Mobile:NEWS 2003年6月19日 11:31 PM 更新

PCで作った動画をFOMAで見よう(2/2)


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3GPP形式への書き出しがポイント

 注意が必要なのは3GPP形式への書き出しだ。まずQuickTimeの3GPPから「一般」を選んで3GPPファイルに入れる各データの形式を選ぶ。

 この際にファイルフォーマットは「Mobile MPEG-4」にすること。全部で3つ用意されているが、「Mobile MPEG-4」はFOMAのために用意されたものになる。3GPPと呼ばれる規格は幅広く、FOMAはそこに規定されているすべてをフォローしているわけじゃない。よって3GPPに準拠していてもFOMAでは再生できないデータというのも存在するのだ。そのためFOMAの仕様に合わせたファイルフォーマットが用意されている。

 ビデオトラックはMPEG-4のままでいい。サイズは2種類。大きい方でも小さい方でも好きな方を選べばいい。

 フレーム/秒(フレームレート)は1秒間に何コマの画像を表示するかを決めるもので、数が多いほど動きは滑らかになるが、データ量は多くなる。スライドバーは1秒あたりのデータ量(データレート)を決めるもの。1秒間に何キロビットのデータにするかが決まる。1秒あたりのデータ量が多いほどクオリティは上がるが、ファイルサイズが大きくなる。

 忘れてはならないのはFOMA側の制限。これが実は2つある。ひとつは「Webにアップロードする場合のファイルサイズが300Kバイト以内」ということ。もう1つは「データレートの上限は64キロビット/秒」ということだ。

 長いムービーの場合はデータレートを抑えないと全体のファイルサイズが大きくなるし、短いムービーなら多少データレートが大きくてもいいので画質を上げられる。ファイルサイズが大きいとパケット量も増えるのでその分パケット料金がかかることにも注意が必要だ。

 データレートとフレームレートと画質はそれぞれ相関関係があるのでちょっとややこしいが、まずフレームレートを決め(動きが重要なら15フレーム/秒、あまり重要でないなら8フレーム/秒といった感じでアバウトに決めればいい)、データレートをマウスのドラッグでコントロールしながら全体のファイルサイズを調整すればいい。ダイアログの下の解説部分にリアルタイムで現在のファイルサイズが表示されるので、そこをよく読むのがポイントだ。

 「オーディオ」タブでは音質を決める。ビデオに比べると音声のデータ量は多くはないが、それでも音質によってファイルサイズはかなり変わってくる。ビデオの時と同じようにデータレートを設定する。なお、オーディオトラックのオーディオの形式にスピーチとミュージックがあるが、FOMAで対応しているのは「スピーチ」だけなので、スピーチにすること。ちなみにスピーチはAMR、ミュージックはAACという圧縮形式のことである。スピーチの方が音声に特化したもので圧縮率は高いが音質は良くない。

 「テキスト」は、動画に文字を入れるための機能。元の動画にテキストトラックがなければ気にしなくていい。「サービス」には今のところ「配信の制限」だけが用意されている。ダウンロードしたムービーを他の人にコピーしたりしていいかどうかを選べる。「ストリーミング」は現状のFOMAではストリーミングがサポートされてないので無視していい。

 こうして書き出したファイルはQuickTimeプレイヤーでもう1度開いて確認しておくといいだろう。

作った3GPPムービーをFOMAで見る

 3GPPムービーをFOMAで見るには2つの方法がある。

 1つはSDカードなどFOMA端末の外部メディアをPCにセットして、直接ファイルをコピーする方法。もう1つはWebに上げてiモード経由で見てもらう方法だ。

 FOMA端末に直接データを持って行くのがコストがまったくかからなくて一番いい。販売中のFOMAで外部スロット対応なのはパナソニック モバイルコミュニケーションズ製の「P2102V」だけなので、このケースを説明する。

 P2102VからSDカードを取り出し、PCにマウントすると「SD_VIDEOフォルダ」が見える。その中に実際の動画が入っているフォルダがある。


P2102VのSDカード内の構造

 このSDVという拡張子のファイルがMPEG-4動画だ。ここに作成したムービーファイルをコピーする。次にファイル名を「MOLxxx」という連番式に変える。MOL001.3gpとかMOL002.SDVにするのだ(3gpをSDVにしても問題なく動作した)。


この場合は、MOL004.3gpというファイル名にすればいい

 完了したらSDカードをP2102Vに戻し、ムービープレイヤーで再生してみる。P2102Vの場合は「マルチメディア」-「ムービープレイヤー」-「SDカード」でアクセスできる。

 インターネットを使うのは、いろんな人に見てもらうのによい方法だ。

 まず適当なWebサーバを用意する。次に、FTPソフトを使って3gpファイルをアップロードし、そのURLを見てほしい3gpp対応のFOMAユーザーにメールで送る。

 試しに作ったページ(http://www.ogikubokei.com/mov/)があるので、3gpp対応のFOMA端末を持っている人はアクセスしてみてほしい。PCで編集した動画をこんなふうにFOMAで見られる。長さの割に高画質なのが分かるはず。簡単なメニューが付いているが、リンク先は単なる3gpファイルだ。

 ここで長いムービーを見てもらうと分かるが、280Kバイトのファイルでも途中までダウンロードしたらすぐ再生が始まる。これはプログレッシブダウンロードとかプログレッシブ再生と呼ばれているもので、ダウンロードしながら再生するという技術だ。よってけっこう長いムービーでもストレスなく見られるのである。



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[荻窪圭, ITmedia]

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