ダビング機能は極めて平均的だ。録画時に「高速ダビング優先」をONにしてMPEG-2録画した番組は、ダビング時に画質劣化のない高速ダビングが可能。TS録画、MPEG2録画した番組ともに任意の画質にエンコードしながらの等速ダビングも行える。高速ダビング時に最大65倍速と最大16倍速を選択することもでき、たとえばダビングをしかけて寝る、といった場合だけ最大16倍速でダビングするような使い分けも簡単だ。
ダビング時に予約録画を並行できない点は不便だが、代りにダビングの予約実行機能を備え、ファイナライズまで一気に実行することも可能だ。予約録画とも連携管理されており、録画と重なる時間帯には予約ダビングは指定できないようになっている。ただし、高速ダビングの場合でも等速ダビングに必要な時間を確保するため、実際にはダビングが10分程度で終わる場合でも、2時間分の番組をダビングする場合は、約2時間録画予約が開始されない時間を指定する必要がある。
この制限は、たとえ高速ダビングを指定しても所要時間はダビングに使うメディアによって変化するし、ときには本来の書き込み速度で書き込めないメディアもあるからだと思われるが、もう少し賢くなってくれると便利かもしれない。たとえば、録画予約と重ならないもっとも早い時間に自動でダビングしてくれる、といった機能もあると便利なのではないだろうか。
DVDへのダビングは、いつも通りほぼメディア一杯への高速ダビングを行っての所要時間と、TS録画した番組のダビングを想定しての等速ダビングも含めて、DVDメディアへの書き込み品質を簡易計測環境でチェックしている。使用したメディアはDVD-Rへの高速ダビングが「That's」(太陽誘電製)の16倍速対応メディア、DVD-Rへの等速ダビングがThat'sのCPRM対応の8倍速対応メディア、DVD-RWへの高速ダビングがビクター製の4倍速対応メディアだ。
ダビング時間は表の通りとなり、高速ダビングではDVD-Rが8倍速、DVDーRWが4倍速書き込みとしてほぼ妥当な所要時間だ。なお本製品はDVD-RWの場合、6倍速対応メディアを利用すると2倍速書き込みになる。おそらくDVDドライブは8倍速世代のパイオニア製と思われるが、DVD-RWの6倍速書き込みに対応するストラテジが準備されていないのだろう。この点はマニュアルなどにも明記されているので、DVD-RWメディアの購入時には十分注意したい。同社が国内における数少ないDVD-RWメディア製造メーカーである事を考慮すると、ちょっと間抜けな制約だとは思うが。
書き込み品質は、いずれもPI/POエラーに関しては極めて優秀で、ほとんどケチのつけようがない。TA Qualityに関しては少々不安な結果も出ているが、筆者の手持ちのPC用DVDドライブ、PS2を含めたDVDプレイヤーで再生ができないものはなかった。DVD-Rであれば、最近リーズナブルになってきた国内メーカー製の8倍速対応メディアに高速ダビングでガンガンダビングしても問題ないだろう。
D-VHSデッキやi.Link接続でMPEG2-TSでの録画が可能なHDDレコーダーなどと接続し、TS録画した番組を無劣化でダビングすることも可能だ。操作としては、ダビング先をDVDの代りにi.Linkを指定するだけで良く、複数の録画番組をまとめてダビングできる。
現在、デジタル放送は全てコピーワンスでコピーコントロールされており、本機からダビングした番組は消去される。ただし本機の場合、たとえばD-VHSデッキへダビング中にD-VHS側でテープが終了してダビングが途中で終了した場合でも、ダビングが完了した分のみが本機から削除され、残りをさらにダビングすることが可能。長いハイビジョン番組でも、問題なくD-VHSへダビングできるわけだ。
またD-VHSデッキやi.Link接続でMPEG2-TSでの出力が可能なHDV DVカメラやHDDレコーダーなどとi.Linkで接続し、本機へダビング可能。マニュアルにはコピーコントロールされたコンテンツはダビングできないと記述されているが、本機をD-VHSデッキ、もしくはHDV DVデッキ(カメラ)として認識させることが可能であり、理屈からいえば、たとえば本機同士ならコピーワンス番組を相互にムーブできるのでは? と思われる。
また、本機のデジタルチューナーを使ってD-VHSデッキやHDDレコーダーなどでの録画することも可能だ。たとえば地上デジタルチューナー非搭載のD-VHSデッキで地上デジタル放送をハイビジョン録画するといったこともできる。D-VHSデッキもHDV DVカメラもラインアップする同社らしく、i.Link接続を利用したハイビジョンコンテンツの扱いの自由度はきわめて高い。
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