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れこめんどDVD:「バイオハザードII アポカリプス(Blu-ray Disc)」DVDレビュー(3/3 ページ)

» 2007年01月26日 14時44分 公開
[飯塚克味,ITmedia]
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炎、血しぶき、特殊メイクの凄さが鮮明に

 続いて特殊隊員カルロスの登場。ビルの屋上に追い詰められた女性をヘリから急降下して救おうとする。この場面では女性がアンデッドに襲われる際の音響が印象的だ。各チャンネルから響く死者のうめき声が不気味さを倍増させる。噛み付かれた女性の傷口のカットも一瞬なのにDVDよりかなり目に焼き付いてくる。

 CH-3では特殊隊員とアンデッドの死闘。スローモーションで撮影されたアンデッドの襲撃の様子がすさまじい。濡れた地面を歩いて来るので、水しぶきが飛んでいるのだが、それまでも鮮明になっている。もちろん濡れたアスファルトの奥行きや爆発の際の炎の立体感もDVDとは比較にならない。

 一方、娘の行方が把握できない博士は、自分のパソコンで娘の捜索を始めるのだが、パソコンはもちろんVAIO。表示画面もクリアになって、画面を作りこんだスタッフの努力も確認できるようになった。

 CH-4は教会に逃げ込んだジル・バレンタインとその仲間たちのエピソードだ。教会の壁に大きくそびえるステンドグラスのイメージが強くなった。奥の部屋を捜索に行ったジルは神父の部屋に入って、見るも無残な神父夫妻の姿を目撃するのだが、ジルが部屋に入ったときに壁に見える血しぶきの存在感がグッと増した。DVDではもっと薄暗く印象にも無かったが、こうした細かい点が見えてくるのもBlu-ray Discの高画質の恩恵だろう。

 この後ジルたちは謎の怪物と戦うことになるのだが、危機一発のタイミングで現われるアリスの活躍が感激ものだ!ステンドグラスをぶち破り、バイクを怪物にぶち当て、そのタンクを狙い撃ちすることで怪物を吹き飛ばす。スローで捉えた弾丸に付けられた音響も見事。ただ肝心の見せ場をジルからアリスが奪ってしまったのはジルファンにとってはちょっと残念だった。

 CH-5は再び特殊部隊がアンデッドと戦っているシーン。ここでは手榴弾なども使われているが、場面によってはリアセンターからも音が聞こえてくるような錯覚を感じた。サラウンドチャンネルにも、極めて密度の高い音響成分が含まれていることがよく確認できるはずだ。

 CH-6でアリスたちは教会を脱出する。よせばいいのに墓場を通ろうとし、案の定アンデッドの襲撃を受ける。白骨死体から湧き出るミミズが必要以上に生々しい。アンブレラ側はここで前作の生き残りだったマットを改造したモンスター、ネメシスを街に送り込む。この混乱を使って実験を行うのである。あまりにもおぞましい姿のネメシスからはマットの面影は感じることはできないが、特殊メイクの凄まじさは高画質になってより顕著に描き出されるようになった。

 ネメシスはその後、特殊隊員たちを殲滅し、アリスと戦うことになる。またアリスたちはアシュフォード博士と連絡を取り合い、娘の救出と引替えにラクーンシティからの脱出を確約される。二重三重に同時進行するストーリーが見事に結実し、さらなる続編への布石を敷いて本作は一旦幕を閉じる。

 ストーリーは完全には完結しないものの満足度は非常に高い作品となっていることを今回の視聴で改めて実感した。今秋には第3作が公開されるので、それまではこのBlu-ray Discで繰り返し見直すのもいいだろう。

注目の特典は「ブルー・ウィザード」

 特典は3種類の音声解説、6種類のメイキング、2作目の分析、未公開シーン集、予告編集が収められている。DVDに収録されたゲーム版の予告編は収録されていないが、充分な内容となっている。

 特典面での注目は「ブルー・ウィザード」機能が搭載されていることだ。これは本編の流れにあわせてメイキングなどを楽しめる機能で、DVDでも同様の試みが行われているソフトがあった。もちろん何度か映画を楽しんだ後でこそ有用な機能なのは言うまでも無い。最初は英語版で見て、2回目に吹替えで見ながらこうした機能を活用するのも特典映像の見方としては今後増えていく可能性が高いだろう。

 唯一残念なことがあるとすれば、シリーズ第1作目の権利を東芝エンタテインメントが所有していることで、1作目と2作目がHD DVDとBlu-ray Discに方式が分かれてしまったことだ。両方の方式に対応しているような層は一部のマニアだけなので、シリーズを続けて次世代ディスクで見ることはほとんどの人にとってかなり難しいことのはず(しかも第1作はHD DVDの初号機、HD-XA1の特典としてのみリリースされており、正式にはソフトとして市場に登場していないのである)。

 いつの日か、次世代がもっと普及して誰もが気軽にこの画質で映画を楽しんでもらえるようになって欲しいと切に願う。

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