News | 2001年3月14日 11:56 PM 更新 |
中国電力は,自社の持つ光ファイバーネットワークを利用したインターネット接続サービスの試験運用を3月中にも開始する。まず,自社の社宅を利用して機器の個別評価を行い,10月には広域実験サービスに移行する予定だ。事業化を前提としているが,「時期は試験の結果で判断する」(同社広報)という。
電力会社は,通信用の光ファイバーをはじめ,電柱や低圧配電線(電灯線)などインターネット接続に適したインフラを有しており,各社が事業化に向けて動き出している(関連記事1,2,3を参照)。アステル中国の親会社でもある中国電力の場合は,アクセス回線として低圧配電線,無線LAN,光ファイバーに加え,PHSを利用することも検討中だ。インターネットへの接続には,やはり関連会社のCTNetを使う。
試験は2段階に分けて行われる。まず,3月から6月にかけて広島市近辺にある社宅に低圧配電線と無線アクセスの通信機器を導入し,個別に機器を評価する予定。無線アクセスは,IEEE 802.11準拠のFH方式(Frequency Hopping:周波数ホッピング方式)とDS方式(Direct Sequence:直接拡散方式)の両方を検証対象としており,伝達距離と確保できる帯域幅によって事業化の方向性を探る方針だ。目標値は最大3Mbps程度。一方,低圧配電線の場合は,九州電力や北海道電力と同様の10K〜450KHz帯を利用し,最大1Mbps程度になる見込みだとしている。
今年10月からは,廿日市の一部で地域を限定した試験サービスを開始する予定だ。その際には,一般家庭や工場などから250戸程度のモニターを募集し,低圧配電線,無線LAN,光ファイバー,PHSを使った64Kbps通信の4方式をテストする。PHSの場合は,電柱に設けられた基地局に対して,クライアントPCが子機として扱われる仕様だ。また,工場など高圧の配電線が敷設されているケースでは,電灯線の代わりに光ファイバーを直接引き込むことも検討しているという。このほか,試験ではPHS網を利用した自動検針やコンテンツ配信の試験も並行して行われる予定だ。試験期間は2002年6月まで。
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