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高品質を手頃な価格で
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「ThinkPad Tシリーズ」は、ThinkPadの開発を担当している日本IBM大和事業所の中でも特に力の入る製品である。というのも、全ThinkPadの中でTシリーズが世界中で最も多くのモバイルビジネスユーザーに親しまれ、多くの予算を割いてさまざまな技術を導入できるIBMの主力機種となっているためだ。
そのため、というわけではないだろうが、ThinkPad Tシリーズはこれまでも、多くのパーツを国内調達してきた。もちろん、CPUやチップセット、液晶パネルなどは国外からも調達しているが、キーボードやヒンジ、筐体など、メカまわりのパーツ調達は日本で行っている。日本製だから良いという単純な理由だけではなく、国内製パーツを使った方が部品メーカーとのコラボレーションを行いやすいという理由もあるだろう。
このような書き出しでTシリーズを紹介したのは、日本製の良さを訴える気持ちからではない。国内生産比率が高いほど価格は高くなってしまう昨今、ThinkPad Tシリーズは他社製品比較で割高なパソコンという見方が強くされてきた。
実際に利用してみると、重要な部分でコストをかけ、何とも言えず良い製品になっていることを感じることができる。しかし、CPU性能やメモリ容量、ハードディスク容量といったスペックが重視されるPCの世界では、なかなかそうしたThinkPad Tシリーズの良さが伝わらない。どんなに良い物作りをしても、高すぎて売れないようならば、せっかく気合いの入った設計をしても評価されない。
今回、IBMはそうしたジレンマに挑戦したようだ。新しいThinkPad Tシリーズは、決して低価格ではないが、ハードウェア構成によってはかなりお買い得なプライスタグをぶら下げるようになった。上位モデルにしかSXGA+液晶パネルを採用していないなどモデル構成面での不満はあるが、品質と価格のバランスはピカイチと言っていい。
バッグへの収まりの良いカタチ
ThinkPad T40は、携帯用ビジネスノートPCとしてはワールドワイドのスタンダードとも言える14.1型サイズの液晶パネルを搭載。A4ファイルに近いサイズで決して小型な機種ではないが、非常に薄い仕上がりとなっている。
しかも単に先端部が薄いだけではなく、製品全体がほぼ均等な厚みになっているため、バッグへの収まりがいい。薄さを売り物にした機種の中には、薄いのは先端部だけで、後ろになるほど分厚くなるものもある。しかし、そうした楔形のフォルムは、カバンへの収まりが今ひとつ悪い。ビジネスツールとして常にPCを持ち歩きたいならば、製品全体のフォルムがフラットな本機のスタイルに注目すべきだろう。
本体のサイズは311(W)×255(D)×26.6〜31.4(H)mmで、以前のモデルよりも約10mm薄型化されている。重量は約2.25kgで、ウェイトセーバーベゼルを使用すると約2.06kgに軽量化できる(クリックすると拡大します)
※カメラ位置などの関係で、実際のサイズとはやや違った見え方になる場合があります
ヒンジの質感が高い点にも感心する。大きな抵抗感なく液晶パネルが開き、好みの位置でピタリと決まる。少々振動を加えても開き具合は変化せず、振動もほとんど残らない。下半分がカーボンファイバ強化プラスティック、上半分がマグネシウム合金の筐体も、ダブルラッチでしっかりとホールドすれば、堅く歪みにくい筐体となる。
さらに今回、HDDをラバーマウントしつつ、ドライブ交換も容易なショックアブソーバを新たに組み込んだ。筐体に対して垂直方向の衝撃に強くなる。ThinkPadお得意のラバー風のペイントにも工夫が施され、指紋が付いても拭き取りやすくするなどの配慮が行われている。
そうした改良ばかりではなく、他のThinkPadシリーズと同様に、筐体上面が下部全体を包み込むようなデザインを採用。薄い筐体でありながらも、ThinkPadデザインの基本はすべて押さえられている。
[本田雅一, ITmedia]
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