マルチデバイス時代の“管理しない管理術”――新・富豪的ストレージ活用法QNAPでもっと便利に(2/3 ページ)

» 2011年07月12日 11時30分 公開
[瓜生聖,ITmedia]

音楽データもとりあえずTurboNASにぶちこんでしまおう

 音楽はネットワークとCPUの高速化、それにストレージの大容量・低価格化の恩恵を大きく受けたコンテンツの1つだ。20年ほど前、CD-Rが登場してCDのデジタルコピーが可能になった。それから可逆圧縮が当たり前だったデジタルデータの世界に非可逆圧縮が登場し、JPEGやMP3、MPEGといった標準的なメディアフォーマットが普及しはじめる。

 1曲数Mバイトまで圧縮された音楽は「扱えなくはないけれどちょっとつっかかる感じ」程度の転送時間でダウンロードが可能になった。その後、ネットワークの高速化によって1曲のダウンロード時間はわずか十数秒程度にまで短縮され、すっかり「軽いコンテンツ」という認識になっている。

TurboNASを使った音楽データ管理術。iTunesでは「[iTunes Media]フォルダの場所」に、TurboNASのQmultimedia(Multimedia)以下のフォルダを指定しておく

 また、当初はCD1枚をMP3エンコードするのに一晩かかっていたが、それが今や数分で完了するようになり、実質20倍速以上での取り込みが可能になった。iTunes Storeをはじめ、音楽のダウンロード販売も広まってきているが、まだCDの売り上げも大きい。それにDVDのネットレンタルは2006年以降、軒並みCDのサービスも行っており、とりあえず特定のアーティストの全楽曲をそろえるといったコレクター魂を安価に充足させてくれる。iTunesはダウンロード販売とCDリッピングの両方をサポートしており、その使い勝手のよさはiPhone/iPodを使用していなくても享受できる。

 QNAPにはiTunesサーバ機能があるが、ローカルネットワークではファイル共有を使うのが勝手がいい。QNAPの「Qmultimedia」フォルダ以下をライブラリ保存フォルダとして利用すると、iTunesサーバ接続に比べ、よりレスポンスがよく、かつCDなどからの追加も簡単だ。もちろん、iTunesサーバも併用できるため、スマートフォンからDAAPプレーヤーなどでどこにいても再生可能だ。

再生方法はファイル共有、iTunesサーバ機能(DAAP)、マルチメディアステーションの3種類がある。画面はPCから見たマルチメディアステーション(画面=左)。iTunesサービスを有効にしておき、外からアクセスできるようにルータを設定しておけば、スマートフォンのDAAPプレーヤーで再生することもできる。iTunesサービスが利用しているポートは3689だ(画面=中央/右)

すぐに取り出せるデジタルデータで収納効率UP

今はPDF形式で取扱説明書をダウンロードできる製品も多い

 モノを捨てずに持っておく場合でも、収納方法によって効率は大きく違ってくる。すぐに取り出せるようにするには、収納効率を多少なりとも犠牲にする必要があるわけだ。そこで「必要となる頻度」によって「収納方法を変える」ことになるが、デジタル化することでこの「頻度」を低くし、収納効率を上げることができるものもある。

 例えば、家電などを買ったときの取扱説明書。購入時でさえ入念に目を通すことはほとんどないが、たまに不具合が起きたときや、今まで使ったことのない機能を使うときなどに必要となる。最近はサイトにPDF形式の取扱説明書を公開しているメーカーも増えてきているので、ダウンロードして保存しておくとよいだろう。また、ブリスターパックの台紙が説明書になっているものもある。こうしたものはデジタルデータとしてすぐに取り出せるようにしておき、原本は処分するなり、取り出しにくくても収納効率を優先して押し入れの奥にでも片付けてしまうなりすればよい。

ブリスターパックの台紙裏が取扱説明書になっているもの。このような1枚モノの取扱説明書はスキャン後に捨ててしまっても困らないだろう。ドキュメントスキャナしかない場合はデジカメで撮ってしまえばいい

 保証書は原本を処分するわけにはいかないが、実際に利用する前には「保証期限が切れていないか確認する」ために取り出すはずだ。もちろん、Excelなどで管理していれば効率的ではあるが、一般家庭ではそこまでする人はあまりいないだろう。これもスキャンしてデジタルデータとして保存しておけば、保証期限の確認のためだけに原本を引っ張り出してくる必要はなくなる。また、保証書を紛失したのではなく、保証期限が切れているために有償修理となることを自身で納得するためには期限の切れた保証書も捨てがたいが、デジタルデータとして残しておけばためらうことなく処分できる。

 PC周辺機器やデジタル家電の場合は、ハードウェアにCD-ROMやDVD-ROMが付属することが多いが、収録ファイルをTurboNASにコピーしておけばPCを買い換えたときなどの再セットアップ時にも簡単に対応できる。なお、ブータブルDVD-ROM/CD-ROMの内容をTurboNASに保存する場合、単純なファイルコピーではそこからDVD-R/CD-Rに書き戻しても起動可能なメディアを作成することはできない。ブータブルDVD-ROM/CD-ROMの場合はISOファイルなどイメージファイルで保存しておく必要がある点に注意しよう。

 ISOファイルの場合、収録ファイルを利用するには仮想ドライブにマウントするか、CD-RW/DVD-RWに焼くなどの一手間が必要だ。場合によっては仮想ドライブソフトをインストールしていないPCや、そもそもインストールできないスマートフォンなどから利用したいこともあるだろう。そのときにはTurboNASのISOマウント機能を利用することで、直接中身のファイルを参照できる。

 そのほか、DVD VIDEOやBlu-rayのISOファイルであれば、NMP-1000Pのようなネットワークメディアプレーヤーで直接再生することができる。また、QNAPにPS3 Media Server(PMS)をインストールするとPS3でも再生可能だ。

フリーの仮想ドライブソフトの中にはISOファイルがネットワークドライブ上にあると動作が不安定になるものもある。画面は「VirtualCloneDrive。試した中ではもっとも安定していた(画面=左)。エクスプローラからISOファイルを右クリック、マウントする(画面=中央)。通常のDVD同様に再生が可能。画面は著作権保護されていないDVD「第1回スク水だらけの水泳大会」(画面=右)

Web File ManagerからISOファイルを選択し、右クリックメニューから「ISOをマウント」を選んで仮想フォルダにマウントする(画面=左)。エクスプローラからは通常の共有フォルダのように見える(画面=中央)。ブータブルメディアイメージは、必要となったときにDVD-RW/CD-RWに焼くか、光学メディアエミュレーション機能を持つUMA-ISOなどにコピーして利用する(画面=右)

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