> ニュース 2003年6月25日 11:00 PM 更新

Power Mac G5とPantherのディテールはどうなっている?(2/3)


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 さまざまな用途に使われるハイエンド機種にふさわしく、HDDやメモリの増設が簡単にできるのも特徴だ。本体内部は見事に区画化され、ケーブルがスパゲッティのように絡まる一般的なデスクトップPCとは雲泥の差だ。

 「ネジ一つ外さずにさまざまな拡張が行えます。例えばメモリスロットの上にある冷却ファンは、スライドするだけで取り外せ、ケーブルを抜き差しする必要もありません。HDDの増設も、ケーブルを2本つないでドライブを差し込むだけで固定されます」(ベンジャミン氏)


CPU用の冷却ファンは、引き出すだけで簡単に取り外せる

パソコン初の64ビットプロセッサ「PowerPC G5」を搭載

 Power Mac G5は、米IBM製の新しいCPU「PowerPC G5(PowerPC 970)」を最大2個搭載する。クロック周波数は最大2GHzだが、1年以内に3GHz版が発売される予定だ。

 PowerPC G5はマルチプロセスに完全対応した64ビット動作のプロセッサ(*1)で、64Kバイト(命令)/32Kバイト(データ)の1次キャッシュと512Kバイトの2次キャッシュ、FPU(不動小数点演算ユニット)を2個、160以上の専門ベクトル命令を実行するベクトル演算ユニットを1個内蔵している。

 ベクトル演算とはデータの高速置き換えに特化した機能で、画像や音声などのマルチメディア処理、データベース処理に最適な演算ユニットだ。米Motorola社が供給するPowerPC G4には、同ユニットが「Velocity Engine(旧称AltiVec)」という名前で搭載されている。

 「Velocity Engine自体は、1998年にIBM、MotorolaがPowerPCの共同開発センターを解散した時点ですでに仕様が定まっていました。そのため、IBMのPowerPC G5が内蔵するベクトル演算ユニットは、MotorolaのPowerPC G4が内蔵するVelocity Engineと同じものです」(ベンジャミン氏)

 特筆すべきは、64ビットプロセッサでありながらも32ビットのPowerPCコードをネイティブ処理できることで、既存のOSを書き換えなくても動作する点だ。

 「それでは64ビット化の効果は現れないのでは?」という質問に対し、Appleのソフトウェアプロダクトマーケティング担当シニアディレクターであるブライアン・クロール氏は、「Mac OS Xのカーネルは確かに32ビットで動作し、それは次期OSであるPantherでも変わりません。ただしCPUが64ビット化することによりメモリアクセスが高速化するため、システムのメモリ書き換えも高速化し、結果としてパフォーマンスは向上します」と語る。

 「さらにPantherでは、OSの基本機能の1つであるMath Lib(数値演算ライブラリ)を64ビット化します。これにより、Math Libを利用するプログラムなら、プログラムを一切変えずに64ビット化の恩恵を味わえるのです」(クロール氏)

 このように高いパフォーマンスが期待できそうなPowerPC G5だが、同CPUを搭載したノート型パソコンは登場するのだろうか。

 その返答は「今はお答えできません」(ベンジャミン氏)というものだった。AppleはPowerPC G5の消費電力を明らかにしなかったが、2002年10月に発表されたIBMの資料によると、PowerPC G5(1.8GHz版)の消費電力は42ワット。PowerPC G4の5.3〜21.3ワットに比べると段違いに多いので、現状ではノート型への搭載は無理だろう。

 Motorolaは今後PowerPC G5を製造するのかという問いに対しては、「IBMはPowerPC G5を供給し、モトローラはPowerPC G4を供給します」(ベンジャミン氏)とのことで、G5はIBMからの供給のみに絞られるようだ。

 そのほか、Power Mac G5のCPUとメインメモリを結ぶ「G5システムコントローラ」は、IBMとAppleが共同開発し、IBMが製造しているカスタムチップだ。IBMとAppleの密接な関係がうかがえる。


*1 64ビットで動作するPowerPCは、実はPowerPC 970が初めてではない。1990年代始めにIBM、Motorola、Appleの3社が共同でPowerPCアーキテクチャの開発に着手したときから、64ビットで動作するプロセッサ「PowerPC 620」は計画されていた。ところが、1994年にはすでに発表されていたにも関わらず、実際にPowerPC 620が出荷されたのは1998年で、しかも構造が複雑すぎたため価格を下げることができず、結局Macに搭載されることなく市場から消えていった。

[宮本朱美, ITmedia ]

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