より高度なコンピューティングにチャレンジし続ける 〜JCS社長インタビュー〜(3/3)例えばかつてはUNIXワークステーションの独壇場であった企業のサーバ機も性能が向上したインテルアーキテクチャのプロセッサを搭載したPC機に一部の基幹部分を除いては次々に置き換わって行きました。同様なことはグラフィックスワークステーションの世界でも起こっています。 今度はそれがスーパーコンピュータの世界でも起こってきているというのが現在の状況です。 人類がその時々でその時代の最高性能のコンピュータであるスーパーコンピュータをどのようにして実現してきたかという歴史は、まずベクトルプロセッサなどの専用プロセッサを搭載した専用マシンで実現し、次に単一のプロセッサでの性能向上がコスト面でも技術面でも困難になるとベクトルプロセッサの集合体つまりベクトルプロセッサクラスタでそれを実現しました。 さらにUNIXワークステーションで使用されたスカラー型のRISCプロセッサの性能の向上に伴いRISCプロセッサのクラスタで実現されて来たものが、現在はインテルアーキテクチャベースのプロセッサの性能が向上したためにコモディティ(日用品)PCのプロセッサの集合体であるPCクラスタで実現できるようになったわけです。 また、計算機の集合体である計算機クラスタの場合、プロセッサの性能だけでなく各プロセッサのインターコネクションネットワークの性能がクラスタシステムの性能を決める重要な要素になりますが、これもスーパーコンピュータにしか使用しない特別な相互接続網を設計しなくても、例えばギガビットイーサネットさらにInfinibandや10ギガビットイーサネットなどコモディティかコモディティに近い高速なネットワーク技術が登場したことで、スーパーコンピュータのダウンサイジング現象に拍車がかかっているいう側面がありますね。
いずれにしてもPCクラスタというとよく価格の面だけが強調されますが、プロセッサや相互接続網の高性能化に伴うスーパーコンピュータのダウンサイジングの流れ、つまり歴史の必然として捉えると理解しやすいと思います。 最近コモディティPCのマーケットにも64ビットプロセッサを搭載したシステムが登場し始めましたが、数年後にはこうしたコモディティプロセッサを複数結合した計算機クラスタが、世界のスーパーコンピュータの頂点に立つ日が来ると思います。 PCクラスタを実現するのは、例えばLinuxやWindowsといったOSの上に並列処理を実現するためのミドルウェアを追加するだけで原理的には簡単なことですが、ソフトウェアの面でもハードウェアの面でもまだいずれもこのミドルウェアで決まりだ、あるいはこのインターコネクションで決まりだという段階には達していません。すべては開発の途上です。 弊社は、大学の研究室、企業や国の研究機関と協力して常に新しいテクノロジーを取り入れたHPCつまりより理想に近いスーパーコンピュータをともに創り上げていきたいと思っています。
中山:今後のHPCへの展開が楽しみですね。HPCを展開していく上での課題があればお聞かせ下さい。 岩本:特別な課題はありませんが、常に新しいもの困難なものにチャレンジして行くという弊社の考えに賛同してくださる方で、特にUNIX系のOSについての知識があり、新世代のスーパーコンピュータを創り上げることに興味がある方がいらしたらぜひ弊社に来てほしいですね。
[中山一弘(ユータック), ITmedia ] Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. モバイルショップ
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