注目すべき技術といえるだろう。
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