ファイルメーカーPro ユーザーの現場を探る
第8回 静岡県立伊東高等学校定時制課程で使われる出欠管理システム(3/3)
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「前の学校で、保健室用のソフトを作っていたんです」と勝又先生。勝又先生自身は理科の先生なので、まったく関係ないはずですが、養護担当の先生に頼まれて、6、7年前から作り始めたそうです。
「最初は個人データと来室記録だけだったんですが、曜日別で記録をまとめられないか、とか、学年別で集計ができないか、とか要望が出てきて」次第に拡張されていきました。現在のシステムはこのようになっています。長い時間をかけて拡張してきただけあって、さまざまな機能をサポートしています。
個人データや来室記録だけでなく、歯科記録まで入力可能。集計レイアウトもさまざまな種類が用意されている
この「保健室管理システム」ですが、静岡県東部地区の養護教諭のあいだで利用が広まっており、現在、十数校で使われているそうです。勝又先生は地区の養護教諭集会に定期的に出席し、要望を聞いたり、新機能を披露したりしています。
個人データの入力・閲覧画面
肥満度の指数であるBMI値の統計をグラフ化している
学年別の傾向を調べることができる「疾病状況」画面
これだけの学校で利用されているファイルメーカーProのシステム。気になるのは、その配付方法ですが、実は、勝又先生がシステム開発に使っているのは、ファイルメーカー Developerで、配付しているのは、そこで作成したランタイムアプリケーションなのです。
ファイルメーカーProで開発したデータベースソリューションは通常、クライアントソフトとして、ファイルメーカーProのパッケージがないと利用することはできません(ウェブの共有機能を使ったものは別です)。しかし、開発者向けの統合環境であるファイルメーカー Developerを使うと、一部機能に制限はあるものの、ファイルメーカーProの機能とソリューションが一体化した、ランタイムアプリケーションを作成し、これを無償で配布することができるのです。
最新版のファイルメーカー Developerであるファイルメーカー Developer 6には、このランタイムアプリケーションの作成機能のほか、データベース構造のドキュメント化を行うデータベースデザインレポート機能、スクリプトの問題発見に役立つスクリプトデバッガといった、開発者にとっては非常に有用な機能がつまっていますが、勝又先生が最も気に入っているのは、このランタイムアプリケーション作成機能です。
ファイルメーカー Developerを駆使して開発を進める勝又先生
「ファイルメーカー Developerは、最初のバージョンが出てすぐに購入しました。Accessにもランタイムがあることは知っていますし、4Dにもコンパイラがありますが、しきいが高かったり、非常に高価格だったりして、最初にファイルメーカー Developerが出たときに、飛びつきました」と勝又先生。確かに、ファイルメーカー Developerは、ファイルメーカーProの機能も含んで7万9000円と、手ごろな価格であり、他のデータベースソフトのランタイム作成にかかる費用とは比較にならないくらい安価です。
これならば、作成したソリューションを気軽に配付することができます。そのランタイムアプリケーションからファイルメーカーProの世界に入っていく人も少なくないはずです。
「ほかにも(ソフトを)いろいろ試してはみたんですが、ファイルメーカーProしか使えないんですよ」と謙遜する勝又先生。それでもこれだけの高い機能を持ったソリューションを提供することができるわけです。先生が作り上げたソリューションは、これからもファイルメーカー Developerのランタイムアプリケーションとして配付され、さまざまな人に使われていくことでしょう。
勝又先生は次のように締めくくってくれました。
「学校内の仕事でデータベースの出番は相当あります。ほとんどの仕事がExcelよりも有効です。ファイルメーカーProはAccessよりも気軽にかつパワフルに構築できます。静岡県ではAccessの講習会は開かれていますがまだまだコンピュータに精通している人が苦労して修得しているようです。特別な人だけが使えるAccessより誰もが簡単にそこそこ使えるようになるファイルメーカーProこそ学校内でのデータベース作成に適したアプリだと思っています」
[松尾公也, ITmedia
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