ソフトによる差別化2
ユニークなdynabookの企業向けソフトソリューション(3/3)
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SDカードスロットのサポート
東芝はSDカードを協力に推進する企業のひとつだが、dynabookでの実装はPCとしては常にトップクラスのサポート内容を誇っている。dynabookシリーズに登載されるSDカードスロット用チップはPCIに直結する高速タイプで、256Mバイト以上のSDカードがサポートするマルチビット転送にも対応。デバイスの性能を100%活かすことができる。
またWindows側にクラスドライバが存在しないため、まだ広範なサポートには至っていないものの、それらSDカード用ブリッジチップはSD I/Oにも対応。さらにSDトークン対応による個人認証も行える。
電源管理ユーティリティ
古くからノートPCを開発し、かつては自社製ノートPC用チップセットまで開発していた東芝は、電源管理の標準インタフェースACPIの開発ベンダーでもある。それだけに電源管理ユーティリティの質や機能は、PCベンダーの中でも優秀だと評判だった。
その東芝電源管理ユーティリティが、バージョン7にアップデートされている。従来の東芝電源管理ユーティリティは機能豊富で設定項目が多く、柔軟性の高いセッティングが行えたものの、操作が煩雑でわかりにくいという欠点もあった。
そこでわかりやすいと評判のConfigFreeと操作感や画面デザインを統一。機能面での変更はほとんどないが、ウィザード形式での設定を導入するなど、ユーザーフレンドリーでありながら細かな電源設定が行えるユーティリティへと変わった。
東芝Bluetoothスタック
前回の記事でも紹介した東芝製Bluetoothスタック。Bluetooth SIGの主幹事企業でもある東芝は、BluetoothのリファレンスPCにも指定されており、互換性や機能の面でのアドバンテージがある。特に対応する機器(プロファイル)は、Windows標準よりも多くライバル企業にも先んじている。
2004年以降、Bluetoothはやっと普及が始まると見込まれており、互換性や機能の面で先を進んでいる東芝の良さが生きてくるだろう。今後もプロファイルサポート範囲を広げるだけでなく、使いやすさを追求して開発していくとのことだ。
dynabookのBluetooth機器初期設定はウィザード形式でガイドされ、ユーザーがはまりやすいモデムやプリンタドライバのインストールも自動的に設定される。Bluetooth接続を手動で行うことなく、携帯電話経由でインターネットに接続したり、プリンタに印刷したり、Pocket PCとActiveSyncなどを行うことができるようになっている。ファイルを右クリックし、メニュー選択するだけで、簡単にBluetooth経由でファイルを送ることができる。
Seamless Office
ここまで紹介してきたソフトウェアは、それぞれ東芝製PCを購入したユーザーであれば、自由に利用できる。これらに加えて東芝PCのソフトウェア開発部隊では、企業向けソリューション製品であるSeamless Officeを開発し、製品化している。
オフィスでは部署ごと、フロアごとなどで、ネットワークセグメントが分かれている。PCを持ったユーザーがセグメント間を移動して移動後のセグメントのアクセスポイントへ接続が切り替わった場合、PC側のTCP/IPの設定を変更しなければならない場合がある。またネットワークアプリケーションを動作させたまま、隣のセグメントに移動すると、IPアドレスが変わってしまい継続してアプリケーションが動作しなくなるといったこともある。
ConfigFreeではPCを利用するロケーションごとにプロファイルを設定し、それらを切り替えることでセグメントごとに異なるネットワーク設定を簡単に切替可能にしていることに対し、Seamless OfficeはMobile IPという技術を用い、同じIPアドレスを異なるセグメント間で継続利用するソリューションを提供する。
Mobile IPでは一旦アサインされたIPアドレスを使い続けることが可能なため、他セグメントへ移動しても、またサスペンド・スタンバイ・ハイバネーションでも、たとえばあるミドルウェアと接続中のアプリケーションがハングアップなどを起こすことなく、そのまま動作を続けることが可能だ。
またSeamless Officeにはセキュリティ向上の機能もあり、認証サーバを用いたIEEE802.1xによる個人認証、IPsecによる暗号化もサポートしている。
同様のソリューションは他PCベンダーからも出されているが、Seamless Officeは専用のハードウェアが一切不要な、完全にソフトウェアのみのソリューションである点が大きく異なる。社内ネットワークの中にSeamless Officeをインストールするサーバを確保するだけで、ルータやアクセスポイントなどのネットワーク機器を変更する必要はない。
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[本田雅一, ITmedia
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