本体設定は、背面のボタンとスティックボタンを使用して行う。コンポジットの外部映像出力をテレビにつなぎ、メニューボタンを押すと、各種の設定が行える。ネットワーク設定やセンサー感度など基本的な設定は網羅しているから、端末を携帯電話に絞るのであればパソコンは不要になる。このあたり、非PCユーザーをも取り込みたい三洋電機の意図が伺える。
無線LANの場合は、バッファローの「AOSS」に対応しているため、さらに簡単だ。対応ルータを持っている場合は、ボタンを押すだけで設定が終わる。もちろんそれ以外の場合でも、ルータの設定ができる程度のスキルがあれば問題はない。ESS-IDやWEPキーの入力をスティック操作で行うのは少し面倒だが、迷うことはないだろう。
LAN接続さえしてしまえば、パソコンのキーボードを使ってより簡単に設定が行える。赤外線対応装置や無線LANなどの細かい設定もWebブラウザからも行えるため、有線ポートのあるルータを持っている場合は、まず有線接続し、設定してから無線化すると楽。DHCPで割り当てられたIPアドレスは、テレビ画面でも確認できる。
今回のようにパソコンを端末にする場合、外部からアクセスするためには固定IPアドレスをHOVICAに割り当てるか、もしくはDDNS(Dynamic Domain Name Services)を使うことになる。固定IPアドレスはちょっとお金がかかるが、DDNS対応ブロードバンドルータがあれば低価格やフリーのDDNSサービスが利用可能だ。VPNで自宅に接続し、ローカルIPアドレスをブラウザに入力すれば、セキュアな形でカメラ画像を確認できる。
携帯電話を端末に使用する場合、一般的にはかなりやっかいだ。同じ仕様のWebブラウザを持つパソコンと異なり、画像フォーマットや画面サイズなど、キャリアや機種ごとに違う部分を吸収する仕組みが必要になる。NTTドコモの“FOMAの何でもアダプタ”のように、携帯電話を2台使う手もあるが、やはり維持費の面で負担が大きい。
そこで登場するのが、三洋電機が提供するカメラサーバサービス「ホビカネット」。ホビカネットは、三洋電機がホームネットワークシステム「ELiFES」のために提供するネットサービスの一つだ。
ユーザーは、携帯電話からサービスサーバが提供するWeb画面にアクセスする。サーバが自宅との通信をセキュアな形で仲介し、フォーマットや画像サイズを変換したうえで携帯電話の画面にカメラ画像を表示する仕組みだ。主要携帯電話キャリア4社の計188機種に対応しており(一覧)、料金は月額840円だ。
ここまで説明しておいてちょっとアレだが、今回は製品発売前のため、ホビカネットがまだ稼働しておらず、操作感などは検証できなかった。製品としては一番おいしいところなので口惜しいが、仕方がないので発表会の画像でお茶を濁しておく。
三洋電機が2004年5月に行ったアンケート調査によると、ネットワーク家電に求める機能は「留守中にセンサーが反応して携帯電話にメール通知」、2番目が「留守中に照明をリモート点灯」だったという。1番目はもちろん、2番目も“いるふり防犯”が目的と思われ、セキュリティ関連のニーズの高さが伺える。
最近では本格的なネットワーク対応セキュリティシステムも多く、また一方で携帯電話を使った簡易的なサービスも増えてきた。その中でも、本格的な監視カメラに求められる機能をコンパクトにまとめたHOVICAと、パソコンに慣れていないユーザーでも利用できる「ホビカネット」の組み合わせは、導入の敷居を下げる家庭向け簡易セキュリティソリューションとして評価できるものだ。
もちろん、HOVICA一台で対応できるのはワンルーム程度。しかし、より本格的なホームネットワークやセキュリティを求める場合は、ELiFESへのアップグレードパスが用意されている。ユーザーは、本格的なホームネットワークサービスの一部だけを切り出した形で利用できるわけで、将来性を含めてバリューの高い製品といえる。それは同時に、将来のホームネットワーク市場拡大に向けた三洋電機の試金石となるはずだ。
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