> レビュー		2003年5月28日　11:59 PM 更新

自由なアングルで撮影できる回転式レンズ搭載デジカメ
ソニー　サイバーショットFX77 DSC-FX77（1/3）

	総合評価 8 デザイン・ユーザーインタフェース 8 基本性能 8 各種機能 7 機動力 9 メンテナンス性 9 レイティングポリシー

評価のポイント

デザイン・ユーザーインタフェース

　初代サイバーショットの流れを受け継ぐレンズ回転式の最新モデルが「サイバーショットFX77」。相変わらずレンズは単焦点のままだが、従来の同系統モデルに比べて二回りくらい小さくなり、薄く、持ち歩きやすくなった。親指でレンズ部を押して回転させると電源も同時にオンになるという仕組みは、なかなかいい。

　レンズを90度回転させて正面を撮るのもいいが、160−180度くらいまで回し、カメラを胸や腰の高さで構えて正面を撮る、という使い方をするとカメラも安定するし、アングル的にもほどよい高さになる。さらに回すと自分も撮れる。ただ、レンズがもうちょっと回しやすいと全体の操作がスムーズになったはず。それは残念。ある程度は、“このユニークなスタイルのデジカメを持つ”ところに価値を見いだした人向けかもしれない。

基本性能

　価格や性能を考えるとレンズがズームでないのはちょっと弱いが、単焦点にとどめたところが潔いということもできる。画角は37mm相当（35mm換算）と、もうちょっとワイドでもいい気はするが、別売のワイドコンバージョンレンズを装着すれば多少見た目はゴツくなるものの、28mm相当になる。これを着けて28mmの単焦点デジカメとして楽しむのも面白そうだ。

　写りはソニーらしい自然でさわやかな発色。階調も比較的滑らかでダイナミックレンジも悪くなく、クオリティは非常に高い。だが、ややエッジ強調が強めなのが気になるのと、屋外での撮影でも、構図によってオートホワイトバランスが微妙にずれて期待した色が出ないことがあるのは残念な点だ。フルオートとプログラムオートモードでは、1/30秒以下にシャッタースピードが落ちないようリミッターがかかる仕様になっているのも、手ぶれを防ぐためとはいえ残念な点。

各種機能

　撮影アングルをさまざまに変えられるソニー独自の上部回転式レンズがサイバーショットFX77のすべてといっていい。正面、上、手前と300度ちょっと回転するので、上手く使えばいろんなアングルで自由な撮影ができる。これは大きなアドバンテージだ。

　サイバーショットFX77は、Bluetoothを内蔵している。現在のところ、FX77同士の画像転送やBIP（Basic Image Profile）プロトコルに対応したパソコンへの画像転送、Bluetooth対応インクジェットプリンタへのワイヤレスによるダイレクトプリントなどの機能を持っている。Bluetoothなら何でもいいわけではなく、BIPに対応していないとダメなので、汎用性という面ではまだ未知数である。それ意外は、基本的にフルオート系のデジカメであり、撮影機能は非常にシンプルだ。シーンモードは4種類、動画機能も320×240ピクセルのMPEGムービーと、2002年版サイバーショットの仕様となっている。

機動力

　起動は公称0.9秒。下に向いたレンズを回転させると同時に電源がオンになって撮影可能になるが、もっと素早く撮影したいときは、あらかじめレンズを回転させて出しておき、側面の電源スイッチを押すといい。そうすれば瞬時に撮影可能になる。これは非常に高速。AFの合焦速度も速く、操作もキビキビとしており、撮影の快適さという面ではピカイチだ。ボディも撮影時重量で185グラムと200グラムを切っているし、厚さが27ミリというのもいい。レンズが沈胴しないので出し入れも気楽だ。

メンテナンス性

　専用のクレードルが付属し、そこに液晶モニタを手前にしてセットするだけで充電開始。クレードルの背面にはUSB端子があり、その横にUSBのオン／オフスイッチがある。USBスイッチがオンになっていれば、クレードルにセットしたサイバーショットFX77の電源スイッチを入れるとUSBモードで起動し、パソコンとのデータのやりとりが可能になる。USBスイッチがオフであれば、FX77のスイッチを入れるとFX77が単体で起動し、そのまま撮影したり、撮影画像を再生できる。面白いアイデアだが、USBスイッチが背面にあるのが残念な点だ。

総合評価

　他に類を見ない個性的なデジカメで、回転レンズデジカメの中では最も軽量な製品だ（大きさだけならニコンの「COOLPIX SQ」の方が小さい）。しかも、レンズ部が回転する円筒形になっているというデザインはサイバーショットのみ。画質もよく、起動も迅速で、機能は多くないが使い勝手もいい。

　もし難点をいうとすれば、レンズがやや望遠気味であることと、単焦点の割にはまだちょっと大きめということ。カードサイズとは言わないが、もう少しコンパクトになり、レンズの回転がスムーズになれば言うことはない。Bluetooth機能も現時点では活用範囲が限られているので、サイバーショットFX77よりもBluetoothなしモデルのサイバーショットF77にした方がいいかもしれない。ズームはいらないのでカメラくさくない気軽な常時携帯用デジカメや、友達とわいわい遊びたいデジカメが欲しい人向けだ。

ベンダー製品担当者からの一言

　回転レンズ搭載で、自分撮りが簡単にお楽しみいただけます。液晶モニタを見ながら構図を決定できるので、写したい背景を入れることもできます。薄型・コンパクトボディにサイバーショットFX77はBluetooth機能を搭載し、ワイヤレス転送、ワイヤレスプリント、定点観測などをお楽しみいただけます。（ソニーマーケティング デジタルイメージングマーケティング部 蔭下孝樹）

主要スペック

有効画素数	約400万画素
レンズ	37mm相当（35mm換算）、F2.8
ズーム	単焦点
最大画像解像度	2272×1704ピクセル
記録メディア	メモリースティック/メモリースティックDuo／メモリースティックPRO
バッテリ	インフォリチウム充電池
サイズ（W×D×H）	98.1×27×71ミリ（突起部除く）
重量	約157グラム（本体のみ）／約185グラム（バッテリ、メモリースティックなどを含む）

[荻窪圭, ITmedia ]

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