リビング+:特集 2003/07/11 20:00:00 更新

特集:スピード測定狂時代
番外編・低予算でスピードアップ?

最終回は少し趣向を変えて、記者のADSL環境でスループット向上を目指した取り組みを行う。それも低予算で、手軽にできるものを試してみたい。

 特集「スピード測定狂時代」も、今日が最終回。最後は少し趣向を変えて、記者のADSL環境でスループット向上を目指した取り組みを行う。それも低予算で、手軽にできるものを試してみたい。

 そもそも、ADSLの通信速度改善を目指すなら、いくつかの方法がある。まず、特集第4回でも触れたように、クライアントPCのレジストリを適正化することは必須。少しPCを扱うのに慣れたユーザーなら、レジストリを直接いじってもいいし、初心者なら「Super ADSL&CATVブースター」や「驚速ADSL」などのソフトを利用して自動的に最適化してもいい(実験記事参照)。

 また、クライアントPCのCPUを、高速化するという手も考えられる。取材を通じて事業者に聞いたところでは、「厳密なことはいえないが、より高速化を狙うなら、やはり1GHzは欲しい」とのこと。低速に悩むユーザーは、一念発起してPCを買い換えてしまう!……というのも、選択肢の1つ。

 ほかに、回線そのものの環境を変えるなら、「ブリッジタップ外し」という方法もある。ブリッジタップとは、NTT収容局からユーザー宅までの電話線で、途中にある分岐点のこと。この分岐点が、ADSL信号に悪影響を及ぼしている可能性もあるため、ユーザーが希望する場合はNTT東西地域会社が取り外しの工事を行ってくれる。

 ただし、この工事は有料。具体的な料金は、窓口となるISPによって若干異なるようだが、概ね“基本工事費+ブリッジタップ外し工事費”で、しめて2万円前後を請求される。もちろん、工事を行っても全く速度が向上しないケースもあるわけで、個人的には「最終手段」の感が強い。

 ちなみに、通信環境の変更ということなら、“ISPを変えてみる”というのもある。もちろん、相応の手間がかかることはいうまでもない。

手軽な「宅内配線の見直し」

 さて、以上のように「クライアントPCの環境をいじる」「回線環境をいじる」という2種類の高速化方法を見てきたわけだが、速度向上にはもう1種類の方法がある。それが「宅内配線の見直し」である。

 今回は、このやり方で高速化実験を行って見たい。記者が用意したのは以下の3点。順に、説明していこう。

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製品名価格(量販店で購入)
ノイズチューブ(エレコム)1980円
ADSLmodemフィルタ/スプリッタ(メルコ)1800円
ナノカーボン(東洋ドライルーブ)1200円
速度向上の喜びpriceless

 ADSLは「ノイズの影響を受けると通信速度が低下する」、これが基本だ。ユーザー宅までの回線でもISDNなどの漏話干渉を受けることがあるが、家庭内でも電子レンジなど、家電製品がノイズ源となるおそれがある。

 せめて、自分の管理できる範囲ではノイズを除去したいもの。宅内ノイズをいかにカットするかが、ポイントになってくる。ノイズ対策として考えられるのが、ケーブル配線を最短で行うこと。壁のモジュラージャックからモデムまでを可能な限り短くすれば、ノイズが混入する余地もないというものだ。

 ただし、住宅環境などでそうもいかないという人は、たとえばノイズ対策済みシールドケーブルなどを使用するとよい。記者は、既にある配線を覆うノイズチューブと、ノイズカット機能を備えたスプリッタを併用した。こうしたグッズは、家電量販店に行けば手軽に購入できる。

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上がノイズチューブをかぶせたケーブル。少々ごわごわする印象

 さらに、以前「魔法の液体」として取り上げたナノカーボンも使用する。これを電化製品の接点に塗ることで、極小ダイヤが目に見えない金属の凹凸を埋め、電気の流れを良くするという。説明書によれば、表面に薄くぬるのがポイント。

 なお、付け加えておくと電源周りもノイズ混入の原因になりやすいので注意が必要だ。家電製品とモデムを、タコ足配線で電源供給すると、ACコンセント経由でノイズが入ってしまう可能性がある。

結果は?

 それでは結果発表。宅内環境の見直しを行う前後で、記者の回線(Yahoo!BB 8Mbps)を「SPEED TEST」で計測したところ、以下のような結果となった。

宅内配線改良前改良後
1回目2.883Mbps2.974Mbps
2回目2.888Mbps2.948Mbps
3回目2.914Mbps2.914Mbps
4回目2.797Mbps2.857Mbps
5回目2.832Mbps2.941Mbps
平均2.863Mbps2.929Mbps

 結果はごらんのとおり。……わずかながら改善した印象だが、誤差の範囲内という印象もまぬがれない。劇的な効果は望めないが、費用対効果という点で見ると、まずは穏当な結果かもしれない。

 それにしても、改良後にいきなり「2.974Mbps」と表示されたときは、「こ、これは……もしや3Mbpsを超えるのか??」と、微妙に心拍数が向上したのだった。やはり、ユーザーのスピード向上を願う気持ちは普遍的なもの。この感情がある限り、スループット確認手段としてのスピード測定サイトも、当分は人気を保ち続けるのだろう。

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[新崎幸夫,ITmedia]



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