高品質実現2
高品質を生み出す過酷な試験(3/3)

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電磁波試験

 PC自身が放射する電磁波の試験はもちろん、PCに対して強い電磁波を放射した場合の動作試験も東芝では行われている。青梅事業所にはこの試験を行うための電波暗室が、なんと3カ所もあり、常にフル稼働で試験が行われているという。PC開発の部署が、これだけ大規模な電磁波の試験環境を自由に使える例は、青梅事業所以外ではほとんど見ることができない。

 飛行機の離陸時に電子機器の電源を切るように促されることからもわかるとおり、電子機器は自身が電磁波を放出し、また電磁波によって誤動作する可能性がある。“なぜかわからないが、ごく稀にPCがハングアップする”といったトラブルにつながる原因の1つを未然に防ぐ事も可能になるわけだ。


青梅事業所では、妨害電波を測定する設備として10m法電波暗室1基、3m法電波暗室2基を所有している。それらの設備のうち、3m法電波暗室1基については放射電磁界イミュニティ試験や、LANの伝動電圧試験も行えるようになっている。放射電磁界イミュニティ試験とは、dynabookに電磁波を照射して誤動作しないかを確認する試験。いろいろな電磁波が飛び交っている現在では、重要な試験となっている。映像は3m法の電波暗室。また10m法の電波暗室は主にdynabookから輻射される妨害波の専用設備。dynabook全機種を日々評価するため、合計3基の電波暗室はフル稼働している

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騒音試験

 東芝製PCは、青梅事業所内に設けられている半無響室(床以外の5面を無響状態にしてある部屋)で騒音特性のテストが行われる。低負荷時に静かなのはもちろんだが、高負荷時でも一定以上の騒音を発生しないように設計される。


床以外のすべてを、音を吸収する素材で覆った半無響室。dynabookが発する音を測定する

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部品受入検査を重視する東芝の姿勢

 これらのテストを見ると、PC自体へのストレステストもさることながら、他社から購入するパーツ類に関しての独自テストが目立つ。最初のページでも述べたように、HDDの試験が行われているほか、液晶パネルやキーボードに関しても、納入メーカーとは別に東芝独自の厳しい試験が行われる。

 これは他社調達のパーツに関して、カタログ上のスペック値としての品質ではなく、内部基準に照らし合わせた上での品質を厳密に管理するため。品質管理担当者は「基本的に、短期間で可能なテストはすべて自社でもやり直す」という。

 例えばキーボードの場合、打鍵寿命や打鍵特性の変化が重要になる。打鍵を繰り返す中で、キーの特性カーブがどのように変化するかを含め、設計時に狙った通りの品質が維持できるかどうかを、東芝基準で調べるのである。最近のキーボードは薄く、ストロークは3ミリ程度から2ミリ以下になってきた。その中で信頼性が高く、フィーリングの良いキーボードを求めるには、以前よりも厳しい品質管理が必要だ。

 ところが、部品調達は複数のベンダーから行うのが常識。部品ベンダー各社バラバラの基準でテストしたものを採用していたのでは、品質にバラツキが出てしまう。高い水準で一定の品質を維持するためには、自分たちの尺度で部品を評価できる環境を持たなければならないのである。

出荷梱包状態での品質向上

 製品単体の品質も重要だが、顧客が商品受け取り、使い始めるとき、顧客は梱包からその中身の一つ一つまでを製品として捉えるものだ。例えば同梱物が正しく入っているか、汚れや傷などが発生していないかなど、さまざまな要素が考えられる。

 一般的に、PCの初期不良の多くが、製造ラインや梱包プロセスにおけるマイナートラブルを原因とするものだといわれる。東芝でも製造ラインの中で発生する不良をいかにつぶすかには、特段の配慮がなされている。東芝青梅事業所では、製造ラインの中にテストプロセスを可能な限り織り込むようにして、製造ラインを実装している。その割合は95%にも及ぶ。

 さらに最終製品を製造ロットごとに抜き取り検査も行う。同梱物チェックなどは、重量計測による確認が一般に行われているが、近年のPCは多様性が増し、重さだけではチェックできない。地域ごとに仕様の違い、CTO、BTOによるカスタマイズなどもあるためだ。そこで東芝では抜き取り調査を行うと共に、バーコードを用いた電子的な同梱物管理も導入している。

 その結果、極端に低い初期出荷不良率を実現している。


抜き取り試験。製品はすべて出荷検査を経て、出荷している。さらに組み立て・梱包まで終了したdynabookを抜き取って、より詳細な検査をする。ポートチェック、同梱物チェック、ソフトウェアチェックなど多岐に渡る検査項目を行っているところ。右上のモニターには、チェックする機種ごとの情報が現れる。それを一つ一つチェックしてゆく

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[本田雅一, ITmedia ]

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