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2003/10/23 23:42:00 更新 |
東京モーターショー2003
カーテレマティクスの“新提案”が続々
「東京モーターショー2003」は、カーテレマティクスの新たな展開、各社のコンセプトを探ることができる場でもある。会場を回っていて、目に付いたものをいくつか紹介しよう。
22日からプレス向けに開幕した「東京モーターショー2003」は、カーテレマティクスの新たな展開、各社のコンセプトを探ることができる場でもある。会場を回っていて、そうした視点から目に付いたものをいくつか紹介しよう。
クラリオンのブースでは、同社の車載端末「CADIAS」(記事参照)が展示されている。よく見ると、カードスロットにはKDDIが先日発表した「CDMA 1x WIN」対応端末が挿さっている(記事参照)。
CFカード型端末が、CADIASに挿さっている
これは、車載用モジュールの“試作機”を利用した、参考出展との位置付け。実際にCADIASがCDMA 1x WINに対応するかどうかは、未定とのことだった。カーナビメーカーとしても、現状最も高速な期待の通信インフラの利用イメージを、早速示したというところのようだ。
実際に通信を行っていたが、その体感速度はさすがの一言。実際に利用できる日が待たれる。
同社のブースでは、もう1つ興味深い展示があった。「超流通コンテンツ対応CADIAS」というのが、それだ。
こちらが、超流通コンテンツ対応CADIAS。FOMA端末のほかに、セキュアマルチメディアカードが挿さっている
同社の考えるコンテンツ流通の形式は、以下のとおり。まず、事業者側は音楽が100曲、200曲と収録されたCDやDVDを、ガソリンスタンドなどで無料配布する。ただし、このCDにはDRM技術が施されており、全曲とも「最初の30秒しか視聴できない」というものになっている。
ユーザーはこの中から、気にいった楽曲に対して対価を払い(下写真)、特定の楽曲の暗号化を解除できるライセンスキーを購入する。これを、USB接続のセキュアマルチメディアカードにダウンロードし、CD再生時にセキュアマルチメディアカードを挿しておくことで、音楽再生が可能になる。これが、いわゆる“超流通”の仕組みだ。
100円を払って、ライセンスを購入する
この方式のメリットは、重たい楽曲データは物理メディアで取り扱い、情報量の少ない“ライセンスデータ”のみをネットワーク経由でダウンロードすればよい点。カーテレマティクス業界が、回線速度の絶対的な低さに悩む中で、1つの提案だといえるだろう。
もちろん、実現までには解決しなければならない部分も多い。そもそも、ガソリンスタンドでそうした物理メディアを配布できると決まったわけではないほか、著作権処理をめぐって音楽業界との交渉も行わねばならない。現実には、こうした話し合いはまだまだ始まったところだとのことだった。
日産が描くカーテレマティクス像
日産自動車のブースでは、「ホリゾンタルメーター」と「MAGIC・4 コンセプト」という展示を見ることができた。これは同社が考えた、カーテレマティクスが進むべき1つの方向性を示したものだ。
ホリゾンタルメーターとは、写真で分かるようにドライバーにとって水平方向に広がる、ワイドなディスプレイ。同社のカーナビサービス「カーウィングス」で取得した情報などを、視点移動の少ない場所に分かりやすく表示する。
また、MAGIC・4 コンセプトとはステアリングに4つのスイッチを設けて、各種の操作を行うユーザーインタフェースのこと。やはり視点移動が少なく、ハンドルから手を離さずに各種操作を行える。先ほどのホリゾンタルメーターと合わせて使えば、運転時の安全性が増す。
4つのボタンが、各メニューに割り当てられる直感的な操作体系。「ナビゲーション」「車外との連絡」などのメニューが見える
もちろん、助手席の人間が操作するためのインタフェースも必要になるだろうが、複雑さを増すカーナビの操作を、このようなかたちで行うという発想は興味深い。
車とホームセキュリティの連動
松下電器産業のブースでは、エコーネットに力を入れる同社らしく、車載端末から家電の操作などを行うデモを行っていた。
携帯電話から家電を遠隔操作するシステムはよく聞くが、これはカーナビのメニューから、簡易なインタフェースで家電を操作するものだ。自宅のエアコンの電源を入れたり、ドアの施錠をしたり、ライブカメラの映像を映したりといった操作が可能になる。
これがメニュー画面。下に見えるランプは、家庭からの緊急通報を知らせるものだ。たとえば、介護の現場などで役立つという
ライブカメラの映像を映したところ
こうしたシステムは、技術上既に実現が可能だ。もっとも、たとえばトヨタの通信カーナビサービス「G-BOOK」上でこのシステムを利用しようとしても、「現状ではエコーネットのプロトコルが、トヨタのセンターサーバを通らない」(説明員)という問題がある。このため、業界での話し合いの場をもっているところだという。
松下電器産業としても、hi-hoのセンターサーバを用意して、試験的にシステムを運用している段階。「2005年頃には、実用化されるようにしたい」(説明員)とした。
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東京モーターショー2003
[杉浦正武,ITmedia]