「アメ車の特徴といえばパワーバカで燃費が悪い」。そんなステロタイプのイメージを持つ人はかなり多いだろう。しかし、それは一部のアメ車に対するイメージが誇張されているに過ぎない。
確かにアメ車にはハイパワーモデルも用意されているし、それらがアメ車の代表的なモデルになっているのも事実。しかし、当然ながらそれ以外にもいろいろなラインアップが用意されていることも忘れないでほしい。
下図は国内で販売されているGM車をタイプ別に分類したもの。「ラグジュアリー」、「ユーティリティー」、「スポーティー」、「カジュアル」にそれぞれ、「キャデラック」や「シボレー」、「ハマー」などのさまざまな車種をわかりやすいようにはめ込んでいる。もちろん、車種のグレードや装備によってその印象は大きく変わってくるが、各ブランドのざっくりとしたイメージをつかむために参考になればうれしい。
ボンネット部分が長く、トランク部分が短い、いわゆるロングノーズ・ショートデッキのシルエットが生み出す独特のデザイン、圧倒的なスピード感に心奪われるファンも数多いのが「アメリカンスポーティーの代名詞」コルベット。現在、日本ではクーペモデル(6速MT/6速AT)、コンバーチブルモデル(6速AT)、そして、最高級クラスのレーシングモデル「Z06」(6速MT)の4モデルが導入されている。
今回紹介するのは2007年6月末より、アークティックホワイト、ブラックのボディーカラー各15台ずつが販売されているGM100周年を記念した限定モデル「S-Limited」。S-Limitedは通常のクーペモデルにカスタムレザーラップインテリア、新デザインの5スプリットアルミホイール、フロントグリルスクリーン、レーシングスポイラー、フェンダーグリル スクリーン、リア エキゾースト メッシュスクリーンが追加されており、さらにスポーティーに、さらにスタイリッシュな見られるクルマとして進化を遂げた。
車両本体価格は798万円と、クーペ6速オートマチックモデルよりも43万円アップしているが、装着されている装備品は合計で100万円超と60万円近くお得なモデル。2シーターのスポーツカーを所有できる環境にある人は数少ないが「だからこそ一度は手に入れてみたい」と思ってしまう。そんな魅力がこのクルマにはある。
ラグジュアリー路線をひた走るイメージのあるキャデラックだが、SUV(スポーツユーティリティービークル)ブームの中にもしっかりとキャデラックならではの足跡を残している。この「SRX」はミディアムサイズのSUVで、車両本体価格は3.6リッターが648万円、4.6リッターが758万円。3.6Lモデルには、DVD式ナビゲーションとサラウンドシステムが付属した「コンフォートパッケージ」と、ナビシステムの他に、スポーツグリル、20インチタイヤへのアップグレードなどが含まれる「スポーツパッケージ」が、4.6リッターモデルには電動収納式サードシート、電動サンルーフなどが付属した「アクティブパッケージ」と、「スポーツパッケージ」が用意されている。ボディーカラーはシルバー、ブラック、ホワイト、ブルーの4種類。
外見の押し出しの強さは「さすがアメ車」の一言だが、インテリアの高級感、ドライビング性能は良い意味で乗る人の期待を裏切ってくれる。これはキャデラックが21世紀に向けて掲げたコンセプト「アート&サイエンス」、つまり「デザインとテクノロジーの融合」を体現すべく、作り上げられた一台だといえるだろう。
「ハイパワー、ハイスピード、ビッグサイズな車は手がちょっと合わないけど、アメ車がいいな……」という人にジャストフィットするクルマ。両モデルともにハンドル位置が左右用意されているので日本車からの乗り換えを考えている人にもオススメ。
GMのカジュアルなラインアップとして展開するシボレーのミディアムサイズSUV「トレイルブレイザー」。ミディアムといっても、全長4890ミリ、全幅1900ミリと国産の同クラスSUVよりも若干大きいのだが、そこは「アメリカンミディアムサイズだからね」と大らかな気持ちで割り切ってあげたい。
とにもかくにも、トレイルブレイザーの特徴はその独特な「顔」にある。このデザインから受けるインプレッションは人それぞれで、やや好みの問題になってしまうだろうが、大柄なボディにも関わらず、最近は妙に「大きくてスイマセン……」と肩身が狭そうな印象を受ける顔のSUVが多い中、ここまで押し出しの強いものはなかなか見つからないだろう。
日本向けに用意されているモデルは2種類。いずれも左ハンドル仕様でスタンダードモデルのLTが377万円、ハイエンドモデルのLTZが426万円。いずれもエンジンは4.2リッターで、主な違いは座席の素材や、エアコン周りの機能充実、乗降時に使うアシストステップなど。価格を見れば国産のSUV上位モデルと比較しても充分に検討に値するのでは。また、クルマを自分の趣味にあわせてカスタムするためのパーツはグリルやフェンダーをはじめ様々な種類が出ているので「自分だけの味付けをクルマに施したい」という人はそちらもどうぞ。
アメリカンユーティリティーの代表格、ハマー。もともとは、アメリカの軍用車ハンヴィーを民生用にアレンジしたもので、サイズは横幅2197ミリのH1(現在は生産終了)、横幅2062ミリのH2、1995ミリのH3の三種類が存在している。民生用といっても、高い走破性は損なわれておらず、ハマーならではの独特のマスク、特徴的なシルエットで日本でも多くの人々に愛されている。今回は街乗り、オフロードと、場所を選ばずにハマーの魅力を堪能できるH3をピックアップ。
H3は、ハマーシリーズの中でもっとも小さい(とはいえど、横幅は2メートル近くあるのだが)ので、日本での乗用にハマーを選択するとなると、これが現実的なサイズになりそう。男性的なフォルムのクルマではあるが、サイズのわりにはきびきびと動き、慣れてくれば女性でもスムーズな取り回しができるだろう。個人的には女性にぜひとも乗り回してもらいたい一台である。
ラインアップは、いずれも3.6リッターエンジンのマニュアルと、オートマチック仕様にメッキパーツを装着し、右ハンドル仕様も用意されているLuxuryモデル、オフロードに特化した装備を追加したAdventureモデル、さらに今年の7月には、5.3リッターのV8エンジンを搭載したH3 V8も発売された。
価格は、マニュアルの3.7リッターモデルが496万円〜。