> レビュー 2003年10月21日 02:45 AM 更新

高性能レンズに独自手ブレ補正――機動力が光る「DiMAGE A1」(2/3)


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マクロ撮影に威力を発揮するAS

 このAS機能は、あらゆる焦点距離で活躍する。もちろん、マクロ撮影時にもだ。

 A1にはワイド端とテレ端に対応した本格的なデュアルマクロ機能が搭載されている。ワイド(28mm相当)側の最短撮影距離は21センチとやや不満の残るものだが、200mm相当の望遠で最短13センチまで寄れるテレマクロは、適度な背景のボケも加味されて表現豊かな近接撮影が楽しめる。ただし、200mm相当のテレマクロでは、やはり手ブレ対策が必要だ。

 ASのCCDシフト方式は、従来あった光学シフト(手ブレの振動に合わせてレンズ部をシフトさせる)方式では効果の弱かった「細かい手ブレ(低周波手ブレ)」に対しても威力を発揮する。これはテレマクロ撮影において、強力な武器となる。


テレマクロ(200mm相当)で撮影。AS機能あり、1/125秒、F5.6、ISO100

強化された電源まわり

 電源の単3形電池利用はDiMAGE 7シリーズの伝統でもあったのだが、A1では専用リチウムイオン充電池に変更された。DiMAGE 7シリーズのウィークポイントに電源まわりの不安定さを挙げるユーザーも多かっただけに、ようやくハイエンド機らしい仕様になったという感がある。

 スペック上では約330コマ(液晶モニターのみ使用、2560×1920ピクセル、ファイン、アフタービューなし、フラッシュ使用50%)を撮影できるとあるが、今回のレビューではEVFを多用するケースが多かったため、フル充電で400枚以上は楽に撮影できた。通常の使用なら、バッテリー切れを心配することはまずないだろう。


バッテリーは専用リチウムイオン充電池を採用。電源まわりの不安定さはなくなった

 余談になるが、A1では専用充電池になったものの、もともと同社(旧ミノルタ)のデジカメは、入手のしやすい単3形電池を電源に使うものが多い。旧コニカ製品群を除く現行機種で専用充電池を採用しているのは、A1以外では「世界最薄(発表時)」という究極の薄型ボディを使命づけられたDiMAGE Xtぐらいだ。バッテリーが切れたらタダの箱になってしまうというデジカメの弱点を危惧しての、銀塩カメラメーカーらしい仕様なのだろう。

 ただし、先日発表された「DiMAGE G400」は専用充電池が採用された。G400はHEXANONレンズが物語っているように、もともとは旧コニカサイドで開発されていた製品だろう。コニカ・ミノルタの合併によって、デジカメの仕様に対する考え方も少しずつ変化してきているようだ。

低価格なレンズ交換式一眼レフの登場で見直されるハイエンド機の存在意義

 今、デジカメハイエンド機の存在意義をあらためて見直す時期にきているのかもしれない。その理由は、レンズ交換式一眼レフデジカメの世界に“価格破壊”を起こした「EOS Kiss Digital」の登場だ。

 A1やその前身のDiMAGE 7シリーズ、そして他社ではオリンパス光学工業のE-20やソニーのDSC-F717といったハイエンド向けのシリーズ最上位モデルは、EVF(電子ビューファインダー)や手動のズームリング/ピントリング、多彩なマニュアル機能を搭載して、レンズ一体型ながらも“一眼レフライク”な操作性を売りにしてきた。ソニーが年末に発売を予定しているDSC-F828も同様だ。


手動のズームリング/ピントリングや多彩なマニュアル機能など“一眼レフライク”な操作性が売り

 ボディサイズのコンパクトさや機能の違いであえてこのようなハイエンド機を選ぶといったケースもあるので一概にはいえないが、これまでレンズを含めて20万円以上と高価だったレンズ交換式一眼レフが予算的に手が届かないユーザーが、EVF一眼レフタイプのハイエンド機を選ぶといったケースも多かったと思う。

 それが、8月に発表されたEOS Kiss Digitalは、ボディのみで実売12万円前後、レンズ込みでも14万円前後という驚きのハイコストパフォーマンスで業界を震撼させた。価格帯では、実売13万円前後のA1とほぼ同じになるのだ。

対決!「A1」 vs 「EOS Kiss Digital」

 CCDの大きさや解像度、レンズ径の大きさが違うので、単純にA1とEOS Kiss Digitalの画質を比較するのは無意味だ。画質を最優先に考えるのなら、迷わずEOS Kiss Digitalを選ぶべきだろう。だが、いくらスペック面で優れているからといって、誰もが常に最高の写真で撮れるというわけでもないことを断っておきたい。

 またA1には、一眼レフデジカメの豊富な交換レンズ群にも匹敵するような高性能レンズが搭載されている点も見逃してはいけない。

[西坂真人, ITmedia ]

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