今回入手した機材は直販モデルで、Athlon II X2 270u、4Gバイトメモリ、320GバイトHDD(7200rpm)、ATI Radeon HD 4270、64ビット版Windows 7 Home Premiumというスペックだ。この構成でベンチマークテストを実施した。
Windowsエクスペリエンスインデックスのスコアは右に掲載した画面の通りだ。チップセット内蔵グラフィックスのため、グラフィックスのサブスコアが4.3と少し低いが、そのほかのサブスコアは5.4以上と、やはりWindows 7で日常的な作業を行うのに十分なレベルにある。
各テストの結果は下のグラフに掲載したが、CPUの動作クロックが2.0GHzと低いため、やはりスコアもそれなりで、全体的なパフォーマンスは低価格ノートPCに近い。
PCMark Vantageの総合スコア(PCMark)が3660、PCMark05のCPUスコアが4748なので、インテルのCULVクラスよりははっきり上だが、通常電圧版のCore i3/i5などを搭載したノートPCには見劣る部分が多い。やはり同じAMDのモバイル向けCPUであるTurion II X2やAthlon II X2を搭載したノートPCと似たようなスコアとなっている。
3Dゲームには当然向かないが、FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3ではLow設定で6636、High設定でも3972とそこそこのスコアが出ており、FINAL FANTASY XIのような描画負荷の低いゲームであれば普通にプレイできる。
静音性は非常に優秀だ。室温24度、暗騒音30デシベルの室内にて本体(画面)正面から30センチの距離で測定した騒音レベルは、アイドル時と高負荷時でいずれも32.5デシベルと変わらなかった。暗騒音30デシベルの静かな環境では電子機器が動作していることが分かる程度の音はするが、マイルドな音でほとんど気にならない。
また、同様の環境においてシステム全体の消費電力をElectronic Educational Devices製のワットチェッカー「Watts up? PRO」で測定してみた。Windows 7の電源プランはデフォルトの「バランス」で、5分後に画面の明るさが30%に下がる設定になっている。
結果はアイドル時の電力が52.3ワット、5分経過後にディスプレイ輝度が低下した時点では45ワットとなった。PCMark Vantage実行中の最大電力は約80ワットだが、液晶ディスプレイの電力も含まれていることを考えると、かなり優秀ではないだろうか。
直販モデルの価格は、冒頭でも述べたように5万9850円からとなっている。ハードウェアスペックは固定なので、選べるのは保証期間やサポートの種類、外付けHDDの追加などだ。
液晶一体型PCを検討する際には、ノートPCも比較対象になるかもしれない。日本HPの個人向けラインアップでは、「HP Pavilion Notebook PC dv6a」(冬モデル・AMDプロセッサ搭載モデル)の最小構成がほぼ同価格で性能も近いと思われる。
ノートPCに対する最大のアドバンテージは液晶ディスプレイだろう。ボディが大きいぶんだけ画面が大きく、表示解像度も高くて使いやすい。また、放熱設計も容易なために静音で、ボディとキーボードが独立していることから、ボディの熱がキーボードに伝わってきたりすることもない。もちろん、省スペース性ではノートPCにかなわないが、据え置きで利用することが前提であれば、ノートPCの代わりに液晶一体型PCを検討してみてもよいだろう。
液晶一体型PCとしてはかなりの低価格ながら、1600×900ドット表示の20型ワイド液晶ディスプレイを搭載しつつ、Windows 7で一通りの操作を行うのに十分な性能を備えており、コストパフォーマンスは非常に高い。静音テストの結果からも静音性の高さは実証されている。この価格帯でこれだけの性能と静音性を両立させるのはノートPCでは困難だ。液晶一体型PCならではのメリットもしっかり生かした魅力的な製品といえる。
初めて購入する入門用PCとして、または家族共用のPCに買い足す個人用のPCとしても適している。さらに、NetbookやNettopではパフォーマンスが物足りないと感じているユーザーのステップアップにもおすすめできる製品だ。
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