ヤマハの「デジタル・サウンド・プロジェクター」技術は数年前から提供されはじめ、当初は通常のラック内に収める単体製品のみの発売だった。その頃から、その不思議なほど立体的な音場に感嘆させられていたが、昨年までのモデルにはひとつだけ不満があった。それは低域再生能力がやや弱かったことだ。
もちろん、サブウーファーを用いることで、低域再生能力をカバーすることは可能だが、できれば単体でも十分な低域の量感が欲しい。そうした印象を持っていたところ、YSP-LC4000を聴いてみて驚いた。テレビはもちろん、音楽をかけてみても、大幅に音域バランスを崩すことなく自然な音で聴けたのだ。
サラウンド音場の完成度も、従来より向上しているようだ。何よりバーチャルサラウンドに比べ、圧倒的にサービスエリアでオフセンターに位置して視聴しても、全く違和感がない。これなら、家族全員が楽しめるサラウンドシステムとして使えるだろう。
実際に映画「The PRESTAGE」を視聴してみたが、ヒュー・ジャックマンが放電装置に近付き、イリュージョンで消える瞬間、稲妻が四方から自分の体に突き刺さってくる感覚を実体験したかのようだった。
音楽ライブも楽しい。低域再生能力の改善で音楽も楽しく聴けるようになるうえ、柔らかなホールトーンやコンサート会場のざわめきが音場後方を支配し、見事な空間を生み出してくれる。これこそリアル5.1サラウンドの効果だ。オプションで用意されるサブウーファーを追加することで、さらに低域能力を補強することもできるが、音楽ソフトの再生だけならばサブウーファーは不要だ。
加えてリビング内の好きな場所で音楽を楽しむための「マイビーム」機能も楽しい。
これは音を放射する方向を自在にコントロールできるYSPの機能を生かした機能で、リモコンのマイビームボタンを押すと、ユーザーの方向を自動的に検知してステレオ音声をその方向に放射する機能。
家事をしながら音楽を楽しみたい。そんな時に役立ってくれるだろう。多少、大きな音量にしても、放射している方向以外には、あまり大きな音では聴こえないというメリットもある。
一般的なのシアターラックシステムとはひと味もふた味も異なる、YSP-LC4000のサラウンド音場。“本物のサラウンド”だけでしか体験できない空間を、ラックシステムというもっともシンプルな形態で楽しめるというのは、素晴らしいというほかない。
せっかく薄型ハイビジョンテレビを導入するのであれば、せっかくテレビの画質にこだわるのであれば、そのクオリティに見合う本物のサラウンドシステムを検討してみてはいかがだろう。テレビの買い換えだけでは体験できない素晴らしい映像世界が、そこには待っている。
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提供:ヤマハエレクトロニクスマーケティング株式会社
制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2007年11月30日