さまざまなシーンでワンセグを楽しめるように──「SH903iTV」開発秘話ワンセグをスマートに、より美しく──「FOMA SH903iTV」 第3回(2/3 ページ)

» 2007年03月16日 10時00分 公開
[PR/ITmedia]
PR

利用シーンに広がりを持たせるFMトランスミッタ

Photo 第一技術部の山下宏人氏

 SH903iTVには、ワンセグの新しい利用シーンを提案するための機能として、FMトランスミッタも搭載している。従来、多くのユーザーは通勤/通学途中の電車の中や駅など、主にモバイル環境でワンセグを視聴していると考えられていたが、アンケート調査などを実施するうちに、実はそれ以外のシーンでもワンセグを見ているユーザーが多いことが分かったという。

 「電車の待ち時間だけでなく、たとえば自宅の寝室で見ていたり、会社のデスクに置いて休憩時間に楽しんだり、買い物中の奥さんを待つ間車の中で見たりと、実に多様な使い方をされていました。そこで、FMトランスミッタを搭載し、モバイルといわれている部分以外での視聴を広げようと考えました。例えば車の中なら、FMトランスミッタがあればはワンセグの音声をカーステで聞けます。自宅の寝室では、コンポのスピーカーから歌番組の音声などを再生して楽しんだりもできます」(大屋氏)

 山下氏は、再生時の音質についてもこだわりがあると話す。「回路部品の選定段階から(音質には)こだわっていました。具体的には、楽器の1つ1つの音が粒だって聞こえるように、セパレーション(左右の分離)を改善したり、音の立ち上がりを速くして、クリア感を持たせるようにしました。じつはFMトランスミッタのプリセットチャンネル毎に微妙にパラメータを変えていたりもします」(山下氏)

結果的に最適な場所に配置されたステレオスピーカー

Photo SH903iTVのステレオスピーカーは、ヒンジ部に搭載されている

 SH903iTVの魅力の1つとして、ステレオスピーカーを搭載している点にも触れておかねばならないだろう。高音質なチップに加えて、SH903iTVではサイクロイド機構のヒンジ部にステレオスピーカーを搭載している。ただ、このステレオスピーカーの位置は、開発陣の中でかなり議論を重ねたという。

 「サイクロイドスタイルでは、画面を回転したときスピーカーが上下になってしまうので、ディスプレイの左右にスピーカーを付けることができません。必然的に、下ケース(ダイヤルキー側ボディ)かヒンジ部に入れることになります。当初はヒンジ部を薄くするために、下ケースにスピーカーを入れることを検討していましたが、下側にあると画面の角度などとは必ずしも連動しませんし、端末を手で握ったときにスピーカーを隠してしまう可能性もあります。いろいろ考えた結果、ディスプレイの後ろであるヒンジ部分に落ち着きました。ヒンジ部なら回転せず、画面に対して常に一定の位置にあるため、音のクオリティという点でもメリットがあります。企画担当としてはぜひヒンジ部に入れてほしいと考えていたので、何とか入れてもらえてよかったです」(大屋氏)

 大屋氏の発言にもあるとおり、ヒンジ部にスピーカーを入れる作業はまさに「何とか入れる」という状態だったそうだ。サイクロイド機構のヒンジは、内部が特殊な構造になっている。そのため、ここに薄型のスピーカーを組み込んでどこまでいい音を出せるかには、かなり気を配って開発した。

Photo 第二技術部の片山智文氏

 筐体の設計を担当した第二技術部の片山氏は、2つのスピーカーを入れつつ本体は薄くしなくてはいけないという相反する要求を前に、強度を確保しながら薄型化するという難しい課題に挑戦した。ステレオスピーカーを入れない状態でも、下ケースにはすでにアンテナやカメラユニット、バッテリーなどが所狭しと配置されていて、スピーカーを組み込むとしたら厚みが増すことは避けられなかった。

 「下ケースにステレオスピーカーを搭載して薄型化できるのかどうか、かなり悩みました。ワンセグの連続視聴時間をある程度確保する必要があるため、バッテリーを小さくするわけにもいきません。そこで比較的部品の少ないヒンジ部の空間にステレオスピーカーを搭載することによって、全体的な薄型化を実現できるのではないかと考えたのです。ただし、ヒンジ部はステレオスピーカーを搭載しても厚くならないように苦慮して設計してあります。また、下ケース部分も従来より薄型化しつつ強度は確保してあります」(片山氏)

AQUOSの名に恥じない高い映像クオリティ

 もちろん、AQUOSの名を冠する製品だけに、ディスプレイに表示する文字や写真、映像の画質の高さにも妥協はない。SH903iTVが搭載する3インチのワイドQVGAディスプレイは「SH903i」にも搭載されていた高画質化エンジン「SVエンジン」を備え、携帯電話として利用する際の画質モード4種類に加えて、ワンセグ専用の画質モードも3種類用意している。

 4種類の画質モードは、文字や写真を美しく表示できることを意識したチューニングを施してあるという。一方ワンセグ用の画質モードは、全画面でワンセグを楽しむ際に最適なものにした。例えばワンセグ用モードでは、長時間視聴することを想定して派手になりすぎないよう気を付けつつ、高い色再現性を追求している。画質はAQUOSの開発部隊にも助言を仰ぎながら高いクオリティを目指した。

 このほか、ディスプレイサイズが大きくなったことで文字などが粗く見えてしまわないよう、文字表示のレンダリング処理を3インチ専用のものに変えた。大きなディスプレイでも文字がきれいに見えるよう、見直しをかけて新たなパラメータを適用している。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


提供:シャープ 株式会社
制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2007年3月31日