> レビュー 2003年7月7日 03:27 PM 更新

CONTAX Tの系譜に連なる最高級コンパクトデジカメ
京セラ CONTAX TVS DIGITAL(2/4)

製品写真
総合評価7
画質9
カメラ性能8
デジタル性能7
デザイン・インタフェース7
機動力6
レイティングポリシー

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バリオ・ゾナーT*レンズはさすがの描写力


 とうとう京セラからCONTAXブランドのデジカメが登場した。10万円を超える価格ながら大ヒットとなった超高級コンパクトカメラ「CONTAX T」シリーズの名を持つ「CONTAX TVS DIGITAL」である。

 現在、35ミリフィルムのCONTAX Tは単焦点の「CONTAX T3」(9万8000円〜)と2倍ズームレンズを搭載した「CONTAX TVSIII」(16万円)があるが、CONTAX TVS DIGITALはズームレンズを搭載しているので「TVS」の名が付いてはいるものの、デザインはCONTAX T3をデジタル化したようなテイスト。よりシンプルで高級感のあるチタン外装のボディを持っている。価格もシルバーで12万8000円である。500万画素ハイエンドフラッグシップ機とすると妥当な希望小売価格、フルオート系の500万画素コンパクト機としては3万円ほど高めの設定だ。銀塩のCONTAX Tに比べると、非常に安い。

 CONTAX TVS DIGITALの一番のウリは、なんといってもレンズ。CCDは1/1.8インチ500万画素という2002年秋から使われ始めたポピュラーなものだが、そこに光を集めるレンズがバリオ・ゾナーT*。重要なのは「T*」(ティースター)で、これはカールツァイス独自の多層膜コーティングを表す。簡単にいえば、そのコーティングのおかげで逆光に強い。多くのレンズでは逆光の影響で変に光る箇所があったり、メインの被写体に光が被ってしまうが、CONTAX TVS DIGITALでは逆光でもくっきり写るという。確かに、多くのデジカメが苦手とする逆光時でもきちんと対処できるのは嬉しい。

 画角は35ミリからの3倍ズームで、明るさはF2.8〜4.8。ハイエンド機ならテレ端でもうちょっと明るいと嬉しい。撮影距離はマクロモードで最短15センチ。これはCCD面からの距離なので、レンズ先端からはもっと近寄れる。ただ、マクロモード時はワイド端固定になるのは残念。コンパクトだけどハイエンドという位置付けを考えれば、全域で15センチまで寄れるくらいの性能がほしかったところだ。

 画質は基本的に濃いめで、メリハリが効いたシャープな絵である。ハイブリッド赤外線カットフィルタによって黒にも締まりがあり、逆光にも強く、色もきれい。ただ、AFやオートホワイトバランスにややばらつきがあり、特にホワイトバランスのブレが気になった。屋外なら太陽光固定で撮ってしまった方がいいだろう。

ISO感度が1/3段刻みで変更できるのは素晴らしい

 ISO感度は80から400までを1/3段刻みでセットできる。ほとんどの機種が1段ずつ(100→200→400)なのに対し、1/3段ずつ(80→100→125→160→200……)セットできるのだ。これは素晴らしい。デジカメはフィルムカメラと違って1枚ずつ感度を任意にセットできるため、絞り値とシャッタースピードとISO感度の3つの組み合わせで露出を決定できるのだ。1/3段ずつだと増感によるノイズと相談しながら、シャッタースピードをギリギリまで上げたり絞り込んだりできる。そうすることでセッティングの自由度が飛躍的に上がる。これは他のマニュアル系デジカメも真似すべき点だ。

 さらにデジカメらしいのは、撮影中に頻繁にいじりたい露出補正とホワイトバランスとISO感度の三つをまとめた専用のメニューを作ったこと。おかげで、撮影時はこのメニューだけで必要なパラメータの変更ができる。よく考えられた構成だ。

 ユーザーインタフェースは、円形十字キーを囲むようにX字型に四つのメニュー用ボタンが配置されたもの。一つが露出補正/ホワイトバランス/ISO感度、一つがクイックプレビュー、残り二つはカメラメニューとデジタルメニューである。煩雑になりがちなメニューをカメラ系とデジタル系に分けたのも評価したい。よい発想だ。デジタル系メニューではシャープネスや彩度の変更もできる。コントラストの強さがないのは残念だが、試みはよい。


注目すべき背面デザイン。円形十字キーの斜め上下左右にボタンが並んでいる。カメラ系とデジタル系を分けたメニューなど、なかなか工夫されているうえにシンプルにまとまっていてよい。円形十字キーの中央が実行ボタンになっているが、操作はしやすい

 液晶モニタは、京セラ得意の「デイファイン液晶」。透過型液晶モニタはバックライトよりも強烈に明るい場所(晴天下)では極端に見づらくなるという欠点を持つが、デイファイン液晶はそれを防ぎ、晴天下でも視認性があまり落ちない。

 ただ、最新のデジカメに搭載されている液晶モニタに比べるとコントラストや色の鮮やかさで劣るため、見栄えがあまりよくないのが残念。撮影後にプレビューを見ても今ひとつ仕上がりのイメージが湧きづらいのだ。デイファイン液晶の登場時よりも透過型液晶の性能が上がっていることもあり、当時に比べるとメリットは減ってきた感じがする。もうちょっと発色と輝度を改善してほしいと思う。

[荻窪圭, ITmedia ]

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