ストレス社会で闘う大人を癒す──アロマケータイ「SO703i」が生まれるまで「SO703i」開発陣インタビュー(3/3 ページ)

» 2007年03月19日 09時37分 公開
[遠藤学,ITmedia]
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香りだけではない──使いやすさへのこだわり

 とかく着せ替えパネルやアロマシートばかりがクローズアップされがちなSO703iだが、開発チームの面々は視覚、嗅覚だけでなく“使っていて使いやすい携帯”を目指したと口をそろえる。

 「女性に使ってもらう携帯ということで、まずはキーの押しやすさを考えました。大型スクエアキーの採用が入力のしやすさに貢献するのはもちろんですが、握った時、手の中にどう収まるかで押しやすさは変わります。そのためSO703iは女性の小さい手でもしっかりと収まるように幅を細くしているのです。高さはSO702iよりも増していますが、幅が狭くなったことで手に包んだ時の収まりがよくなっています」(鈴木氏)

 「最近はスクエアな端末が増えてきていますが、持った時の感覚は丸みを帯びているもののほうがいい。設計面でもスクエアなほうが簡単なのですが、(丸みを帯びた)SO703iは難しく、デザインからはかなり厳しい要求がきましたね。ただ、女性でも持ちやすくすることを考えると“なるほど”というものばかりだったので、機構設計としてはとにかく死にものぐるいで要求を達成しました」(池田氏)

 SO703iの47ミリという横幅は703iシリーズの中では最も狭く、ワイドQVGA(240×432ピクセル)表示対応の2.7インチ液晶は703iシリーズの中で最も大きい。新田氏は「この細さでこの大きな液晶というのは、一回使うと病みつきになる」と、使いやすさに自信を見せた。

 押しやすいフレームレスキーをダイヤルキー部分に、滑らせて使ってもらうという発想でシートキーをソフトキー部分に――というように、新たな試みとして2つの異なる仕様のキーを採用した点にも注目したい。

 「ここまではっきりと2つに分けて作るものは従来なく、数社に打診して受けてくれると言ったメーカーは1社しかなかった。後は全部できないと。確かに難しい注文で、薄さとデザイン性、フィーリングのバランスがうまく取れず、一時は2つに分けるのは失敗したかなと行き詰まった時もありました。技術的なノウハウは言えませんが、そのメーカーが受けると言ってくれなかったら2つのキーは実現しなかったのです」(池田氏)

photo ダイヤルキーとソフトキーは、それぞれ異なる仕様のキーを採用する

 それぞれに最適なクリック感があると考え、思い切って分けた2つの形状の異なるキー。同様に、爪の長い人でも入力しやすいようにと、ダイヤルキーを大型化した。「指の腹で押す場合、どこにどのキーがあるか分からないといけないので、しっかりとクリック感を持たせる必要がありました。ブラインドタッチしてもクリック感が伝わるように。大型化にはそういった意味もあります」(上田氏)

 そのダイヤルキーの使い勝手を試してもらうべく、デコメールを簡単に作成できる「クイックデコレーション」、メールの文章入力後に文字サイズ/文字色/文字の動きなど複数の装飾を行える「クロスデコパレット」を装備するなど、メール機能も強化している。

 「“ダイヤルキーが使いやすくなりました”だけでは訴求できないので、それに伴う機能、メールも使いやすくなったことをアピールするためにクイックデコレーションを入れています。デコメは特別なメールというよりは、今では普段から使われるものになっていますから、ちょっとした飾りでかわいく送れる使いやすいものにしています」(上田氏)

photophotophoto クイックデコレーションは“デコメをどうやって作ったらいいのか分からない”という男性向けでもあるだろう

 苦労を重ねて生まれた異なる形状の2つのキーだが、今後も継続して採用するかどうかは分からないと新田氏。「こだわりのポイントではあるが、クリックの強さ、キーの大きさなど、利用したユーザーの声をしっかりと受けとめて、改善を加えていきたい」と、さらなる改善に意欲を見せた。


 見た目はシンプルだが、Style-Upパネルやアロマシートといった気の利いた仕掛けを用意するSO703i。着うたフルに加え、拡張子が.3gpのAACファイルの再生に対応し、同梱の音楽管理ソフト「SonicStage CP」を利用すれば、PCで手持ちの音楽CDを.3gpのAACファイルにエンコードできるほか(3月9日の記事参照)、GPSはないものの、おサイフケータイやプッシュトーク、メガゲームに対応しており、903iシリーズに近い機能を持つのも特徴だ(1月17日の記事参照)

 「機能が高いことはマイナスではなく、満足感を持ってもらうための1つの要素。満足感も“癒し”のひとつです。視覚、嗅覚、使いやすさ──トータルパッケージで満足してもらえる端末になっていると自負しています」(新田氏)

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