Mobile：NEWS

2002年10月15日　06:06 PM 更新

「すべてをStrataに」〜Intelが語るフラッシュメモリ（1/2）

携帯電話向けフラッシュメモリで7割のシェアを持つといわれるインテルが、1.8V動作の新しいStrataFlashを発表した。今後のフラッシュメモリの動向を、米Intelの製造・技術本部副社長のStefan Lai氏に聞いた

ZDNet：本日発表した携帯向けメモリはどのようなものなのでしょうか。携帯電話にもたらす技術的なインパクトを教えてもらえますか。

Stefan Lai：0.13μmプロセスを使ったStrataFlashメモリを本日発表しました（10月15日の記事参照）。「L18」というのが製品名になっており、18は1.8Vを意味しています。

　重要な点は2つあります。1.8Vという電圧は前のStrataのバージョンよりも60％改善されています。携帯電話にとっては低電力化が重要だというのが1点です。2つ目は携帯向けのStrataということで、より大容量化できることです。

ZDNet：以前のK3と呼ばれていたStrata（2001年9月の記事参照）と比べると、どのように変わったのでしょうか。

Stefan Lai：K3も256Mビットでしたので、容量は一緒なのですが、L18で大事なのはダイサイズが微細化されたことです。ダイサイズの微細化によってコストが低下します。さらに重要なこととして、K3では持っていなかった1.8Vという低電力を達成したこと、また（読み込みと書き込みを1つのチップで同時に行える）「RWW」が実現しました。

すべての製品をStrataに

ZDNet：フラッシュメモリの今後の展開はどうなるのでしょう？

Stefan Lai：基本的には容量を上げていく、すなわちセルサイズのさらなる微細化が私たちの主なフォーカスになっていくと思います。これまで通り、2年ごとに容量を2倍にするペースを維持していくことが重要です。動作電圧は将来的に1.8Vから大きく下がるとは考えておりません。少なくとも次世代の携帯電話に関してはそのままではないかと思っています。

ZDNet：携帯のメモリが大容量化するに従って、外部メモリを備えるものも増えてきました。内部メモリは今後も増え続けるのでしょうか。

Stefan Lai：内部メモリはこれからも容量増加の要求にさらされ続けるだろうと信じています。外部メモリはコードの実行には使えません。コード実行には内部メモリが必用です。

ZDNet：Strataではない、つまり多値ではないフラッシュメモリの展開はどうなるのでしょう。

Stefan Lai：すべての製品をStrataに近づけていくのが基本姿勢となります。Strataのほうがお客様に提供できる価値が大きいからです。ただ、シングルビットセルに対する市場の要求もありますので、市場が決めていくというのが回答になります。

　基本的にはシングルビットも多値（Strata）も共通のプロセスで作っています。これまでStrataは、テクノロジーサイクルの後のほうで出していく傾向が強かったのですが、90ナノ品に関していえば、シングルビットが出てから3カ月以内で多値のほうも出てくることになります。とりあえず今のところの計画ではそうなっています。

ZDNet：Intelはフラッシュメモリ以外の次世代メモリも研究していますが（2001年12月の記事参照）、現在注力しているメモリ技術は何になるのでしょう。

Stefan Lai：Strataは、（Intelのフラッシュ技術である）「ETOX」の延長線上にあるフラッシュメモリですので、長期的にはこれが主流になっていくだろうと思っています。焦点を当てるべきはまずStrataFlashです。もう1つは、メモリとロジックのシングルチップ上での混載です。これによって性能とパワーを要求通りに提供し続けていくことができるだろう。焦点を当てているのはこの2点です。

　ほかのメモリテクノロジーも研究は行っていますが、あくまでも研究段階であり、具体的な製品化の計画には至っていません。

ZDNet：ワイヤレス・インターネット・オン・チップ（2001年5月の記事参照）の進捗状況はどうなのでしょうか。

Stefan Lai：最初の設計を完了して、現在加工に入っているのが現状です。生産に向けた設計という位置づけです。プロセス技術の面からいうと、フラッシュとロジックの混載は既に実証済みだと思っていますので、技術の課題はないと思います。

[聞き手、構成：斎藤健二, ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページ | 1/2 | 次のページ

---