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コンテンツから“海外旅行で使い勝手のいい辞書”を考える電子辞書を持って海外旅行へ行こう(2)(3/4 ページ)

» 2004年12月29日 13時48分 公開
[石川ひさよし,ITmedia]

街角で、店先で、素早く引くには検索機能が大切

 ここからは電子辞書を開いた後の使いやすさをチェックしたみたい。どれだけ使いやすいか、どれだけ早く目的の辞書・コンテンツへアクセスできるのかが焦点だ。海外旅行での街角や店先などで調べものをするとき、電子辞書を取り出したはいいが、目的の語句を調べ上げるのにモタモタしていたら……。紙の辞書よりは早く引けるかもしれないが、せっかくの“電子”辞書が台無しだ。

 まずは、電子辞書では一般的な辞書切り替えキー(ショートカット)に注目してみよう。多くの機種でキーボード最上段に搭載されているこのキーを押せば、利用頻度が高いと思われるプリセットされた辞書にアクセスできる。一般的にこのキーは6つから7つが用意されるが、カシオのXD-DP1000のようにシフトキーを組み合わせることで8つの辞書を呼び出せる製品もある。

photo SIIのSR-M7000。キーボード上部に「広辞苑」「リーダース」「ジーニアス」など収録されている辞書を呼び出すボタンが設けられている
photo カシオのXD-DP1000。左下のシフトキーを組み合わせることによって、8つの辞書をダイレクトに呼び出すことができる

 ショートカットが用意されていない辞書を呼び出すには、メインメニューからメニューをたどっていく必要がある。収録されている辞書の数が少なければメニューもシンプルで分かりやすいものとなるが、多ければ多いほどたどるべき階層が深くなってしまい、操作も煩雑になってしまう。

 そのため、数十の辞書を搭載したモデルでは、メニューのレイアウトを工夫するほか、利用者自身がよく使う辞書をあらかじめ登録できる機能を備えている。旅先で利用頻度が高そうな辞書が搭載されていても、呼び出すことを手間に感じてしまうならばその利用頻度は必然的に低くなってしまう。こうした“引きやすさ”も事前に確認しておきたいポイントだ

photo カシオのXD-DP1000は、辞書を種類ごとにまとめ、さらにそこから選ぶという形式でまとめられている(Windowsのスタートメニューのような形式)。国語/英語系辞書は上の階層に登録されているが、トラベル会話集を選ぶためには最低でも5回のキー操作が必要になる
photo ソニーのEBR-S8MSは、基本的にはメニューは辞書が列挙されており、目的の辞書までスクロールする形式。しかし「プリセットボタン」を備えており、よく使う辞書を登録しておくことですばやく目的の辞書にアクセスできる。海外旅行なら辞書と会話集など、用途に合わせてプリセットを設定しておくと便利だろう

 また、ほとんどの電子辞書は、1つの言葉について複数の辞書を対象に同時に検索を行える機能(複数辞書検索機能)を備えている。今回取り上げている機種の中では、カシオのXD-DP1000が完全一致、ソニーのEBR-S8MSでは前方一致など、検索方法に違いが見られるが、いずれにしても便利な機能であることには間違いない。

 前方一致方式をとる製品の場合、スペルがうろ覚えでも目的の言葉を探せるというメリットがあるかわりに、該当数が多い言葉(Can〜など)の場合、検索対象として表示される言葉が多くなりすぎて動作そのものが緩慢になることがある。便利な機能だが、とっさの使い勝手という面では劣る場合があることを覚えておきたい。

photo 複数辞書検索機能は、搭載しているほぼすべての辞書を対象に検索を行うために、ひとつの辞書を調べるだけでは分からなかった意味も分かるのがメリットだ。しかし、どうしても検索自体の快適さはスポイルされる傾向にある
photo 大量の辞書を搭載した機種で複数辞書検索を行うと、機種によっては英語のほかイタリア語やその他の言語、百科事典からの略語など、いろいろなものを引いてくる

 これは今回取り上げている5機種だけの問題ではないのだが、実際に言葉を調べていると、入力に対するレスポンスや画面のスクロール速度は機種ごとにかなり異なることに気が付く。辞書を指定して調べる場合にはそうでもないが、複数辞書検索機能を利用するとその差は特に顕著に感じられる。

 今回取り上げた機種の中で、軽快な利用感を味わえたのはSIIのSR-M7000とキヤノンのwordtank V80。この2機種はキー入力に対する反応や画面スクロールも機敏で、複数辞書検索機能を利用しているときにもその軽快さは失われていない。また、起動/終了時にメッセージを表示する機種も多いのだが、“ぱっと取り出して、さっと使う”ことがより求められる旅行時にはそうした表示がまどろっこしく感じられるかもしれない。

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