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欧州のテレビ/プロジェクター事情劇場がある暮らし――Theater Style【CeBIT特別編】(2/3 ページ)

» 2005年03月12日 23時59分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 ちなみに欧州でも液晶テレビのシェアナンバーワンはシャープとの事。シャープブースにはCESでも展示された65インチ液晶テレビの試作機と共に、小型から大型まで数多くの液晶テレビを一同に並べてアピールしていた。

photo シャープブースは65インチをはじめ、小型〜大型の液晶テレビを一同に並べてアピール

 一方、薄型テレビへの注目はあるものの、実際の普及率は高くなく、HDTVが受信可能な受像器の普及も遅い。テレビの薄型化、あるいは大画面化といったトレンドと、HDTV放送の開始が合わさって加速し始めている日米市場と欧州市場。HDTVへの切り替えは根気よく続けなければならない。

まだ入り口にさしかかり始めた段階のHDTV市場

 とはいえ、放送のデジタル化は欧州でも進められようとしている。ドイツ、フランス、スカンジナビア半島では、2005年内にHDTVの本放送が開始される。イギリスでも2006年初頭にはHDTV放送の環境が整うようだ。

 放送のデジタル化が日米よりも遅かった事に関しては良い面もある。デジタルのHDTV放送に関しては、長い間、MPEG-2で検討が進められ、日米ともにMPEG-2での放送が既に行われているが、欧州のデジタル放送ではH.264も選択できる(もちろんMPEG-2も仕様には含まれている)。

 このため、より狭い帯域幅でHD放送が可能になり、録画ニーズへの対応もやりやすくなる。同じ容量ならより長時間の記録が可能になるからだ。もちろん、H.264でHD放送が行われるようになるには時間がかかるだろう(リアルタイムエンコーダが必要になるため)。しかし、時間が経過すれば帯域を節約するためにH.264化が進むかもしれない。H.264化が進めば、あまり大容量の記録メディアはいらない、という話になるかも?

 と、少々話が脱線したが、欧州でのHDTV放送はやっと入り口にさしかかろうとしているところ程度に考えた方が良さそうだ。現時点でのHDTV普及マイルストーンは2008年に設定されている。

 2008年になると欧州の家庭の12%にHD放送を表示できるテレビが普及すると予想され、300万家庭がHD放送を受信可能になっていると言われる。コンテンツ管理や投資状況、コンテンツの増加もこれらを後押しするだろう。日米がHDTV化で先行するおかげで、2008年には魅力的なHDコンテンツも増加していると考えられる。欧州でも人気DVDはハリウッドものが中心で、そのほとんどはHD放送用のマスターが存在する。

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