ITmedia NEWS >

手軽さが売りの“2.1chかんたんシアター”――松下「SC-HT03」レビュー:フロントサラウンド特集(3/3 ページ)

» 2005年01月17日 16時34分 公開
[浅井研二,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

 サラウンドモードは当然ながら、ドルビーバーチャルスピーカーが基本。ドルビーデジタル、DTS、AACの5.1chソースでは、ダイレクトにドルビーバーチャルスピーカー再生するほかは、2chダウンミックス再生ができるくらい。ドルビーバーチャルスピーカーのモードは、「REF」(標準モード)のほか、「WIDE」(ワイドモード)があり、左右スピーカーの設置間隔がとれない場合はこれを利用する。

photo 本体前面中央に装備したディスプレイには、入力機器やサラウンドモードを表示するほか、右端には音の変化をグラフィックで示すスペクトラムアナライザーも

 2chソースの場合は、リモコンのSFC(Sound Field Control)の「MUSIC」または「AV/MOVIE」ボタンを押せば、いくつか用意されたエフェクトモードの中から選択できる。MUSICモードには、「LIVE」「POP/ROCK」「VOCAL」「JAZZ」「DANCE」、AV/MOVIEモードには「DRAMA」「ACTION」「SPORTS」「MUSICAL」「GAME」がある。

photo 前面左には電源ボタンのほか、入力機器選択、SFCモード、チューニングの操作ボタンを配置
photo 前面右にはボリューム、マルチコントロール設定などに使用するカーソル、そして、ドルビーバーチャルスピーカーのモード切替ボタンがある

 値段が値段なので、あまり期待していなかったのだが、実際に音を聴いてみると、これが意外と悪くない。音楽(ステレオソース)の場合、バーチャルサラウンドモードではちょっと焦点がぼける印象だが、ダイレクトステレオなら自然な音を聴かせてくれる。スピーカーの音特性が素直なのか、安心して聴ける感じだ。

 気になる映画のサラウンド再生では、包囲感はしっかりと伝わり、方向感も上々。サラウンド成分(リア)に関しては、“そう思い込めば”後ろから聴こえる。つまり、明確ではなく微妙なのだが、映像との連携で後ろから聴こえたと勘違いさせるくらいのレベルにはなっている。足りないとすれば、音の細かさと豊かさか。低音も音楽を聴く分には十分だが、映画となると少しばかり力不足の感は否めない。

 しかし、この製品の売りは何よりも手軽さにある。低価格だけを望むのであればリアル5.1chのエントリー製品でもかまわないわけだが、設置場所に困ったり、接続や初期設定が面倒そうだと感じて、なかなか手が出せないという人もいるだろう。「SC-HT03」なら、そうした問題もなく、サラウンド音響を導入でき、さらに、気軽に音楽や映画を楽しむには十分な音質を提供してくれる。冒頭で述べたとおり、とりわけ“薄型テレビで大画面を手に入れたから、次はカジュアルなシアターサウンドシステムを”というユーザーに最適な製品だ。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.