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れこめんどDVD:「ドリームガールズ」(HD DVD)DVDレビュー(3/3 ページ)

» 2007年08月24日 08時30分 公開
[飯塚克味,ITmedia]
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 徐々に売れ出したドリーメッツはCH-9でついに“ザ・ドリームズ”としてデビューする。それまでと違ってセクシーさを強調した衣裳が、彼女たちの成功を確信させる。客席へ銀河のように配された照明も空間を一層広く感じさせるものだ。しかし、この時点でみんなの人間関係はすでにボロボロ。エフィと関係を持っていたカーティスは、美人のディーナに心を移し、スターのジミー・アーリーはザ・ドリームズの1人、ローレルと愛人関係にあったが、人気は下降線を辿り始めていた。

 テレビの時代になり、ルックスを重視するカーティスはディーナをメインボーカルにするが、歌唱力のあるエフィは納得できない。そのことで、やがてザ・ドリームズは決定的な破局を迎えることになる。カーティスの目論みはすべてが成功を収めていくのだが、当初しっかり築かれていたはずの人間関係は見るも無残に崩壊していく。

「シカゴ」以上の感動!エンドロールもお見逃しなく

 感動のクライマックスに至るまでひと時も目を離せないという意味では、個人的に「シカゴ」以上の作品だと思っている。この迫力の映像と音響は本来映画館でこそ真価を発揮するものだが、劇場公開が終わった今、HD DVDがその役割を充分に果たしてくれるだろう。

 忘れずに見てもらいたいのがエンドロール。各スタッフの仕事をデザイン画などで紹介するクレジットはDVD特典のようで、非常に珍しい作りだ。ホームシアターだと、ついつい飛ばしがちなクレジットもこうして作ってくれるとじっくり見たくなってくる。

特典映像で「ドリームガールズ」の世界観に浸る

 特典は本編ディスクと特典ディスクに分かれて収録されている。本編ディスクにあるのが、全12曲の「未公開歌唱シーン」(36分)とビヨンセの「リッスン」のミュージックビデオ(約4分)。「未公開歌唱シーン」では本編からカットされたミュージカルシーンのほか、本編とは編集の異なるものまで多種多様に及んでいる。

 特典ディスクには3時間を超えるボリュームを収録。ハイビジョン収録されているのがうれしい点だ。「夢を築く:メイキング・オブ・『ドリームガールズ』」は2時間近くあり、メイキングとしては大作の部類に入る。しっかり章分けされ、ブロードウェイ版についての言及や、「『シカゴ』の経験が役に立った」というビル・コンドン監督のこだわりぶりも確認できる。

 「夢を描く:『ドリームガールズ』の編集」(4分)は編集作業を細かく紹介するビデオ。素材チェックだけで3週間。2分半のミュージカルシーンの素材が5時間以上なんて分かりやすい解説も聞くことができる。その他には「夢を描く:『ドリームガールズ』の衣裳」(8分)、「夢を描く:『ドリームガールズ』の照明」(9分)、「オーディションとスクリーンテスト」(約11分)、「『ドリームガールズ』のプレビズ」(約35分)が収められ、映画の鑑賞後、その世界観に浸るには充分すぎるボリュームとなっている。

 現代ミュージカル映画のひとつの到達点とも呼べる「ドリームガールズ」。HD DVDの発売が待ちきれず、通常のDVDを購入してしまった人も多いだろうが、このハイビジョン映像は保存版に相応しいクオリティとなっている。是非その目で確かめてもらいたい。

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