IPv6――普及の条件
IPv6を前提とした端末が登場したとき,ネットワークとしては「IPv4ネットワークの海にIPv6の島がある」状態だが,その島が徐々に大きくなり,ついにはIPv4ネットワークを飲み込む。 その間,PCの世界ではトネリングもしくはデュアルスタック(昨年5月の記事を参照),あるいはトランスレーションによるIPv4/v6両対応が一時代を築くが,トネリングサービスも「当初はIPv6 over IPv4だが,時間とともにIPv4 over IPv6に移る」という。徐々にではあるが,IPv6対応の製品も登場してきている(下記)。
端末とアプリケーションは同時に端末を担当する製造業界も,IPv6に熱い視線を送っているようだ。IIJの三膳氏は,IPv6の認知度が向上するにしたがい,同社に話を持ち込む企業の種類が変化してきたと話す。 「最近は,家電メーカーや自動車メーカーが増えてきた。彼らは,従来のネットワークそのものを事業とするIT系企業とは異なり,ネットワークを1つのパーツとして利用しようとしている」。 その背景には,CATVやADSLが普及し,一般家庭に常時接続をもたらしたことがある。常時接続のブロードバンド環境は,情報家電の登場に向けた下地を作った。 一方,“キラー端末”と目される携帯電話は,2005年にも3.5G(3.5世代)で一部IP化され,2010年頃には4G(第4世代)でオールIP化が実現する見込みだ。もちろん,IPv6が前提となる。 「(携帯電話のように)端末とアプリケーションは,おそらく同期する形で登場するだろう」(三膳氏)。家電や自動車はもとより,行政までを取り込もうとするIPv6は,インターネットを,単なる「通信インフラ」から「社会インフラ」へ発展させる技術になるという。
IPv6はビジネスチャンス?もとより,IPv4アドレスの枯渇は時間の問題だ。APNICの測定データをもとに日立製作所が予測した数字では,2006〜2008年の間にIPv4アドレスが底をつくと結論付けている。ポイントは,10億人の人口を抱える中国でのインターネット普及だ。 移行が規定路線であれば,そこに新しいビジネスチャンスを求めるのが企業。NTTの市川氏は「IPv6普及のためには,成功例の循環(1つの成功例が次の成功のベースになる)を形成することが重要」と指摘する。1つの成功事例が出てくれば,後に続く企業が増えるのは必然だ。また,IIJの武居氏は,「やる気になれば,大規模なIPv6の商用ネットワークを作ることはできる。あとはアイデア勝負」と発破をかけた。 他社を煽っているようにも聞こえるが,求められているのがIPv6の普及を進める“起爆剤”としてのアプリケーションであることは確かだろう。IPv6を前提とした最初のアプリケーションを提供するのは,チャレンジャーか,はたまた“人柱”か。環境は整いつつあるものの,“IPv6の普及”に向けては,まだ足りない部分がある。
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