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HDD増設&全メディア対応――実は贅沢なスタンダード機「DVR-640H」レビュー(3/4 ページ)

» 2006年03月24日 22時11分 公開
[坪山博貴,ITmedia]

 冒頭で触れたように、本製品では全てのDVDメディアの録画/再生が行える。他社製品でも対応メディアは増加傾向にあるが、一般的に入手できるDVDメディアをすべてサポートするのは、本製品と同時発表の「DVR-540H/DVR-RT50H」が初だ。

photo 対応メディアが増えたダビング機能だが、内蔵HDDと外付けHDD向けのメニューが増えた以外にとくに変更はない。従来通りの操作ですべてのDVDメディアにダビングが行える。ダビング時にファイナライズの実行を指定できる点はやはり親切だ

 DVD-RWとDVD-RAM、DVD-R DLとDVD+R DLなど、用途が重なるメディアもあるが、たとえばDVD-R DLはCPRMに対応できるが、登場の速かったDVD+R DLのほうが価格面では有利だ(DVD+R DLメディアは信頼性が高い三菱化学メディア製でも5枚パックなら1枚500円前後で販売されている例があるのに対し、DVD-R DLはようやく900円を切るか切らないかというレベル)。幅広いメディアをサポートするメリットは大きい。

 また単にメディアとして対応するだけでなく、サポートするフォーマットも多彩だ。DVD-RWやDVD-RAMはもちろん、DVD-R/DVD-R DLのVR記録が可能(CPRM対応)。デジタル放送などコピーワンス制限のかかった番組もダビング(ムーブ)できる。DVD+RWはDVD+RW VRフォーマットでダビングされるため、ファイナライズしなくてもDVDビデオとして再生できる。

 パイオニアといえば、ダビング速度の高速化にも熱心に取り組んできたメーカーだ。DVDドライブを自社開発している関係もあるだろうが、良くも悪くも「××倍速ダビング」といった形で、再生時間に対するダビング時間の短さを積極的に売り文句にしてきた。もちろん書き込み速度の向上はユーザーメリットも大きいが、8倍速以上となるとダビング時の動作音が気になってきたり、DVDメディアとの相性問題も発生しやすくなるなど、弊害も増えてくるものだ。

 しかし本製品では、あえてダビング速度をおさえているようだ。DVDドライブは同社製の「DVR-110」あるいは「DVR-111」と推測されるが、スペックはDVD±R最大16倍速、DVD±R DL最大8倍速、DVD-RW最大6倍速、DVD+RW最大8倍速、DVD-RAM最大5倍速のはず。だがマニュアルによると、本製品のダビング(書き込み)速度は、DVD±R/DVD±RWが最大6倍速、DVD-RAMが最大3倍速、DVD-R DLが最大2倍速、DVD+R DLが最大2.4倍速となっている。

 理由があるとすれば「DVDメディアへの書き込み品質を安定させる」ということだろう。もちろん高品質なメディアを利用すればドライブの持つ最高速度で書き込んでも品質に問題は出ないだろうが、民生機ではユーザーにそこまで求められない。現に粗悪メディアは安さだけを武器にあちらこちらで販売されている。

 実際に全種類のDVDメディアに対し、ほぼメディア一杯まで高速ダビングを行い、その所要時間と書き込んだメディアの品質をPCの簡易計測環境で測定してみた。基本的には国産メディアを使用しているが、参考のため激安DVD-Rの1つであるSmartbuyブランドもくわえた。なお、表を見ると原産国に台湾やシンガポールといった国も出てくるが、たとえば台湾産のリコー製メディアは自社のスタンパを持ち込んでRitekに製造委託しているもの、シンガポール産の三菱化学メディアは自社工場で製造している。品質は国産メディアと変わらないと考えていいはずだ。

photo 試作機ということもあってかDVD+Rはファイナライズ処理がうまく行えなかった

 ダビング速度は、ほぼマニュアルの記述通りになった。DVD+R、DVD+RWが少し高速だが、おそらくフォーマットの違いが影響しているのだろう。DVD-R/DVD-RW/DVD+R/DVD+RWは確かに6倍速相当。なぜ6倍速? と思う人もいるだろうが、パイオニア製のドライブは6倍速であれば最内周部から最外周部まで一定速度のCLV方式で書き込めるため、より安定した書込み品質が望めるためだと思われる。さすがにDVD-R DLとDVD+R DLは、「せめて4倍速で」と思わないこともないが。

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