> レビュー 2003年11月6日 02:19 PM 更新

EXILIMの第一期完成形――カシオ EXILIM EX-S20(2/3)


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 ほかにも撮影機能はけっこう高度なものを持っており、ISO感度は64から500まで4段階でマニュアルセット可能である。ISO500ではさすがに偽色ノイズが目立つが、高感度で撮れるかどうかは大きなポイントだ。露出補正は±2段まで1/3段ステップで変更できる。

 それ以外にもカシオ得意のベストショット機能があり、人物、風景、風景と人物、カップリングショット、花、ペット、緑など、15種類のシーンが登録されている。彩度や色合いが目的のシーンに応じてコントロールされるため、各シーンのクセを理解すれば多彩な撮影が可能だ。

 円形十字キーの上下と左右には、好きな機能を割り当てることができる。例えば左右を露出補正、上下を撮影モードにするなど、自由にセット可能だ。見た目がシンプルな割にカスタマイズの幅は広い。

 液晶モニタは1.6インチTFT液晶で、けっこう明るく見栄えは良い。構図や水平・垂直を確認しながら撮影できるグリッド表示機能や、リアルタイムヒストグラム表示機能を備えている。


液晶モニタは1.6インチ。その上に標準/マクロのフォーカスモード切り替えスイッチと撮影/再生切り替えスイッチが並ぶ。円形十字キーはなかなか押しやすい。ただ、ここまで小さくしたのに光学ファインダーが必要なのか疑問だ。なくても構わないのではないか

 基本操作は液晶メニューで行う。「MENU」キーでメニューを表示し、円形十字キーで項目を選んで中央のOKボタンで決定するというプロセスは、非常にシンプルで扱いやすい。だが、撮影モードのようによく使う機能まで液晶メニューの奥に入っているのはなんとも不便で、カスタマイズできるとはいえセットできるのが円形十字キーだけでは足りない。例えばベストショットモードと通常の静止画モードを一体化させるなど、あと一歩工夫が欲しかったところだ。

格段に快適な処理速度

 EXILIM EX-S20のもう一つの大きなアドバンテージは、レスポンス速度である。起動は公称0.9秒と1秒を切ってきた。実測でも1秒強。撮りたいと思って人差し指で電源ボタンを押せば、すぐに撮影可能になる。

 シャッタータイムラグも非常に短い。多くのデジカメで悩まされる、AFにかかる時間はパンフォーカスなのでゼロ。さらにレリーズタイムラグも、カシオ得意の高速処理で0.01秒を実現している。つまり「あっ」と思ってシャッターを切っても、ほとんど遅れずに撮影できるというわけだ。もし遅れて撮れてしまったなら、それは撮った人の反応、つまり脳からの指令で人差し指の筋肉が動き、シャッターボタンを押すまでのタイムラグの方が大きいからであろう。

 撮影間隔は約1秒だ。撮影時のストレスはまったくないと言ってよい。撮影から再生へはスイッチを切り替えるだけである。再生間隔も一瞬レベルであり、再生時もストレスは感じない。拡大再生モードがあるのでディテールをチェックできるし、EX-S3から取り入れられたカレンダー表示機能もある。液晶モニタにカレンダーを表示し、写真を撮った日はその日の日付の上に1枚目の写真をサムネイルで表示するというもので、何日分も撮りだめてしまう人にはより楽しめる機能である。

 記録メディアはSDメモリーカードだが、内蔵メモリも10Mバイト搭載しているため、カードを入れ忘れても撮影可能だ。とはいえ、カレンダー表示機能を楽しむためにも、256Mバイトくらいの大容量メディアを思い切って入れ、残容量を気にせずに撮りまくりたい。バッテリーは薄型の専用リチウムイオン充電池。バッテリーの持続時間はEX-S2に比べて約2倍(液晶オンで連続撮影約2時間、約720枚)に伸びたという。


バッテリースロットは側面に配置されている。上面には電源ボタンと長細くて押しやすいシャッターが並ぶ


底面にはSDメモリーカードスロットを配置する。カバーはなし。さすがにここまで小さいと三脚穴はない

 画像をパソコンに転送したり、充電する時には付属のクレードルを使う。クレードルもデザインが一新され、モダンな真っ白の船っぽいデザインになった。

 クレードルにセットすると充電が開始される。ここでクレードルの「PHOTO」ボタンを押すとカメラの液晶モニタでスライドショー再生が始まり(EX-S3が2インチだったのに対し、EX-S20は1.6インチなので少々小さめだが)、「USB」ボタンを押すとストレージクラスとしてパソコンにマウントされるので、そのまま画像の転送ができる。メンテナンス性も非常に高く、扱いやすいのだ。


クレードルにはモニタを手前に向けてセットする。クレードルは真っ白でなかなかカッコいい。「PHOTO」と「USB」の2つのボタンが便利

 EX-S20はズーム機能やAFを搭載した300万画素以上の昨今のデジカメに比べると、カメラとしての性能は明らかに劣る。画質も劣る。しかしそれは当たり前だ。このサイズ、この薄さでこの画質なら十分許容範囲だし、それ以上にEX-S20の機動力が素晴らしいのだ。

 もしデジカメに求めるのが画質ではなく、散歩の友であったり、常時ポケットに入れておいて撮りたい時に素早く撮れる超高速画像キャプチャツールであったりするのなら、EX-S20はこの秋一番のお勧めだ。また、大きめのズームデジカメを持っている人のセカンドカメラとしてもお勧めである。普段はあまり撮らない人でも、「ポケットにこれが入っていてよかった」と思う瞬間は必ずあるだろう。そして何より、これだけ小さくて軽くて速ければ、撮っていてすごく楽しいのだ。この楽しさは重要である。EX-S20は、買って損はない楽しいデジカメと言い切っても過言ではない。

[荻窪圭, ITmedia ]

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