デザイン同様、先代モデルから大きく変更されたのが中身――つまりハードウェアだ。デコードチップこそ米SigmaDesignsの「EM8620L」から変更されておらず、対応フォーマットもあまり変わらない。しかし内部の基盤は新設計となり、デジタル系、アナログビデオ系、オーディオ系の回路を可能な限り分離して相互干渉を低減。さらにビデオ、オーディオ回路用に電源を分離生成している。これにシャシーの剛性を強化することで、オーディオ系への振動の悪影響を低減するなど、極めてAV機器的な手法で品質の向上を図った。
オーディオD/Aコンバータには、AV機器向けに開発されたバーブラウン(TI)の「PCM1793」を採用。192KHz/24ビットの処理能力と113dbというダイナミックレンジを持ち、数多くのDAコンバータをラインアップする同社製品の中でも「ハイパフォーマンス」「アドバンスドセグメント」に位置付けられるチップだ。これ以外にもオーディオ専用コンデンサの採用、ノイズ混入を防止するために前面のディスプレイをOFFする機能を備えるなど、音質へのコダワリはかなり強く、製品発表会の会場でも国内AV機器メーカー製のDVDプレーヤーやDVDレコーダーに匹敵する音質であることを強調していた。
アナログ出力される音質に関しては、数値化したり、絵として伝えることが難しい。幸い、今回は比較対照として先代の「AVLP2/DVDG」が手元にあったため、直接聴き比べてみることにした。アナログ音声出力を一般的なオーディオアンプにダイレクトに接続し、これに密閉型ヘッドフォンを繋いで音楽CDとPVの収録されたDVDビデオを再生した。さすがに“明白に違う”とはまではいえないが、繰り返し聴いているとトラック間の静寂性や全体のフラット漢という点で本機に分がある印象だ。一時停止状態にして音量を上げてみると、明らかに電気的ノイズが少ない。正攻法で音質改善に取り組んだメリットが感じられた。
ビデオ出力はHDMI搭載が大きな特徴だが、D端子出力でもローパスフィルタを、D1/D2/D3/D4の出力設定に合わせて最適化。使用しない帯域のノイズを適切に遮断することで、D端子接続時でも、ノイズの少ない映像出力を可能にしている。HDMI入力を持たない大型テレビを所有しているという人もまだまだ多いだろうから、意味の大きな改善点といえるだろう。
下の写真は、WMVで1080i収録されたサンプルビデオをフルHD解像度の液晶テレビで再生し、デジタルカメラで撮影したものだ。
D4出力では、ロゴの縦方向のエッジ部分で違いが顕著であり、明らかに本機のほうがドット妨害のような症状が少なく、エッジがシャープだ。
次に本機のHDMI出力と「AVLP2/DVDG」のDVI出力。少々変則ながらDVI-HDMI変換ケーブルを用い、「AVLP2/DVDG」のDVI出力とテレビのHDMI入力を接続して1080i出力してみたところ、原因は分からないがフィールドが1ラインずれて重なっているような症状になり、ロゴは縦方向に太く、ジャギーも目立つ結果になってしまった。750P出力に切り替えると、この症状は治まったし、原因がテレビなのか、AVLP2/DVDGなのかは分からない。ただ、やはりHDMIを搭載した本機のほうが安心感はある。
S出力でも比較してみたところ、D4出力と似たような傾向がみられた。像感に影響を及ぼすほどではないが、ロゴの部分の縦方向のエッジは明らかにシャープでクリア。比較は一例でしかないが、新製品が画質に拘ってつくられたものであることは結果として表れた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR