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ビクター初のハイビジョンレコーダー、「DR-HD400」を試すレビュー(4/4 ページ)

» 2006年03月03日 20時50分 公開
[坪山博貴,ITmedia]
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 本製品はビクター初のデジタル放送対応DVD対応レコーダーということもあってか、無難にまとめた感はある。2番組同時録画ができない、高速ダビング時でも予約録画が実行できないといった競合製品に見劣りする部分もあるが、使い勝手という点では見るべき部分も多い。もちろんヘビーな録画ユーザーには不満も多い製品かと思うが、同社の主張する「楽しいハイビジョン生活」を実現するためのコアとして、十分に役目を果たすだろう。リビングに置いて家族みんなで使うハイビジョンレコーダーとしての資質は十分に備えている。

 また、次世代DVDのようにハイビジョンクオリティでリムーバブルメディアに保存できるようになるまでは、本製品のようにハイビジョンコンテンツの入出力の自由度が高い製品に魅力を感じる人は多いはずだ。願わくば、本製品と相互ダビングできるチューナレスのHDDレコーダーをビクター自身が低価格で提供してくれると、本製品の魅力は一気に増すと思う。また今回は機材の都合で動作確認できなかったが、i.Link入出力機能をもったデジタルケーブルテレビのSTBと接続すれば、STB側の予約録画機能を利用してデジタル放送のTS録画も可能なはず。デジタルケーブルテレビユーザーにも良い選択肢となるはずだ。

 さて、ITmedia的には伏せても仕方ないと思うので書いておくが、この製品はシャープの「DV-AR12」をベースに開発されたか、製造委託したものだろう。外観はリファインされているし、HDD容量が本製品の方が多い、i.Link端子が2系統準備されているといった相違点はあるものの、パーツの基本配置は共通だし、リモコンのデザインもほぼ同じ、背面のデザインもほぼ共通だ。DVD-RAMに非対応だったり、国産DVD-RWメディアほとんど手がける同社製品でありながら、6倍速メディアへの対応が中途半端になったのも、ベースモデルが対応していない都合だろう。もちろん推測の域はでないことは付け加えておくし、今回もそういった色眼鏡は抜きで評価は行っている。シャープ製品はなかなか貸し出して貰えないため、1から評価するしかないという事情もあるにはあるのだが……。

 上記の推測が正しいとして、この製品がビクターらしくないかといえばそうでもない。簡単にいえば、ビクターが協業もしくはOEM供給を受ける相手としてシャープを選択した点は非常に正しいと思う。両者とも家電メーカーであり、想定している製品の購買層が似ているからだ。いたずらに機能を追いかけるよりは使い勝手を重視しており、結果として十分にビクター色を持った製品になっている。もしこの製品を資本関係のあるパナソニックと有る意味安易に協業したり、製造委託を行ったとすれば、まったくもってビクター色のない製品になってしまっていた可能性も高い。

 企業としてDVDレコーダー事業を縮小せざるを得ない状況だが、総合AV機器メーカーとしてデジタル放送対応のDVDレコーダーのラインアップは必要であり、結果として他社との協業もしくは製造委託に踏み切ったのは間違いではないと思う。また、3in1といった高付加価値製品の自社開発は続ける方針が変更されていないのであれば、本製品の良い点も大いに取り込んでほしいものだ。

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