> ニュース 2003年7月22日 11:51 PM 更新

Interview
松下 Let'snote W2 「省電力と軽量化では、まだまだ他社をリードしているという自負があります」(2/4)


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 「試作機ではちょっと頑張り過ぎて、軽くなり過ぎちゃいましたね。しかしR1を開発した最初のLet'snote Lightプロジェクトが成功しなければ、W2は存在し得なかった。もちろん、R1をベースに“もう少し大きな液晶パネルが欲しい”という要求に応えたT1も世の中には出なかったでしょう。結果的にはプロジェクトは成功し“世界一”軽量な10.4インチノートPCを作ることができた。この“世界一”というキーワードは重要です」

軽さのためなら厚くなってもいい

 Let'snote Lightシリーズの潔いところは、中心コンセプトである軽量化とバッテリー持続時間のためには、可能な限りの犠牲を払う姿勢である。もちろん、あらゆる面でバランスの良い製品の方が良いという考え方もあるだろうが、パーソナルな道具であるノートPCの場合、より個人の嗜好を追求したモノ作りの方が受けるのかもしれない。

 他社のノートPC開発者が「あそこまで割り切って、基板縮小、軽量化に徹している点は評価に値する」と、Let'snote Lightシリーズについて話してくれたことがある。つまり、Let'snote Lightは基板面積が最小となる電気設計を行い、それに合わせて製品全体のデザイン(形だけではなく、コネクタなどの配置も含む)が決定されているように見えるというわけだ。

 「軽くすることとは、イロイロな部品を小さくすること。ですから液晶パネルのサイズを決め、その液晶パネルを使って、どこまで底面積の小さいPCを作れるのか、をテーマに開発しています。底面積の減少が、軽量化に直接響いてきます。また底面積を最小にするには、薄さへの追求をあきらめる必要がある。部品を表裏に効率よく貼り付けようとすると、どうしても厚くなるレイアウトにしかできません。しかし薄さをあきらめれば底面積を削れる上、基板面積も小さくできます」

 薄くしようと思わなければ、リブ高が大きくなるため、ねじれ強度や曲げ強度などにも強そうだ。逆に言えば、薄型の製品に比べて同程度の強度ならば、より軽く作れることを意味する。

 「それはあります。ただ、軽量化のためにすべてを犠牲にしているわけでもありません。デザイン側からの要求もあって、設計陣が頑張った部分ももちろんありますよ。あとLet'snote Lightのボンネット型のボディ。これは開発陣が強度を上げるために絶対必要だと譲らなかった部分でしたが、逆にコネクタ配置などで開発陣が譲っている部分もありますよ」

 しかし、Let'snote Lightシリーズはドーターボードに機能を分離して、フレキシブルでつなぐといった手法を用いず、小さな基板にほとんどの機能を詰め込むアプローチを採用している。このあたりが軽量化に効いていることは間違いないだろう。またバッテリーを丸形セル(18650型)4本だけにすることで、セル2本分(約100グラム)を軽量化したことも大きかった。

液晶周り、電源周り、HDD。削れる電力はすべて削った

 つまり、軽量化と省電力は切り離して考えられない関係にある。Let'snote Lightシリーズは軽量で知られているが、省電力に関しても驚くほどの数字をたたき出す。実際に使い、バッテリの放電率の履歴を取ってみると、他の同等機種に比べて1ワット以上、あるいは比較対象によっては2ワット以上も消費電力が少ない。具体的にはどの部分が効いているのだろうか?

 「ご存知のようにプロセッサの平均消費電力は、ノートPC全体の中では知れたものです。そこで液晶パネル周りの省電力を徹底しています。バックライトの光を拡散させる導光板の改良はもちろんですが、蛍光管とそれを駆動するインバータを新規に作りました。インバータはバッテリー駆動時に使う5ボルト電源で、最も効率が良くなるように設計し、蛍光管の効率が5−10%ほど改善しました。これに導光板の改良を合わせ、全体で10%以上の改善を行っています」

 「効率が良くなっているため、バックライトの輝度がアップしたことになりますが、Let'snote Lightシリーズでは効率アップを輝度向上に使うのではなく、輝度は従来と同等にしながら省電力にしています」

 バックライトはノートPCの中でも、最も電力を消費するデバイスの一つだが、それだけでは、ここまでの省電力化は無理だろう。Let'snote Lightシリーズの基板は、いずれもノイズ対策用のチップ素子が少なく、また電源周りの設計もシンプルだ。このあたりも省電力化に貢献していそうだが……。

 「最近のPCは電源周りの設計が複雑になってきていますから、その部分での効率アップは重要なポイントです。電源効率アップは発熱対策にもなります。しかしチップ素子の少なさは本当に微々たるものですよ。基板面積が小さくなり信号線の距離を短くできたこと、信号遅延などの計算を厳密に行ったこと。この二つがチップ素子削減につながっています。あとハードディスクの3.3ボルト化で、従来のドライブ比で8−10%の電力を削ることができました」

 ただ3.3ボルト仕様のハードディスクは、容量のバリエーションが少ない。オプションの60GバイトHDDなどは5ボルト仕様のようだが……?

[本田雅一, ITmedia ]

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