> ニュース 2003年6月25日 11:00 PM 更新

Power Mac G5とPantherのディテールはどうなっている?(3/3)


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次期Mac OS X「Panther」は100以上の新機能を搭載

 年末までに発売される予定のMac OS Xバージョン10.3(開発コード名:Panther)も、今回の発表の目玉だ。Pantherの必要とする最低システム条件は、「まだ正式に発表されていませんが、現在のMac OS Xの最新バージョンであるJaguar(Mac OS X 10.2)が動作するマシンなら、Pantherも動作します」(クロール氏)とのことだ。

  Pantherの新機能の一つに、複数のユーザーがログアウトすることなく他のユーザーに切り替えられる「Fast User Switching」がある。

 現行のMac OS X 10.2では、他のユーザーでログインするには使用中のユーザーがログアウトしなければならないが、「Pantherでは一つのプログラムを複数のユーザーで同時に使用でき、ユーザーを切り替えても、バックグラウンドにある他のユーザーの処理は中断されません」とクロール氏は語る。「なんといってもMac OS XはUNIXベースですから、複数ユーザーの処理を並列してこなすのはもともと得意分野なのです」


プログラムを起動したまま、システムからログアウトすることなく、ユーザーアカウントを切り替えられる「Fast User Switching」。Windows XPの「ユーザーの切り替え」と同様の機能だ。アカウントの切り替え時に現れる視覚効果が楽しい

 Windowsとの協調もさらに強化される。「Windows側に接続したネットワークプリンタをMac OS Xから使うSMB印刷キューは、Jaguarですでに可能です。Pantherでは、Mac OS Xに接続したプリンタをWindows側から使用できるようになります。プリンタの種類は高価なPostScriptプリンタである必要はなく、USB接続のインクジェットプリンタで十分。つまり、MacがWindowsのプリントサーバとして機能するわけですね。さらにPantherは、PostScriptファイルをPDF形式に変換して通常の非PostScriptプリンタで印刷する機能を備えます。この機能により、高価なPostScriptプリンタやネットワーク対応プリンタは必要なくなるわけです」(クロール氏)。

 ユーザーの書類フォルダを暗号化して情報漏洩を防ぐ「File Vault」も新機能の一つ。「これはユーザーの書類を保存するホームディレクトリ全体を暗号化する仕組みです。ユーザーはログイン時に一度パスワードの入力を求められますが、その後は暗号化を意識することなく通常に作業できます。ユーザーの作業のバックグラウンドで、ファイルは随時暗号化/非暗号化が行われているのですが、これが素晴らしいのは、使っているのを忘れてしまうほどものすごく高速に動作する点です。File Vaultをオンにしておけば、うっかりノートPCを置き忘れたり、ハードディスクを抜き取られても、重要な情報は暗号化されているため、セキュリティを強化することができます」(クロール氏)。

 このほか、検索したいファイルの数文字をタイプするだけで該当するファイルを表示するインクリメントサーチや、開いているすべてのウィンドウをキー1つで縮小してサムネール表示する「Expose(最後のeにはアクサンテギュが付く)」など、数々の新機能が盛り込まれる予定だ。



Mac OS X 10.3の特徴的な新機能の1つ「Expose」。「F9」キーを押すだけで多数のウィンドウが折り重なった状態(上)から全ウィンドウの内容を一望できるサムネール表示(下)に切り替わる

 なお、Mac OSにはソフトをアンインストールする機能や、システムを以前の状態に戻す「システムの復元」機能はないが、「Mac OS X用のプログラムは、必要なファイルをすべて『パッケージ』という形でまとめてあり、ユーザーからは1つのアイコンに見えるようになっています。その仕組みに沿って開発されたソフトであれば、単純にアイコンをゴミ箱に捨てるだけでアンインストールできるので、『プログラムの追加と削除』や『システムの復元』といった機能をPantherに追加する予定はありません」(クロール氏)とのことだ。



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[宮本朱美, ITmedia ]

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