第2世代のCore iシリーズとIntel HM65 Expressによる構成は消費電力性能の点でも優れている。dynabook Rシリーズ(および旧dynabook RXシリーズ)は東芝独自の省電力性向上の取り組みとともに、そもそもビジネス向けのモバイルノートPCのスペックに欠かせない「長時間のバッテリー動作時間」を大きな特徴とするが、今回のdynabook R731/39Bはそれをさらに向上させた仕様となった。
まず、6セルの標準バッテリーと9セルの長時間バッテリー、2種類のバッテリーが標準で付属する。容量は6セルバッテリーが66ワットアワー(10.8ボルト)。9セルバッテリーが93ワットアワー(10.8ボルト)で、それぞれの動作時間は6セルバッテリーで約13時間、9セルバッテリーは約18時間。──合計すると約31時間だ。なんとまる1日以上、1日8時間業務で換算すると4日分弱もバッテリーだけで仕事できる計算となる。
さらに、東芝独自の省電力設定「ecoモード」も用意する。キーボード右上に専用のボタンを設け、ディスプレイの明るさやスリープ/ディスプレイオフまでの時間を短くするなど、積極的に省電力で動作するecoモードと通常モードに容易に切り替えられる。もう1つのボタンは、プレゼンテーション時に便利な外部ディスプレイ出力をワンタッチで切り替える「東芝プレゼンテーションボタン」となっている。アナログRGB接続で最大2048×1536ドット、HDMI接続で最大1920×1080ドットでの表示を可能とする。
バッテリー動作時間の長時間化とともに、モバイル利用時にうれしい機能として「パネルオープンパワーオン」機能も新たに追加した。これは、ディスプレイを開く動作を電源オンと連動させるもので、スリープや休止状態からの復帰(これはたいていのノートPCでも可能)だけでなく「シャットダウンした状態」からも電源をオンにできるようになっている。
ecoモードにした起動中(アイドリング時)でも10ワット前後(よくある小型の白熱電球1つより低い)と、そもそも低消費電力の本機だが、パネルオープンパワーオン機能は、電源を完全に落として待機消費電もオフにするエコを意識した使い方をしながら、いざ使う時に手間なくさっと起動できるのが意外に便利だ。ちょっとしたBIOSレベルの工夫で実現したというが、そういえば、ノートPC全般でなぜこれまでなかったのか不思議である。
dynabook Rシリーズは、これまでのモデルも含めて、薄型で過度な装飾を廃したシンプルデザイン、1キロ台前半の軽量ボディ、光学ドライブ内蔵、過不足ないインタフェース、高速なパフォーマンス、そして長時間のバッテリー動作と、オフィス・自宅・モバイルのどこでもこれ1台でこなせる、ビジネスPCとして理想的な特徴を持っている。Sandy Bridge世代に一新したdynabook R731は、さらにこのレベルを高めた。
筆者はその理想を手にするため、つい数か月前に2010年夏モデルのdynabook RX3/T9Mを購入したが、不満まではいかずとも若干のパワー不足を感じたのがグラフィックス周りの性能だった。それが、dynabook R731はグラフィックス性能を含めて基本性能をかなり強化した第2世代のCore i5-2520M搭載となったことで、カタチは同じなのに何ともうらやましいパフォーマンス向上を果たしていた。これはまだ買い換えられない筆者にとって、予想はしていたがかなり悔しいものだ。
さらにサイズや重量は変わらず、バッテリー動作時間が6セル、9セルバッテリーともに約2時間も長くなっている。夏場の計画停電に備え、そもそもの節電はもちろん、それにともなう在宅勤務導入を検討するオフィスが増えているとの報道があるが、そういったシーンも含めてdynabook R731はビジネスユーザーに大変心強い。オフィスでも出先でも快適に作業したいなら、購入候補の筆頭としておすすめできる1台といえるだろう。
dynabook R731は今回検証した店頭モデルの最上位機種「R731/39B」のほか、実売12万円前後より用意するCore i3-2310M搭載の「R731/16B」、あるいは同社Web直販サイト“ダイレクトPC by Shop 1048”で、Core i7-2620M(vPro対応)搭載の高性能モデル「R731/W2UB」なども用意する。
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