> コラム 2003年10月27日 11:54 AM 更新

日本人とiTunes(3/3)


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 また転送のベースとなるプレイリストの作成機能の差が、ここでは大きく影響する。iTunesでは、常にどのプレイリストに対しても曲の追加などのエディットが可能なのに比べ、MusicMatchでは操作できるプレイリストは一つで、エディットするには、一端MusicMatch内にプレイリストを読み込む必要がある。こまめなプレイリストのメンテナンスにはあまり向いていない。

iPodとの連携に関しては、iTunesを使うメリットは大いにある。

あとの課題は……

 最後にインターネットラジオを比較してみよう。iTunesのラジオリストは、カテゴリー別に分類されており、ビットレートも表示されるため、ハイレートなものをチョイスできるというメリットがある。しかし基本的にはラジオはラジオで独立した機能だ。またチャンネルも基本的には各局のありように任せている。ただラジオステーションもプレイリストに入れらて、お気に入りステーションを作れるのは面白い。

iTunesのラジオはステーションのありようそのままだ

 一方MusicMatchのインターネットラジオは、新バージョンでちょっと仕組みが変わって筆者もとまどっているのだが、基本的には自社でがっちり管理しており、音楽ダウンロードサービスやCD購入サービスと密接に連携している。以前はMusicMatch MXという有料サービスを利用しないとCDクオリティで聴けなかったのだが、新バージョンでは一部のラジオは無料でもCDクオリティで聴けるようになったようだ。

MusicMatchのラジオは、ダウンロードサービスとがっちり連携している

 カテゴリー別の他にも年代別などで聴くことができるが、自分の好きなアーティストだけのチャンネルを作るといった「Artist on demand」機能は有料である。しかもそれが可能なMX Platinumという機能は、日本からは利用できない。

 仮に全サービスが利用できると仮定してラジオ機能を比較すると、プレイ中の曲をその場で購入できるMusicMatchの新サービスは、なかなか良いように思える。ラジオと組み合わせることで、販売のプロモーションも兼ねるというわけだ。また基本的にラジオなので、プレビューではなく1曲全部を聴けるのもうれしい。

 話がショッピングのほうにそれたので、iTunesも、利用はできないがその機能を見てみよう。iTunes内からアーティストやアルバムを能動的にブラウジングあるいは検索して、30秒ほど視聴した後、購入するといったスタイルだ。ポジティブな行動を要求される分、利用から購入に至る率は高いと思われるが、1曲ごとに買えるという点、買うものがデータであるという点を除いては、購入プロセスはいわゆるオンラインCDショップのイメージに近い。

iTunesのMusicStore。曲は30秒ほど視聴できる

 インターネットラジオの機能を比較すると、オンラインショップまで絡めての新しいサービスの提案となっているのは、MusicMatchだろう。だがこれは「あと出しジャンケン」での結果なので、公平なジャッジではない。iTunesが成し遂げた革命の成果も忘れるべきではないだろう。

 全体的にiPodとの連携の良さで、筆者のココロはだいぶiTunesに傾いてきた。AACが気軽に使えるのもいい。ただ国内では、魅力の半分以上を占めるダウンロードサービスが利用できないのは痛いところだ。また当然ではあるが、iPod以外のミュージックプレーヤーに対応していない点をマイナスポイントに上げる人もいるだろう。

 だが無料でありながらもかなり楽しめるジュークボックスとなっており、日本のWindowsユーザーにもアピールするポイントが多いことは事実だ。後はiPod販促ツールとして効果的に機能するために、どれだけ早いタイミングで日本でもダウンロードサービスが利用できるようになるかが焦点となるだろう。

小寺信良氏は映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。



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