> ニュース 2003年7月15日 00:34 AM 更新

Interview
富士通 LOOX T90D 「機能で妥協することなくどこまで軽量化できるか、その挑戦でした」(2/4)


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 「われわれは従来からLOOX Tで、モバイルPCだが光学ドライブを含めて機能的な妥協はしたくない。1台ですべての仕事をこなすための要素を用意する。そうした“オールインモバイル”コンセプトを盛り込んできました。そのコンセプトは変わっていません」

 「世の中には、潜在的にモバイル環境でPCを使いたいユーザーはいると考えています。しかし、仕事で使うといった、具体的な目的のある人以外は、日常的に携帯する意義を見い出すのが難しい。従来機は個人の仕事をこなすことを考えていましたが、今回は日常的に携帯して利用することを楽しむために、1台だけでノートPCができることは全部できるようにしようと考えました」

 つまりビジネス向けノートPCの小型版ではなく、コンシューマー向けノートPCの小型版ということか。それによってどのぐらいの市場が広がると読んでいるのだろう?

 「全く未知数です。正確な数字を読める人はいないでしょう。全く新しい市場を作るというのはそういうことです。これまで以上の数字は見込んでいますが、かといってマーケット全体の規模は読み切れない。今後も継続して、ユーザーニーズの方向を読みながら、徐々にモバイルユーザーの幅を広げていきたいですね」

 実際の店頭では、従来機よりも顧客の反応は良いようだ。ただ、少し男性的過ぎるデザインにも見える。ユーザーの幅を広げるために、ユニセックスなデザインを施す手法もあったように思う。

 「社内的には試作機が仕上がったときの反応は、見た目のイメージやサイズ、機能などなかなかの評判でした。アクリルパネルでフラッシュサーフェース化した液晶周りや配色などは気を使ったところです。若い子たちは“リアルブラック”に反応してくれますし、女性でも黒が好きな人は意外に多い。ユーザー比率から言っても、基本的なターゲットは男性ですが、女性を無視しているわけじゃありません」

12.5ミリ厚DVD-Multiドライブ採用に迷いはなかった

 見た目の印象や小さいフットプリントが、モバイル向けのPCとして魅力的な本機だが、同様の持ち運ぶPCとして、ユーザーに重視されている“軽さ”に関しては、他社製品に大きく水を空けられている。

 標準装備のLバッテリー(18650×6の構成)+DVD-Multiドライブの構成では1.75キロ。ドライブを取り外してベゼルを取り付けた状態にしても1.55キロ。数字で明らかな差が分かりやすい重量面での不利は否めない。本機は目立つ欠点のとても少ない機種。重量以外にはオンボードメモリなしで、メモリスロットが1スロットしかないことぐらいしか思いつかない。それだけに重さが目立つ。

 あえて12.5ミリ厚を選び、DVD-Multi搭載を選択したことは、時期を考えると冒険的な要素もあったのでは。

 「もちろん重量面での不利、厚さの面での不利はありますが、二つの理由から12.5ミリ厚を継続採用することにしました」

 「一つはバッテリー容量。われわれは6セルバッテリ+ドライブベイバッテリで、実働10時間以上駆動することを、LOOX Tの基本方針として持っています。しかし9.5ミリ厚にしてしまうと、10時間という数字をクリアできなくなります」

 「もう一つは機能面。ドライブメーカーは新しい技術をデスクトップPC向けの製品から導入しますが、その次に新しい機能が組み込まれるのは12.5ミリ厚のドライブです。9.5ミリ厚のドライブは、その後になってしまいます」

 つまりフルサイズのノートPCに対して、機能的に劣らないモバイルPCという基本コンセプトが、12.5ミリを堅持した理由ということか。

 「最新のドライブ技術を採用できるか否かは重要な点です。将来、ノートPCでもスーパーマルチ化が採用される時、LOOX Tは追従してスーパーマルチを搭載できます。そんなことが必要なのか?というのは、良く議論される部分です。しかし、出先でDVDを作れることによって、新しい使い方の可能性が出てくる。やろうと思えば、パソコンに可能なことは何でもできる。それが大事な部分だと思います」

 とはいえ、さすがに光学ドライブ込みで1.75キロの重さは、近年の小型機のトレンドからすると、かなりの数字。光学ドライブに重いコンポーネントを使い、ハードディスクも一般的な2.5インチ9.5ミリ厚を採用しているとはいえ、それを計算に入れても少し重いように感じる。

 「それは製品として、どのように仕上げるか、製品としての“仕立て”の違いです。軽いに越したことはないが、軽量化によるトレードオフをどう考えるか。PHSカードは使いたいからCFスロットは外せません。デジタルカメラの普及を考えれば、メモリカード専用スロットもSD/メモリスティック両方ともサポートする必要があります。キーピッチも広げ、タイピングしやすくしました。いずれも重量とのトレードオフがある。単に部品が多くなるだけでなく、レイアウト上の制限が厳しくなることで軽量化が難しくなるからです」

 「またスーパーファインパネル(液晶パネル前面に取り付けられるアクリル板)は、単体で80グラムもあります。しかし、軽量化のためにそれを取り外すことはしたくない。重さのデメリットを超えるメリットがあると考えるからです」

 フルサイズPCと同等の機能を実現するためには、重くなっても仕方がない?

[本田雅一, ITmedia ]

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