Mobile:NEWS 2003年1月16日 07:24 PM 更新

GPS、持ち歩くならどっち?〜GPSケータイ v.s. GENIOe 550G+「CFGPS2」(2/2)


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  • 受信感度

 通常、GPSの位置計測は最低3個以上の衛星の電波を受信しなければ測位できない。「CFGPS2」は受信チャンネル数が12個あるため受信感度は高く、障害物などで受信電波が遮断されても、瞬時に受信衛星が切り替わる仕組みになっている。そのため測位が中断することもない。さらに、受信感度が低ければ、オプションの外部アンテナを接続することで受信感度をアップさせることも可能だ。

 「A3012CA」は、通常のGPSに加え、衛星の電波が届かないときのために「AFLT方式」がサポートされている。cdmaOneの各基地局に設置されているGPSアンテナを衛星に見立て位置を計測する方式だ。これにより、衛星の電波が全く届かない場所でも測位が可能となる。さらに、GPSとAFLTを組み合わせた「HYBRID方式」もサポートしており、衛星が3個捕捉できないときでも現在位置を測位できる仕組みになっている。

 「CFGPS2」は、車内利用も可能な米SiRF Technologyの高感度アンテナを内蔵しているが、試した限りでは屋内はカバーできないようだ。この点は、GPSなら当然のことなので仕方ないだろう。一方の「A3012CA」は、そのGPSの欠点を見事に克服しており、どんな場所でも測位可能だ。ただし、CDMA2000 1xサービスエリア内から一歩外れると当然のことながらサービスを一切受けられなくなる。どちらにも一長一短があるということだ。

  • 測位速度

 通常、GPSは衛星を3個検出した時点で測位が完了する。「CFGPS2」は衛星を検出するまでの所要時間が非常に短く、そのときの受信状況によって異なるが、平均して約7秒程度と、かなり高速にGPS衛星を捕捉してくれる。ほとんど、測位の待ち時間は感じないといっていいほどだ。

 一方、「A3012CA」は測位に必要な処理(衛星の捕捉と現在位置の割り出し)をCDMAネットワークに接続されたサーバが代行するため、どうしてもタイムラグが発生してしまう。実際のテストでかかった測位時間も平均で約35秒程度(現在地確認が13秒弱、地図取得が22秒強)と、「CFGPS2」の約5倍も時間がかかってしまった。

 また、移動しながら測位する場合、「CFGPS2」は衛星を一度捕捉するとその後は約1秒間隔で自動更新するが、「A3012CA」はそれには対応していない。このため、すぐに現在地を知るには「CFGPS2」が圧倒的に有利だ。

  • 測位精度

 両者ともGPS衛星が十分に捕捉できる場所なら、ほぼピンポイントか、もしくは最大で半径数十メートル程度の誤差と満足のいくものだった。

 しかし、GPS衛星の捕捉が不安定な場所になると、一転して両者とも数十メートルから200−300メートルの誤差がよく発生した。しかし、この程度は公称誤差の範囲内なので、ユーザーはその点を承知しておく必要がある。

 もし、常に精度を正確に保ちたいのなら、最初に誤測が発生してもリアルタイムに自動更新され、瞬時に修正される「CFGPS2」がいいだろう。安心感を求めるなら、「A3012CA」より「CFGPS2」だ。

比較2:地図表示性能

 どんなにGPS性能が優れていても、地図上での確認が分かりやすくなければ意味がない。通常、測位データは緯度、経度、高度(「CFGPS2」のみ)の3種類のみで、これらを地図データと照合して現在位置を地図表示する。両者の地図表示性能をチェックした結果は、表2の通りだ。


地図表示の性能比較

 見やすさとスピードをとるなら、Pocket PCだ。3.5インチの液晶画面に、内蔵メモリからの地図データの読み出しは、地図を確認するには最適な環境。しかも、地図上にはコンパスも表示されるため、現在の進行方位も瞬時に把握できる。

 手軽さをとるなら「A3012CA」。地図データは、その都度サーバから該当部分をダウンロードする形式をとっているので、本体メモリを大量に消費する地図ソフトは不要だ。地図データのダウンロードに多少の時間はかかるが、これなら日本全国どこにいても(CDMA200 1xのサービスエリア内にいる限り)現在位置を地図で確認できる。

比較3:携帯性

 最後に持ち歩く上で気になるサイズ、重さ、外形などを比較してみた。

 Pocket PCは、GENIOe 550Gの本体部分が76.5×125×15.9ミリ(幅×高さ×厚み)、「CFGPS2」部分が57×79.8×22ミリ(幅×高さ×厚み)となっている。しかし、使用時は「CFGPS2」の半分がGENIOe 550GのCFスロットに収納されるので、トータルの高さは約166ミリ程度となる。重量は、GENIOe 550G部分が約170グラム、「CFGPS2」部分が約60グラム、合わせて約230グラムだ。

 一方、「A3012CA」は折りたたみ時が48×118×25ミリ(幅×高さ×厚み、アンテナ部分含む)、開口時が48×200×28ミリ(幅×高さ×厚み、アンテナ部分含む)、重量は約106グラムとなっている。

 使用時の高さこそPocket PCの方が小さいが、それ以外は重量が2倍強の開きがあるなど「A3012CA」の方が圧倒的にコンパクトかつ軽量となっている。そもそも、「A3012CA」は携帯電話なので、当然の結果ではある。

どちらがお勧め?

 手軽さという点では、GPSケータイに軍配が上がる。携帯電話にそのままGPS機能が兼ね備えられているだけに面倒がない。測位する上で多少の通信料は発生するが、それでもGPSレシーバや地図ソフトを導入する必要が一切ないことを考えれば安いものだ。また、CDMA携帯電話である利点を生かして、通常のGPSには不可能な屋内での衛星捕捉や、GPSメールやドアトゥドアなど携帯機能とGPS機能を組み合わせた各種サービスが豊富に用意されている点も見逃せない。

 逆に、カーナビゲーションのように利用したいならPocket PCだ。GPSケータイの2倍近い液晶サイズと測位の自動更新は、歩行中やドライブ中のナビゲータに最適。また、標準添付の地図ソフト「PocketMappleDigital」はGPS軌跡表示やGPSヘッドアップ(GPSの進行方向が常に上に向くように地図を回転させる)などのアシスト機能も備えているので、道に迷う心配もない。


画面4 GPS軌跡表示。リアルタイムにGPS座標を取得し、それを線で結び、移動の軌跡が地図上で確認することができる。これなら、道に迷っても同じ道を何度もさまようことはなくなるだろう

 それぞれを目的や用途に応じて使い分けることをお勧めしたいが、手軽にナビゲーションしたいならGPSケータイ、リアルタイムで精度の高いナビゲーションをしたいならPocket PCという使い分けができそうだ。



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[佐野直樹, ITmedia]

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