Mobile:NEWS 2002年6月14日 08:00 PM 更新

「カタログインパクトより使用感」〜ソニー、SO504iを語る(2/2)


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 504iシリーズでは「D504i」が26万色表示の液晶を搭載してきているが、6万色でも26万色でも見た目は同じだと液晶メーカーも語っている(4月19日の記事参照)。「(SO503iなどと)色数は一緒だが、(SO504iでは)色再現性の高いデジタルカメラ用途のカラーフィルタを採用したり、バックライトの輝度も上げた」(同氏)

 携帯の液晶ディスプレイは、既にカタログスペックでは語れない時代になってきているのは確かだ。現在のスペック表では分からない部分の1つが、色再現性と明るさを意味する輝度である。ZDNetでは各端末のディスプレイの輝度を調査したが、その結果からは輝度と見やすさが大きな関係があることが分かってきている(5月28日の記事参照)。

 輝度アップだけでなく、実用性を高めるための仕掛けも施されている。これまでの携帯の液晶はバックライトが点いているときはいいが、しばらく放っておくとライトが消えてしまっていた。昼間はともかく、夜間は液晶がまったく見えなくなってしまい、不都合な場合もあった。SO504iではバックライトが消えることがなく、時間が経つと輝度が下がる仕様になっている。「液晶は透過型だが、微灯にしている。今までだとメールを打っている最中に、一気にバックライトが消えてしまった」(同氏)

 ただし、この仕様は実はSO504iだけではない。「P504i」ではキー操作中は最高輝度でバックライトが点灯、しばらくすると微灯に変わり、その後完全にライトが消えて反射光のみでの表示となる。「N504i」も、バックライトがいきなり消えるのではなく、微灯に変わる仕様だ。

ソニーなのに、どうして音が悪いんだ?〜弱点をフォロー

 ドコモ初のTFT液晶、他社を凌ぐPCM24和音音源搭載……。圧倒的なスペック値を誇った前機種「SO503i」だが、その作り込みには甘い部分も多かった(4月23日の記事参照)。SO504iはその反省を基にした作り込みもなされている。着信メロディに関しては、そんな姿勢が最も見えるところかもしれない。

 「503iで音が小さい、という意見がありまして、“ソニーなのにどうして音が悪いんだ?”という意見がたくさん来ました。今回は一気にこだわりました」と、江里口氏はSO504iの着信メロディに自信を見せる。

 18ミリの大口径ダイナミックスピーカーを搭載し、音量も十分。音源チップも、実績のあるヤマハのFM音源に変更した(6月11日の記事参照)。「ヘッドフォンで聴くと、前のPCM音源がリアルさという面では上。だが着信音という意味ではFM音源のほうが耳に付く。また、ADPCM(着信ボイス)を使って面白いことができる」(江里口氏)

 SO504iの“音”へのこだわりは、内蔵のプリセットメロディにもおよぶ。「プリセット曲も何度も作り直して、ボディも何度も作り直した。同じTRUTHの曲でも、かけた情熱の分だけいい音になってると思います」

“リッチ”がコンセプト

 そしてSO504iのコンセプトは? というと、江里口氏は「一言で言うとリッチ」だと表現した。

 このリッチなイメージは、しっかりSO504iで具現化されているだろう。504iシリーズでは、銀、黒、ピンクの3色を揃えた端末が多い。そんな中、SO504iの赤、青、白のラインアップが目を引く。

 「(SO504iには)色のデザイナーが専門で付いている」と江里口氏。実はこれまでは男女的な切り口がカラーバリエーションとして多かったのだという。例えばSO211iのピンクはいかにも“女性のための色です”という感じだ。「今回は男女で切っているのではありません。特に赤を見ればよく分かるんですが、男性も購入していただける赤です」(江里口氏)

 SO504iのボディは、江里口氏が「ダブルエッジ」と表現するツートンカラーで構成されている。外側はつや消し、内側はメタリック。さらにアンテナも、先端は内側と同色で、間のチューブは外側に合わせて……とこだわる。

 デザイン上のポイントは、504iシリーズ各社同様、背面の処理だったようだ。「(SO504iには)サブ液晶、赤外線ポートが初めて搭載された。そしてiバッチとアンテナと……。普通だとごちゃごちゃしがちだが、リッチ感を出すためにシンプルにできないか、というのが課題の1つだった」(江里口氏)


完成度高いユーザーインタフェースは大きな変更なし

 内蔵のソフトウェアには大きな変更は少ない。SO503iで最速を誇ったJavaに関しても(3月28日の記事参照)、SO504iでは大きな速度アップは見られなかった。「よく利用する部分をチューニングした」とのことだが、「これ以上速くするのは(現状のハードウェアでは)限界という気もする」という言葉も。ただし、待ち受けアプリの再起動が他機種よりも若干速いように思えることは付け加えておきたい。

 初期から可能だったメールの自動振り分けも、目立たないところが強化されている。SO503iでは、アドレス帳に登録されているものだけが振り分けの条件にできたが、「今回からはアドレスを直接入力することもできるようになっている。今後は、PCのメーラーに近づける方向で検討していきたい」(武内氏)

 高い完成度を持ちながら、一部のユーザーには内蔵ソフトウェアに対する不満があったのも事実だ。例えばアラーム機能の貧弱さである。SO504iではこの部分も特に変わっていない。

 とはいえ、新機能をてんこ盛りにした結果、使いにくくなってしまった……という端末も見受けられる中、SO504iは細かな不安点を解消しつつ完成度を高めた。スペックではなく実使用感──。SO504iはその言葉通りの端末に仕上がっている。

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[斎藤健二, ITmedia]

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