Mobile:NEWS 2003年9月3日 01:55 AM 更新

小型軽量ながら通信も可能〜iPAQ Pocket PC「h1937」を試す(2/2)


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Samsung製統合プロセッサを採用

 プロセッサはh1920のPXA255/200MHzから統合プロセッサであるSamsong S3C2410/203MHzに変更された。ARM9アーキテクチャで、従来のStrongARMやXScale用ソフトはそのまま動作するため、ユーザーが特に意識することはないだろう。

 プロセッサ変更によるマイナス要素はほとんど感じられない。初代iPAQ Pocket PCで使っていたフリーソフトも特に問題なく動き、処理速度面での違和感もない。

 CPUの能力が問われる動画再生でも、h1920との差は感じられなかった。Windows Media Encoder9を使い、Pocket PC用プロファイル「Pocket PC ワイドスクリーンビデオ」(320×240ピクセル、20fps)でエンコードした動画ファイルをSDカード上から再生させてみたところ、破綻を感じることはなかった。もちろんエンコード指定された20fpsで再生されているという保証はないが、映像が紙芝居のようになったり、音声が途切れるということもなく閲覧できた。

 プロセッサの話からは離れるが、H1937ではPocket PC 2003への変更に伴い、Windows Media Playerも9シリーズにアップデートされ、コーデックとしてWindows Media9に対応している。「Pocket PC ワイドスクリーンビデオ」プロファイルをベースにビデオコーデックをWindows Media9に変更して(標準ではWindows Media8)エンコードしたファイルも問題なく再生できた。


プロセッサはSamsung製。ただしh1920のXScaleと同じARM9アーキテクチャのため、ソフトウェア互換は保たれている。メモリが56.6Mバイトと表示されている点にも注目(左)。Windows Media PlayerはPCと同様9シリーズになった。Audio、Video共にWindows Media9をきちんと認識し、再生も可能だった。もちろんPC向けにエンコードされた高ビットレートのファイルは実用的に無理ではあるが(中、右)

 ユーザーが利用できるメモリはh1920の約34Mバイトから約56Mバイトに拡張された。理由は公表されていないが、h1937ではフラッシュROMがh1920の16Mバイトから32Mバイトに増加しており、h1920でRAMをROM代わりに利用していた分が不要になったようだ。Samsong S3C2410にはフラッシュROMも統合されており、低コストにフラッシュROMを増加させられる点が、利用可能なメモリの拡大につながったようだ。

SD/IO対応でモバイルインターネットが可能に

 h1920ではメモリカード専用だったSDカードスロットは、待望のSD/IO対応になった。現状ではセイコーインスツルメンツ製のAirH"対応端末「AH-S101S」が動作確認されている。

 AirH"対応といえば、「つなぎ放題だが月額料金が高い」という印象もある。もっともAH-S101SはPIAFS32/64Kbps接続もサポートしており、基本料金の安価な従量制の料金プランも利用できるので、用途に合わせた料金プラン選びが可能だ。

 AH-S101Sを利用したインターネット接続は、事前にセイコーインスツルメンツサイトからドライバを入手し、ActiveSync経由で本体メモリに転送するか、SDメモリカード経由でドライバファイルを実行すればいい。ユーティティも同様で、容易に導入できる。


AH-S101Sはユーティリティを起動すれば電波状態も確認できる。インターネット接続の設定もOSの変更に伴い、より分かりやすいものになっている

 AirH"32Kbpsを使ったWeb閲覧は、サクサクとまでは言わないまでも、概ね不満なく利用できる。メールの送受信もテキストベースであればなんら問題は感じない。


SDスロットからの出っ張りは気になるが、単体でインターネット接続できるメリットは大きい

 「PDA=モバイルインターネット」というユーザーばかりではないだろうが、国内においてはそれを求める層が多いのも事実。SD/IOへの対応で一気に実用性が増したと感じる人も多いだろう。

SD/IOデバイスの増加に期待

 h1937は、前モデルh1920のサイズと価格はそのままに、ユーザーメモリの拡張やSD/IO対応を果たした。ユーザーメモリはSDメモリカードでも補完はできたが、SD/IO対応、つまり単体でのインターネット接続手段の確保は代替が利かなかった部分。h1920と比べて格段に魅力が増した製品といえるだろう。

期待したいのはSD/IO対応デバイスの増加だ。無線LANカードやBluetoothカードなども発表はされているが、なかなか市場に投入されない。国内では都市部を中心に着々とホットスポットが拡大していることもあり、無線LANカードの登場には期待したいところだ。またh1937やGENIO e350などのSD/IOスロットのみを備えた製品が、SD/IO対応デバイス拡充の起爆剤になればと思う。



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[坪山博貴, ITmedia]

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