Mobile:NEWS 2002年8月29日 08:24 PM 更新

NEC、カメラ内蔵端末に意欲

現在、カメラ内蔵端末はJ-フォン向けに1機種投入しているだけのNECだが、今後「基本的にカメラは必須機能」だと言う

 NECモバイルターミナル事業部、商品企画部長の角田和之氏が8月29日、矢野経済研究所主催のセミナー「カメラ搭載携帯電話の製品展開と市場動向」で講演。「一番大事にしたいのは移動機としての性能だが、基本的にカメラは必須機能」だと語った。

 カメラ内蔵型端末が、利用者数1000万人に届こうとしている中、NECはカメラ内蔵型では出遅れた。折りたたみ型&大画面の特徴を生かし、ブラウザフォンとしてトップシェアを獲得しているが、現在のところカメラ内蔵端末はJ-フォン向けの「J-N05」1機種のみ。

 ドコモ向けの端末群では、NECはここ2年、ほぼ常に販売台数上位を独占していたが、最近はカメラ付きの251iシリーズに苦戦している。「N504iもはじめは断然トップだった。しかし(6月に入って出てきた)カメラ付き携帯が出てきて、後塵を拝している」(角田氏)。



「Nシリーズの販売状況」(左)。2000年末からほぼ常に販売台数トップを占めてきたことが分かる。特に2001年は、「N210i」「N503iS」が1位、2位を独占してきた。「カメラ搭載携帯電話の投入状況」(右)。既に市場全体の2分の1がカメラ搭載機。J-フォンに至っては9割がカメラ搭載。しかし、NECはまだ1機種しかカメラ付きを投入していない

カメラの高性能化、動きは早い

 角田氏は、カメラが標準機能になり、デジカメ並の高性能化が進むと予測する。「デジカメで求められている性能が、携帯にも要求されるだろう」という考えだ。メガピクセル(100万画素)化、フラッシュ内蔵、光学ズームがそのポイント。「あと1年で急激な変化が起こる。かなり動きは早いと思っている」(角田氏)。

 しかしそれをNECがやるかどうかはまた別の話のようだ。携帯電話へのカメラの実装で問題なのは、技術だけではない。あまりに急激に市場が立ち上がったために、部品が不足しているのだという。「(部品)供給メーカーの選定が難しくなっている。部品を確保できるかどうかが重要」(角田氏)。このあたりがカメラ部品を自社開発しておらず、搭載も出遅れたメーカーの辛いところのようだ。


カメラ搭載端末のスペックの進化(7月12日の記事参照

 「カメラを使って何をするのか?」について角田氏は、撮影してメールで送ることから、次のステップに進むと見ているという。1つは、メモリーカードを経由してPCやキオスク端末などでプリントする用途だ。「アンケートを採るとまだ数は少ないが、モバイル環境でプリクラができるのは面白い」(角田氏)。

 2つ目は、バーコード読み取り機として携帯のカメラを使うもの。J-フォンが発表した「J-SH09」は既にバーコード認識機能を搭載しており、この分野に関心を寄せるメーカーは多い(8月1日の記事参照)。

 3つ目は、デジタルメモとしての利用だ。「(写真を)撮っていくと、日記帳代わりになる」(角田氏)。最近のカメラ付き端末は、スケジュールとカメラ画像を連携して保存できたり、「絵日記機能」を備えているものも多い。

 4つ目は、アドレス帳のデータに写真も関連付けるというもの。電話番号やメールアドレスと一緒に、顔写真も交換するといった利用を想定する。「電話帳の管理の仕方も変わっていくのではないか」(角田氏)。

 出遅れはしたものの、NECはカメラに無関心なわけではない。通信キャリアの意向はあるものの、「社内ではカメラは必須機能ということでまとまっている」と角田氏。J-N05では、ツインレンズを使って歪みを減らし、画像処理専用のプロセッサも使った。「画像処理はソフトでやるメーカーが多いと思うがJ-N05はハードウェア」「これだと決めた機能については、ハードウェア化して低消費電力化を図る」(角田氏)。

 角田氏はまた、カメラと共に、保守的といわれることの多いデザインについても「今後、メスを入れたい」と話していた。



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関連リンク
▼ 矢野経済研究所

[斎藤健二, ITmedia]

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