高品質実現
東芝の目指す理想的ノートPCはこうして生まれる(2/4)

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 さらに筐体の周囲にエラストマ材と呼ばれる衝撃吸収能力の高い素材を配置。デザイン上のアクセントとして、シルバーのラインをサイドに配しながら、同時に耐衝撃性を高めることに成功している。

 「東芝基準を満たしているのは同じ。しかし、その基準内でデザインを進化させている」

パームレスト加圧試験


パームレストの強度を試す試験。デスク上に置いたdynabookのパームレストに両手をつき、人間がいすから立ち上がることを想定している。パームレストが歪む様子が良く分かる

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ヒンジ開閉試験


ヒンジの耐久性を調べるための試験。液晶部分の中央ではなく端を持って開閉させることで、よりヒンジにとって過酷な試験を行う

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東芝オリジナルの技術が生きる電源部

 一方、PCの回路設計に関してはどうだろう。かつては独自にチップセットを開発し、その機能や安定性を武器としていたdynabookシリーズだが、現在は他社と同様にインテル製チップセットを採用している。チップセットにはPCの主要な機能がすべて詰まっているため、同じチップセットを使っている限り、大きな違いは出ないのだろうか?

 実はあまり広くは知られていないが、現在のノートPC設計で最も手間がかかり、基板面積上でも大きな割合を占めているのは電源回路。現在のPCはデバイスごとに多くの電圧を必要とする。その上、ノートPC向けプロセッサは動作周波数ごと、異なる電圧で動作するという複雑な動作となっているのが一般的。さらに近年はグラフィックスチップも、動作周波数ごとに電圧が切り替わる仕組みを導入するようになってきた。

 「電源設計はノートPCの基板設計を行う上で重要な要素になっています。しかも、我々のポリシーとして電源回路は安全に安全を重ねたものにしています。よって、安全上重要な部分は内蔵コントローラによる保護だけに頼らず、ハードウェアによる保護回路も設けるという配慮もしています。基板の小型化の要求があるからといって、電源回路の面積をケチり、保護回路を省略するといったことは絶対にやってはなりません。むしろ何重にもわたる保護回路を安全上重要な部分には施しています」

 複雑さを増す一方の電源回路に関しては、よりシンプルに優れた回路を設計できるよう、業界内で標準化を進める動きもある。電源回路設計の善し悪しは、安全性に加え、消費電力にも一定の影響力があるためだ。東芝はそうした動きに先駆けて、独自に部品メーカーと協業し、電源回路の品質を高める努力をしているというわけだ。

 「基本的に電源回路には、サイズの大きな部品を使った方が効率が良いんです。しかし我々は、薄型を要求される製品では高さ3.5ミリという制限を設け、その中で変換ロスが少なく、小型の回路を組めるように専用部品を開発してもらう。だから汎用品として出回っている部品の中には、東芝の要求で作られたものも多く見かけます。そこまでやって、なんとか実装面積や体積を増やさず、複雑化が進んでいるノートPCの電源回路に対応できています」

 もっとも、課題はまだまだ多い。現在のテーマは、幅広い消費電力のノートPCに対応していくことだ。現在のノートPCは、超低電圧の省電力モバイルノートPCもあれば、100ワットクラスの強力なプロセッサを搭載するデスクノートまである。これまでのようにプロセッサやチップセットがほぼ同じならば、電源回路は共通のものを用いることができたが、今後はモデルバリエーションごとに設計を変える必要があるかもしれない。

 「例えば90%の電源効率だったとすると、100ワットのマシンでは10ワットのロスが出ることになる。省電力化も大変ですが、消費電力が大きなノートPCも、電源周りの設計は重要なんですよ」

[本田雅一, ITmedia ]

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