> ニュース 2003年10月3日 07:10 PM 更新

Interview
高品質でハイエンドユーザーを狙う――電源・ケースメーカー、米Antec社の“対日戦略”とその“武器”(2/2)


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 なんといっても独立した出力回路を持っていると言うことが挙げられるでしょう。

 ATX電源では12V、5V、3.3Vの3種類の出力がありますが、一般的な電源では5Vと3.3Vは同一の出力からDCコンバータなどによって二つに分けているケースがほとんどです。これに対して、TruePowerシリーズでは、12V、5V、3.3Vのいずれも独立してトランスから得るようにしています。

独立するメリットは?

 最大出力が記載出力通りに得られるということです。先のようにDCコンバータで分けた場合、2つの出力を得ても元が同じですから5Vと3.3Vの出力は単純に合計した値より低くなります。

 例えば、それぞれの出力が100Wと190WだとしてもMAXは290Wではなく、220Wや210Wといった数値になります。一方、TruePowerでは独立した回路ですから、5Vと3.3Vは記載出力通りに得られるというわけです。

その他にも何か特徴がありますか?

 フィードバック回路によって安定した出力が得られるようになっています。Intelの基準では出力の変動は5%以内となっていますが、TruePowerではこれが3%に抑えられています。

 また、先ほどの行ったように独立した出力回路なので、それぞれにフィードバック制御を行うことができます。DCコンバータで変換している場合にはフィードバックによって一方の出力を変えると、他方の出力も変わってしまうのですが、独立していればそのようなことありません。

 このほか、「Antec Low Noise Technology」と呼ばれる温度と電力を監視するノイズ抑制システムによって、ファンの電圧コントロールを行い、常に最適なファン速度を維持することが可能となっています。これによって、ノイズの発生を極力抑えることに成功しています。

電源の最上位ブランド「True Power」。修理保証は3年

日本市場への取り組み

ところで、日本市場というのはやや特殊な嗜好を持ったユーザーが多いと思うのですが。

 日本にハイエンドユーザーが多いことは認識しています。ですから、日本市場においてはわれわれの製品は十分受け入れられる余地があると考えています。

では具体的な戦略は?

 まず、われわれには三つの特徴があります。それは信頼性、パフォーマンス、そして高級感です。これらの特徴を生かし戦略を進めていきたいと思っています。

 具体策としては、(1)リテールショップでのプロモーション活動、(2)同じくリテールショップ向けの販促ツールの提供、(3)ブランドイメージの向上を狙った宣伝などを考えています。

 いずれにせよ、高級感のある電源やPCケースの需要は、日本ではかなりあると考えていますので、そうしたユーザー層にアピールするような戦略を、日本での正規代理店でもあるバーテックスリンクとともに考えていくつもりです。

来年にはファンレス電源の投入も

9月に開催されたWPC EXPOでは、電源に冷却ファンのない、いわゆるファンレス電源が展示されていました。このような製品を実際に投入する計画はありますか?

 実は現在テストを行っているところです。現状では特に問題はないようなので、来年あたりには発売できる予定です。

具体的な出力はどれくらいなのでしょうか。また、価格はどの程度に?

 現状では350W程度まで大丈夫です。おそらく400Wも大丈夫なのではないでしょうか。価格については、現状の電源よりは、素材などの点からやはり高価になってしまうと思います。

TrueControl 550は5インチベイ用の調整つまみと550W電源本体からなる

調整つまみによって、ファンの回転速度と出力電圧をコントロールできる。電圧は12V、3.3V、5Vそれぞれに独立して設定可能

 Antecというと製品ラインナップからして“高級でお堅い会社”というイメージを勝手に持っていた。だが、実際には一般コンシューマーを強く意識したPC周辺機器を発売する会社のようだ。

 ブルーLEDを多数取り付けたケースやイルミネーショングッズ、あるいはピアノ調ブラック塗装のケースなどを発売しているのも、一時的な受け狙いではなく、“リビングルームに置けるPCを”というコンセプトがあるからだという。確かにこのようなケースであっても、内部のつくりや素材はしっかりしている。

 PCの自作市場はやや停滞気味で、最近では“性能はそこそこでいいから安くて手間のかからないメーカー製PCを”という風潮も見られる。だが、このような周辺機器類に注目すれば、まだまだユーザーが自分でパーツを選ぶ意味もあるのではないだろうか。

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[河野寿, ITmedia ]

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