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東芝の“勝負機”「RD-A600」を検証する(後編)(4/4 ページ)

» 2007年07月20日 11時14分 公開
[坪山博貴,ITmedia]
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ビデオレコーダーとしての完成度

 今回は、HD DVD関連の機能とレコーダーとしての機能を切り分けて検証を行ったが、個人的にはHD DVDドライブを搭載した点より、ビデオレコーダーとしての完成度の高さの方が印象に残った。全てではないが、従来のRDシリーズで不満に感じていた点がかなり改善され、競合製品に見劣りしていた部分の改善も著しい。それはリモコンにもいえることで、レイアウトとボタンのメリハリの改善、番組表ボタンの追加といった形で現れている。

 もちろん、多機能な点は相変わらず。従来から対応していたDLNAサーバー機能はようやくDTCP-IP対応となり、対応クライアントであれば録画したデジタル放送もLAN経由で視聴できるようになった。同社の液晶テレビ「REGZA」の一部がDTCP-IP対応のDLNAクライアント機能を装備したからかもしれないが、REGZA以外にもソニーやビクターの一部製品(テレビ)も対応済み。単にハイビジョンで録画してハイビジョンでディスクメディアに残すことが目的の人には不要な機能も多いと思うが、とにかくビデオレコーダーとしての完成度は高くなった。

 HD DVD関連に関しては、前編で触れたとおり、Blu-rayに対する容量というマイナス面は否定できないが、これはメディアの価格推移次第である程度カバーできると思う。メディア価格に関しては量産効果の影響が大きいが、本機と姉妹機の「RD-A300」の登場でHD DVD-R/HD DVD-R DLの消費量が増えれば、値ごろ感という点で対抗できるようになるのではないだろうか。もちろんRD-A600/A300が売れれば、という仮定の話であるが……。

 不満を挙げるとすれば2点。時期的には搭載されるはずだったH.264エンコーダが搭載されなかったこと。そして「ビエラリンク」や「AQUOSファミリンク」のようなテレビ連携機能がない点だ。前者に関しては画質劣化がゼロにはならないだろうが、出来次第ではHD DVDの容量問題を無視できるレベルにしてくれるかもしれない。後者に関しては、筆者自身はあまり必要性を感じないのだが、たとえばリビングに置いて家族も使うとなれば需要は大きいはず。同社の場合、「REGZA」に録画モデルが存在するという問題もあるかもしれないが、そんなことを言っていたら売れるものも売れなくなってしまう。

 地上デジタル放送に関しては、COG(コピーワンス)の見直しが具体的に始まるなど、ハイビジョンレコーダーを購入するには正直悩む時期だ。どんなに製品が良くても「今は絶対買わない」という人も多いことだろう。筆者自身も気持ち的にはそれに近く、本機は実に間の悪いタイミングで登場したものだと思う。ただ、それでもHD DVDドライブを搭載し、ビデオレコーダーとしての本質部分がきちんと進化した製品として、購入欲をそそられるのは確か。単に出来の良いハイビジョンレコーダーとして購入してもいい――そんな気分にさせる、東芝気合の逸品である。

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